勇者の魂奥義
「くうう!」
マリーディアはあまりの激痛と追い詰められた状況に抵抗しようとしたがどうしていいのかも分からない。
「すぐには嚙み切るな。血を流させ痛みを味合わせろ。その上で止めを刺してやる。まあ、ほうっておいても出血多量で死ぬが、一応俺が止めを刺してやる」
「ぐう!」
マリーディアはもがいた。
しかしまるで死刑台だ。
粘着剤の上に両手両足を噛まれている。
抵抗すればさらに血が噴き出し牙も食い込む。
「もう終りだな。ただの死刑台ならともかく噛まれているんじゃな」
「う、うぐ」
マリーディアは意識が薄れた。
もう駄目かも知れない。
で、でも負けても何とか皆を上の階に送れた。
私は犠牲になっても皆に貢献できれば……
死ぬのは少し悔しいけれど。
しかしクラビが寝言で言った事が思い起こされた。
「マリーディア、好きだよ……」
「!」
そうだ……私はあの言葉の続きを聞きたくて冒険に同行したんだ。
クラビはどんな時も生きる事を諦めなかった。
最後にクラビが勝って平和を取り戻した時傍らにいたい。
そして今度こそ寝言じゃなく聞きたい。
生きたい!
と最後の抵抗をしょうとした。
ところがこれが裏目に出てさらに血が出て牙が食い込んだ。
「やっぱりもう」
しかしマリーディアは修行の日々を思い出した。
そうだ、修行は体を鍛える為だけじゃなく勇者の魂を使いこなす為。
「そろそろだ、食いちぎれ」
遂にワニは命令通り牙を食い込ませた。
その瞬間マリーディアの体は大量の光を出した。
「何だこれは!」
そしてマリーディアは体内の勇者の魂を電気の様に使い放出しワニ達の口を感電の様に焼いた。
ワニ達は苦しみながら倒れた。
そして粘着剤も取れた。
「何だと!」
「はあ、はあ」
マリーディアは両手両足から大量の血を流しながら立ち上がった。
「勇者の魂、とやらの力なのかこれが……!」
マリーディアは落ちている剣を構えた。
「特訓で身に着けた奥義……!」
そして剣を振るった。
「勇者の魂・逆流撃!」




