クラビ振り向く
シヴァは当惑した。
何なんだこいつの能力と武器の秘密。
超能力って言っても俺は超能力者なんか会った事ないし。
何発か毬がシヴァの近くを行ったり来たりして何発も食らった。しかし今度はまた毬が距離を取った。
「何なんだあの生物みたいな動き。まさかあの毬自体が生物? もしかして」
しかしマリブリンはこれを聞いて笑った。
「はっはっは頭の悪い低レベルな推測だな。言っておくが毬の形の生命体などこの世におらんわ!」
そして離れたと思った毬が突如高速でまた戻って来た。
避けきれないシヴァはまたキックで返した。
「見たろ、俺はボールの扱いは得意なんでね。サッカー選手志望だったんでね」
「ふん、貴様の様なろくな親もいない、子を捨てるような親から生まれた人間にそんな才能があるとは思えんがね」
「……別に俺は馬鹿でもいい何とでも言え。ただ親の悪口は言うな」
「はあ? 自分を棄てた親をかばうのか? それとも棄てられた事の虚しさを認められないかな?」
「俺は例え自分を棄てた親でも誇りに思っている。だから!」
シヴァは勇者の魂をサッカーボール台の大きさの球にした。
「ぬ?」
「ボールにはボールで対抗してやる。食らえ!」
渾身のキックで光のボールを撃ちだした。
マリブリンは命じた。
「ぬう、毬よ! あのボールを防げ!」
本当に指示通りボールめがけて毬が突っ込んだ。
これを読んでいたシヴァはボールを念波でコントロールし軌道を少しずらした。
しかし毬は方向を変え、もう一つの毬も飛んできて2体がボールがぶつかり衝突した。
マリブリンは言った。
「中々の威力だな。動きの速さは俺の2体の毬の方が上だがな!」
シヴァにコントロールされたボールは何とか二つの毬を払おうとしたが、結局三つの球は相打ちになった。
「くっ、ならばこれだ」
シヴァが剣の柄を出すと、勇者の魂がのこぎり型の刃を作った。
修行で見せた技だ。
「しかし、あいつの攻撃の正体は一体何なんだ。それが解けない限りあいつには勝てない気がする」
一方その頃クラビは最上階へ向かっていた。
残りメンバーはスタグラー、マークレイ、ベルスの3人だった。
「皆、大丈夫だろうか。好意には応えたいけど、やはり忍びない、気になる」
流石のクラビも後ろを振り向いた。
マークレイは言った。
「ところでアンドレイは戦士は七人いる、って言ってたけど、さっきの六人目の奴が最後って言ってなかったか? 言い間違えか?」
クラビは不安そうに応えた。
「何故か、言い間違えじゃないような予感がするんだ」
何となくクラビは直感的に嫌な気がした。
ミッシェルは五階で五人目の戦士と戦っていた。
全身刃物の様な鎧を来た百九十センチ近くある男だった。
ミッシェルはスピードを生かし接近戦主体の男の攻撃をかわしていた。




