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勇者の記憶と力を封印された少年、「神に造られし者」の孤児に転生し悪人と再対決する  作者: 元々島の人


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ボジャックは神を信じるか

「くそが……呪いぐらい俺の精神力で振り切って見せるぜ」

 ボジャックは苦しみながらもあがいた。


 パロンはそれを無残に全否定するように言った。

「無駄だよ」

「くっ」


 パロンは続ける。

「お前は生きても無駄だ。私の呪いが解けない者がどうやってコプロサス様と戦うんだ?」

「お前も倒してコプロサスも倒す、それでいいだろ」


 どずっと音が響きボジャックの腹をパロンの杖がついた。

「あぐあ」


 ボジャックは吐き気を催した。

「おこがましいんだよ、俺にも、ましてやコプロサス様に歯向かうなど。本来貴様など呪いをかけるにも値しない格闘だけで倒せる相手だが」


「そう言いながら動きを封じてるのは自信がないからじゃねーのか」


 この言葉が堪えたのか、パロンはまた殴った。

「ぐあ!」


「やれ」

 すると死神二人はとびかかり鎌で肩や胸を切った。

「う、ぐあ!」

     

 顔と胸、足まで切り裂いた。

「少しは邪神に頭を下げる気になったか」

「だれが邪神になんか頭を下げるかよ! いや俺はそもそもデュプス神にだって助けてっていう気はねえぞ! 人間はどんな時も自分の力できりひらかなきゃいけねえんじゃねえのかよ!」

 

 今度はゾンビがボジャックの肩に噛みついた。

「ぐああ!」

「それで自分を誇ったつもりか? 愚かな奴だ。神の信者になれば大いなる力を得たり守ってもらえるというのに、貴様は非国民だ」


「ゾンビの牙に毒が入ってる」

「おっと、私の相手をして仲間を先に行かせられたと自己満足してるんだろうが、私はすぐに上の階へ行けるぞ。貴様はたとえ命をとしても何も出来なかった事になるな、はっはっは」


 ボジャックは薄れゆく意識下で思った。

 ま、待ってくれ、無駄死にだけは出来ない。


 俺の命なんかいつ捨ててもいい。

 でも役に立たないのだけは皆に申し訳が立たなさすぎるんだ。


 パロンは言う。

「その毒は後三分で全身に回るぞ。ダメ元で神に祈ってみたらどうだ?」

「……神に祈る?」


 ボジャックは気を失いかけた。

 すると子供の頃の孤児院のミサの授業が思い出された。


 クラビやマリーディア達は何の疑いもなく牧師の話を聞いている。


 ボジャックはあまり神を信じなかった。

「嫌いじゃないけど、神様って本当にいるのかな。でも人間て自分で頑張らなきゃいけないもんじゃないのかなあ。しかし皆純真、とりわけクラビやマリーディアは完全に信じ切ってる。悪いが無邪気。俺は親に捨てられて孤児院に行った人間、どこに神の救いがあるんだよ」 


 でもクラビ、マリーディアは何故一途に神を信じられるんだ?

 何故なんだ。


「神に祈ってみたらどうだ?」

 何故悪人の言う事なのに妙に心に響くんだ?

 まるで偉い人の格言みたいだ。


 だけど神様は何故俺は勇者に選んでくれなかったんだ。

 アンカーもくれないし。


 正義のために戦ってきたじゃないか。

 それに偽りはないんだが。


 突如声が聞こえた。

「神に頼ろうとしないからだよ」

「えっ誰?」


 光の塊が現れた。

「私がデュプス神だ」

「え?」


「遅くなったね」

「本物?」


「そうだ。君を助けに来た」

「え?」


「君はミサにも教会にもずっと行ってきたのにあまり神を信じて来なかった」

「……」


「今はどうだい」

「し、信じたいような」


「君は今までの人生で神にすがろうとしなかった。クラビ達と違って」

「そうか! クラビ達は自分の弱さをさらけ出して来たんだ!」


「そうだ、だが今は君は呪いをかけられ毒が回りもう自分ではどうしようもない。根性の問題ではない。だから信じるんだ」

「信じる」


 ボジャックの体に新しいエネルギーが生まれた。それは勇者の魂だった。

 そして毒と呪いが解けた。

「馬鹿な!」

 


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