起死回生
「うおお!」
ゾゾの体から湯気の様な白い気体が出て来た。
カメレオン・ハットは怪訝な顔をした。
「何だあれは、体内のエネルギーか?」
ジェイニーは思った。
さっきゾゾは黄土色の体内オーラを出していたけど、あれも同様の物?
何故白で色が違うのか。
「はあああっ!」
カメレオン・ハットは皮肉を言った。
「気合だけは元気だな」
しかしゾゾは意外な事を言った。
「これは俺の力じゃない」
「何」
カメレオン・ハットは本当に意味が分からなかった。
「食らえっ!」
叫んだゾゾはカメレオン・ハットに白色のエネルギーの光線を浴びせかけた。
「何だ? 何の威力もないじゃないか、ん?」
カメレオン・ハットは気づき慌てた。
「ない! バリアの感覚がない! 何故だ」
「俺が解除したんだよ今の白い光線で」
さらに慌てた。
「馬鹿な、人間にそんな力があるわけないだろう」
ゾゾは答えた。
「俺の力じゃないデュプス神が与えてくれたんだ」
「まさか」
ゾゾは呼びかけた。
「ジェイニーさん! 今なら奴を倒せる! 俺ももう1発だけ奥義を出す!」
ジェイニーは思った。
あいつバリアが解けて理由が分からず戸惑っている、確かにチャンス!
ジェイニーも力を最大限溜めた。
しかし彼女にも先程の攻撃のダメージはかなり残っていた。
「行くぞ!」
「う、うおおお! 貴様らなんぞに!」
カメレオン・ハットはいきり立ちゾゾに切りかかった。
しかし難なくかわされ回り込まれた。
「うぐ!」
ゾゾの動きも速いがカメレオン・ハットは完全に冷静さを無くしていた。
「あんたはコプロサスから貰ったバリアの力に胡坐をかきすぎた。しかも俺なんかに破られると全く予期せず油断してただろ」
カメレオン・ハットは答えた。
「誰が貴様なんぞに」
「それが油断なんだよ」
ゾゾは剣でカメレオン・ハットを切った。
血が飛び出る。
さらにゾゾは畳みかける。
「止めだ、伸縮跳体弾、其の三撃!」
ゾゾは何と3発目まで奥義を隠していたのだ。
「ぐあああ!」
「食らいなさいっ」
ジェイニーの最大威力の細い電撃もさく裂した。
火炎にしなかったのはゾゾを巻き込むからだ。
「あ、あああ!」
「俺は自分の力であがくことを止め全て神に委ねた。いったん勝つことも生きる事も諦めた。そこから神が力を貸してくれたんだ」
「ぐぐ」
カメレオン・ハットは絶命した。
ジェイニーはゾゾに駆け寄った。
「やったじゃない。これでクラビ達に顔向け出来るわ」
「ジェイニーさんの力あってこそですよ」
「ぐっ!」
一度神に救われたゾゾの体だったが、また負担がかかり傷が開いた。
血を流し倒れ込んだ。
そしてジェイニーも膝をついた。
「ヒーラーのミルダさんは今は恐らくマリーディアを助けてる」
「俺もちょっともうダメっすよ。本当はクラビさんを助けたかったけど、ここまで行けたからもういいっす」
ジェイニーはゾゾの肩を担いだ。
「諦めないで。私が担いでクラビ達の所へ連れてってあげる」
これで三階は決着が着いた。
そして四階ではシヴァと果たし状に書かれていた「ピエロの恰好をした悪魔」が戦っていた。
小太りなピエロ型悪魔は空を自在に浮き毬の様な武器を操って攻撃してくる。
しかしシヴァは苦戦しながら迫って来た毬を渾身の蹴りで蹴り返した。
「俺はボール蹴りに関しては誰にも負けないんでね」
「ふん、良く知らんが。私は生まれついての超能力者なんだ。魔法で操ったり飛んでるとでも思ったか」
「超能力者って言われても驚きはしないさ。これまでもいろんな奴がいたしこれからも控えてるんだろ?」
汗はかいても確かに余裕があった。




