アズロの教えと試練
今日はクラビ達が復活する日だった。
アズロはマリーディアに声をかけた。
「新技の開発はどうかね」
「進んでいます、何とか七日以内に身に着けたいと」
「イメージは決まっているのかね」
「はい、大体、自分の持ち味を生かす方向で」
アズロは意味深な言い方をした。
「実は君に教えようと思っていた技がある」
「え?」
「後数日なのにすまないが、一つは『勇者の刃と牙』と言う物、もう一つは恐らく君にしか使いこなせない。今日今から教える」
「ええ?」
「もう皆集まるから時間がないから来てくれ一時間程」
ゾゾはそれを聞いていた。
「アズロ様、その凄い技、俺にも教えて下さい!」
「あー、ちょっと君には使いこなせない」
ガーン!
期待されてないって事なんだ!
「では一時間来てくれ」
そして二人は席を外す事になった。
一時間かけて移動するとそこは有名な滝の流れる場所だった。
「え? ここ確かかなり強い魔物が出るって有名な」
「そうだ」
と言いアズロは肉の塊を投げ入れた。
するとすさまじいしぶきと共に滝の近くからリバイアサンが現れた。
「リバイアサン!」
マリーディアは少し怖がった。
「この魔物を倒し戻って来るんだ」
「それが技を教える条件ですか⁉」
「いや違う。リバイアサンを倒した時、君は私の考える新技を身に付けているはずだ」
「ええ?」
「では、私はこれで帰る」
「私がこの魔物を一人で倒す……かなり厳しそう、死ぬかも」
と言い戦いは始まった。
その間復帰したポートサス達がクラビ達の面倒を見ていた。
そしてクラビは何とアイムと組手をしていた。
「私達女神だけが何もしてないからいても立ってもいられなくなって」
「でも地上では長時間等身大の肉体行動するのは難しいんでしょ」
「ええ、だから出来る限り」
そこへアズロが戻って来た。
「おおクラビ戻って来たか!」
「はい、あのマリーディアは?」
「一人で特訓中だ」
「では俺達に稽古つけて下さい」
クラビは謝った。
「アズロ様、昔途中で辞めて本当にすみませんでした。あの続きを教えて下さい」
「何故辞めたんだね」
クラビは正直に言ってしまった。
「マリーディアに、女の子に手合いで負けたから情けなく恥ずかしくなったんです」
「あーそれ以上は言わなくていい。では始める。何回も言ったが最後の戦いは『勇者の魂』をいかに使いこなし大きくするかがキーとなる。というかそれ以外にコプロサスを七日で倒す方法などない。クラビのパワーアップは『勇者の魂』をいかに大きくするかに全てがかかっているのだ」
「そんなにも『勇者の魂』って凄いんですか?」
「ああ、人間の無限の可能性を引き出す。ではクラビ、私と素手で手合いをしよう」
「素手でですか?」
「うむ、それが一番『勇者の魂』が伸びるのだ。ボジャック、マークレイ達も後で教える」
そしてクラビとアズロの素手手合いは始まった。
「はああ!」
クラビの攻撃をこともなげにさっとかわす。
続きの二、三撃もかわす。
「気合はまあまあだ。だが『勇者の魂』はあまり上がっていない」
「どうやって伸ばすのかよく分からないんです」
そして手合いは続いた。
結構強いパンチを撃つクラビ。
しかしアズロはかわしたり受け止めたりする。
クラビは悩んだ。
「うーん、どうすればいいんだ」
「お前が今まで新しい力を出せたのはどんな時だ?」
「うーん」
「思い出してみるんだ」
クラビは頭を巡らせた。
「怒った時とか、人を救いたいとか。記憶が一部戻った時とか、絶対負けられない時とか。そういえば空を飛んだ時もそうだったかも」
「それらの状況を思い出し分析し技を出してみよ」
「よし!」
イメージをしながら射出型光剣を出すと、それまでより段違いのエネルギーの剣がアズロに伸びた。
「変わった」
「うむ。努力だけでなく状況などがかなり作用する様じゃな」
「後は色々思い浮かべてみよう」
その頃またデュプスでサブラアイム兵の嫌がらせが行われた。
何と町に入って来たゴリラは頭から人を食った。
「はーっはっは! やれやれ!」
「ゴリラが人を食べた⁉」
恐れながらも止めに入った人を両手の怪力で吹っ飛ばす。
さらに警備の魔法使いはサブラアイム兵の連れて来たワニを攻撃した。
しかし効かない。
「何という防御力! まるでドラゴンだ!」
「はーっはっは! どうせ後7日で戦争は始まり貴様らは殺されるカ奴隷にされるんだ。アンドレイ様に敬礼する準備でもしておくんだな!」
その気配は修行中のクラビの脳にも伝わった。
「く、くそあいつら!」
アズロは止めた。
「よせ! 辛いが今はこらえるんだ!」
「く、くそ! 俺は必ず皆を救う! 仇も取って見せる!」




