暴行そしてクラビの爆発
11月4日改稿しました。
ある村でサブラアイム兵のデュプス国民への暴行はまだ続いていた。
「やめろ!」
勇気あるものは強く止めた。
しかし兵達は嘲笑いからかった。
火炎放射器を腕に着けたサブラアイム兵達は村人たちを火で襲った。
これはさらわれた博士によって作られたアンカーの量産型である。
しかしサブラアイム兵達は村人達を完全に燃やそうとはせず顔の寸前で脅すように火を止めていた。
兵達は煽る。
「やれやれ!」
「目をあぶれ」
彼らにとってはこれは戦争でも侵攻でもなくただの嫌がらせだった。
「こいつらは五日後の開戦後で支配下にする事が既にわかってるんだ。殺さずに痛めつけてやれ」
あるサブラアイム兵は農民の髪の毛を掴み腹を何発も殴った。
「や、やめて下さい。げほっ!」
「やめるか」
と言いながら兵は殴り続けた。
そして大根をむしり取り踏んだ。
別の農民が叫んだ。
「何をするんです!」
「うるさい! これからこの土地は俺達の物になるんだ食い物も、いや女達もだ。貴様らは娘を差し出す準備をしておけ」
「そ、そんな、うわ」
サブラアイム兵は農民の後頭部を掴んだ。
「貴様らは土が好きなんだろ? だったらこうしてやるよ」
兵士は農民の顔を耕した農地に埋めつけた。
「おらどうした。お前らは土と共に生きるんじゃないのか、土は美味くないのか」
「ひ、ひどい」
「ああ、神様、勇者様……!」
女性の一人がつぶやくとサブラアイム兵はひっぱたいた。
「うるさい! 神も勇者もおらん! いるのはコプロサス様と我々サブラアイム軍だけだ。後五日で本格侵攻が始まりデュプス国民は殺され支配され奴隷にされ靴を舐めさせられる。王は首を吊るす。城も燃やす そして死体の山を作る」
「お、鬼だ、悪魔だ」
「何とでもいえ。貴様らが弱く愚かなのが悪いんだ」
「くっ!」
鍬を持った農民は切りかかったが腕を切断された。
「うわああ!」
「馬鹿が!」
この光景や声は勇者として特殊感知能力のあるクラビに全て伝わった。
「くっ!」
修行中だったがクラビは我慢出来なくなり遂に外へ飛び出した。
ものすごい速さだった。
「く、クラ」
ポートサスは叫んで追おうとしたが躊躇した。
だ、駄目だ……闇雲に止めろと言っても効果がない。
クラビは叫んだ。
「も、もう許さない‼」
こんな大声は皆聞いた事がない。
ボジャックはいつもと違うクラビが少し怖いが追った。
「よせっ!」
「やめてっ!」
アイムも言った。
ボジャックが後ろから羽交い絞めにした。
こんな事は初めてだ。
「もう少しだけ待つんだ」
「何を待てって言うんだ。ここまでされて待ってられるわけないだろう」
凄まじい形相。
ボジャックは必死になだめた。
「俺だって同じ気持ちだ」
「なら良いだろう、何故止めるんだ? これ以上止めるとお前でも殴るぞ」
クラビは全く自分が間違ってると思っていない。
世界を敵に回してもと言う感じだ。
「……」
場がシーンとした。
ボジャックは言った。
「分かった。俺も行くよ一緒に」
「お、おい!」
ポートサスはまずいと思い何とか止めようとした。
しかし言葉が見つからなかった。
「よし、行くぞ!」
クラビは歩き出した。
全く疑問も感じず。
「待って」
マリーディアが立ちふさがった。
クラビは黙り少し睨み顔だった。
クラビがこんな表情をマリーディアに見せるのは初めてだった。
だから怖かった。
「……」
「お願い」
マリーディアは泣きそうだった。
しかし何とか立ちふさがった。
クラビは珍しく拒絶した。
「……駄目だ、もう我慢出来ない」
「お、お願い」
「分かった」
クラビはようやく反転した。
そして言った。
「マリーディアは追い詰められると『自害する』とか言うから」
何とかクラビは落ち着いた。
「良かった。やっぱりマリーディアが言うと違う」
とジェイニーも安堵した。
クラビは言った。
「修行の続きするよ。殺されたり苦しめられた人達を助けて無念を晴らす為に。よし、『ダメージと経験値三百五十パーセントアップ』のスキルを使う!」
「ええ、あれを‼」
アイムは驚いた。
「ジェイニー、頼むよ、嫌、皆頼む」
そして闘技場でクラビはジェイニーと向かい合った。
「だ、大丈夫?」
流石にジェイニーは迷っている。
「君の最大の攻撃で頼む!」
クラビは固く決意を伝えた。
ジェイニーは力を溜め始めた。




