それぞれの成長 クラビ、マークレイ対アズロ
クラビは瞑想し精神集中してから技を出す様にした。
「はああ、ふう」
呼吸し目を瞑り精神を落ち着かせ内的世界に入る。
静かにしかし強く念じる。
今まで感情的になった事などを思い出すのではなく「無心」になろうとした。
心がその状態に近づく。
メンタルと体内エネルギーを大きくしていく。
その光景が緊張感を作り出し場を支配した。
するとシュウウと言う音がしてコプロサスと戦った時の様な煙が伸びてくる。
そして拳に前にマークレイと手合いした時の光の様な勇者の魂を宿らせた。
「はああ!」
十分に力を溜める。
アズロは準備した。
「よし、思い切り来い!」
アズロは少しだけ「凄い威力なんじゃないか」と言う不安があった。
こんなパワーは見た事がない。
見せない様にしたが。
「うおおお!」
クラビは右拳に勇者の魂を光に変えて漲らせ構え突進した。
アズロは迫るクラビから目をそらさない。
クラビはアズロの右手のガードに思い切りパンチを叩き込んだ。
アズロの手から熱でシュウウと煙が出る。
皆はどよめいた。
「ひええ」
「痛そう」
クラビは撃ち終わり少し心配した。
「大丈夫ですか」
「ふっ、気にするな」
少し痛いのを我慢している様に見える。
クラビは確かめた。
「これ位でしょうか」
「いや、もっともっと力を上げなければならん」
クラビは今度は精神集中するだけでなく力を体に思い切り込めた。
「はあ!」
そして手から射出型光剣を出し実体化させ構える。
アズロは指示した。
「よし、今度は勇者の魂をコントロールしスピードと突進力を上げるんだ」
「はあ」
構えて力を溜めてから「射出型光剣・突進型」を出した。
突進するクラビ。
剣を構えたアズロに突進し受け止めてもらった。
「ぐ、ぐぐ」
「ぬ」
威力の反動でクラビが後ろに下がりそうだった。
アズロはクラビの凄い勢いに少し疲れた。
「うむ、本当に良く伸びた。普通なら余程の相手でなければこれで勝てる。のだが、なんせ相手は神だからな……」
「神」
「どこまでやれば勝てるのか想像もつかん。想像しなければいけないのだが」
ポートサスが言う。
「良くないのは奇跡ばかりあてにすると言う事です。何とかぎりぎりの状況で起死回生が出来るんじゃないか、とか人間の可能性がなんたらとか」
ミルダが言う。
「そうですね。つまり勝つためにどうするかどうすればコプロサスに勝てるのか。アンドレイと六人の手下にも勝てるのか。それを具現化する為の方法を見出してやる事が大事です。可能性を信じるにしてもその可能性を限りなく百にしなければ」
次はマークレイが相手をすることになった。
闘技場にあがりアピールした。
自信満々になりすぎない様抑えながら。
「俺は色々身に付けて来たんです」
そこにはどこかクラビへの競争心が見て取れた。
そしてアズロに判定してもらい認められたい。
そしてその想いを込め構え叫んだ。
「光閃掌!」
光のエネルギーが拳にみなぎる。
そして腰を落とした溜めの後、強い瞬発力で先程のクラビと似た型で同様に突撃した。
アズロは一心に見つめる。
受けようと両腕を前に出す。
かなりのパワーだがこれはアズロが力を込めブロックした。
しかし手から煙が出た。
マークレイはいきなりだが息をきらした。
しかしマークレイは射出型光剣をアズロ目掛けて伸ばした。
「うおお!」
当てるつもりはないのですこし外して発射した。
アズロは判定した。
「おお、これはクラビの物に負けていないぞ」
「さらに、こ、これを!」
マークレイはさらに矢継ぎ早に技を出す。
認められたい感じだ。
アンドレイ達との戦の時の様に手に物質を集め巨大なこん棒を作り出した。
「よ、避けて下さい!」
アズロは慌てた。
「おっと、あれをまともにくらったら危なかっただろうな。しかし『相手が避けてくれる事を祈りながら出しても腰が引けてしまう』遠慮はいらん」
「はい、では次を」
はあはあ言いながらさらにマークレイは言う。
マークレイは構え「勇者の魂砲撃」を出した。
「ぬっ!」
狭い室内なのでコントロールしながら。
アズロはかろうじて避けた。
光線が壁に当たってめり込んだ。
「ほう、かなりの威力だ」
アズロは手放しで誉めた。お世辞でなく。
マークレイは喜びながら謙遜した。
「いえ、俺はクラビ程の才能はないです。だから努力と技の種類を増やす事を考えました。て才能はないって言ってるのがそれ自体少し卑屈かつ対抗心みたいですが」
ああ、疲れたな。クラビに負けない様多く特訓したからな。
あいつを憎む気持ちなどこれっぽっちもないが。
次にボジャックの番になった
そしてボジャック先程クラビがした様に体内の力を上げた。
すると煙の様な形のエネルギーが立ち上った。
「俺は神の力を貰っていません。だから何とか独力でエネルギーを操る術を学びました。でもまだクラビ達みたいな大きな力がない」
「いや、よく頑張ってそこまで上げた。後はいつ神の力を得られるかのタイミングであろう」
ゾゾはいても立ってもいられなくなりボジャックの番なのに闘技場に上がった。
「俺も見て下さい」
ゾゾの体からも立ち上った。
「ほう」
休み時間になりジェイニーが言った。
「シヴァ、サッカーボールが間違ってゴミ箱に捨ててあったわよ。大事な物なんでしょ」
「嫌、捨てたんだ、自分で」
「俺はサッカーに見切りを付けた。でこれから全て戦いに注力するようにしたんだ。だから勇者の魂のコントロールも学んだ」
「いけっ!」
複雑な軌道を描いた糸のような細い光線が数本発射された。
「うお!」
「避けるのが難しいな。これは相当コントロールに長けてないと出来ん」
「あいつサッカーを捨てて陰で努力してたんだ」
一方マリーディアはリバイアサンと交戦中だった。
「て、手強い!」
そしてまたデュプスの町で嫌がらせは始まった。
サブラアイム兵はいきなり町民を捕まえ左腕を蹴り骨折させた。
「ああ」
「もう片方の腕も折っとくか」
さらにどこか訓練された兵と少し雰囲気が違う20人近く兵達が現れた。
そして少し迷いながらも彼らは町民を襲い始めた。
「こいつらはサブラアイムの農奴から募った兵達だ。残虐にデュプス国民をいたぶればいたぶるほど報酬を上げている」
「な、何て卑劣な!」
「うるさい、あいつからやれ」
クラビは町民達の叫びをキャッチ出来た。
「くう! もう我慢出来ない」
しかしポートサスは止めた。
「つ、辛いがもう少しだけ我慢するんだ」




