神の浄化の力
ボジャックは全身に気合を込め叫んだ。
「うおおお‼」
内側からパロンの呪いを全て吹き飛ばした。
雲の様に覆っていた暗闇が跡形もなく消えた。
暴風や黒雲を激しい光で消し飛ばした。そんな感じだ。
パロンはボジャックの前で初めてと言っていいほど激しく慌てた。
「ば、馬鹿な! あいつにそんな力があるはずがない! 毒まで中和する人間なんているはずがない!」
ボジャックは今まで感じたことがない、信じられない感覚もあり両手を見つめた。
「何だこのあふれ出る、いや生き返るような感覚」
そしてデュプス神は姿を見せず語りかけた。
「君は生き返ったんだ」
ボジャックは疑問を投げかけた。
「生き返った?」
「そうだ、自分の力だけで生きているような肩の力を取り素直に神に助けを求めた。それが神の愛を呼び、罪が切られ新しい自分にしたんだ」
「俺……自分の力しか信じてなかったんだ」
パロンは気味悪がった。
「だ、誰と話してるんだ独り言か?」
「神様とだよ」
パロンは認められず否定した。
「そんな者がいるものか! はっ!」
うっかり言ってしまった。
「あんた僧侶の癖に神は信じてなかったんだな」
「そ、それがどうした、はっ!」
「何の話だ?」
突如パロンの心にコプロサスの低い声が響いた。
「貴様は私を信じていなかったのか? 力を与えた私を。最強の配下の一人であるお前によもや裏切られるとは」
「め、滅相もございません‼」
もう、釈明しかなかった。
パロンは魂を抜かれた様な気持ちになった。
骨に力が入っていないとでも言うべきか。
それもコプロサスがやったんじゃないかと思う程だった。
し、信仰してないことがばれた……
こ、殺され……
コプロサスは生気を無くしたパロンに畳みかけ試すように言った。
「信じてほしければ奴を独力で倒せ。失敗すれば」
「はっ、はい!」
その言葉の先を知りたくなかった。
もはやプライドなどでなくボジャックを倒す事しか考えられなくなった。
先ほどまでは「どうやって殺してやろう」と楽しむ余裕すらあったが。
思わず焦って叫んだ。
「うおおお! 呪いが通じなくても死神とゾンビたちを召喚する事は出来る! 食い殺されろ!」
もはや「勝ちたい」ではなく、負けイコール瞬間の死を意味している心境だった。
負けたら、その瞬間消される……
ボジャックは何かあったのかと少しだけ疑問に感じていた。
そして空間にブラックホールの様な穴が空き、死神とゾンビが合わせて十人現れた。
しかしボジャックは少しもおびえない。
現れた死神は高速で空を飛び鎌でボジャックに切りかかった。
ところがボジャックは何と素手で死神を殴った。
すると、触れただけで死神は砂の様に消えてなくなった。
「なっ!」
パロンは現実を受け入れられなかった。
「こんな事があるはずがない! や、やれ!」
動きが速い死神が四人先に襲い掛かり、ゾンビは後に続いた。
しかし死神は鎌を振り上げボジャックを切ろうとしたが鎌が体に触れただけで砂の様に消滅してしまった。
「ギギ、ガ!」
まるで死神は青ざめたようだった。
他の死神は鎌を捨て取りついてエネルギーを奪おうとしたが砂の様に消えた。
「ど、どういうことだ!」
「俺は何もしてないぜ。ただ神様がバリアの様に防いでくれてるだけだ」
ゾンビたちも遅れて噛みつきと引っ搔きを仕掛けたが次々砂の様に溶け消滅していった。
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