第二訓練開始 最後の九日間
マリーディアは喜んだ。
「アズロ様……」
五十歳に近い男は背中が大きかった。
顔は精悍で顎は角ばっているが目鼻立ちがどこか純で温和な印象だ。
背中に大剣を背負い、体には若者と同じ重いよろいを着ていた。
そしてにっこり微笑んだ。
「久しぶりだね」
皆は笑顔と微笑みで返した。
急に森に日が当たった様だった。
「お久しぶりです」
マリーディアは返した。
ゾゾはひれ伏しかしこまった。
「お久しぶりです!」
「はは、君は相変わらず礼儀正しいね」
「お久しぶりです」
皆も礼をした。
マリーディアはにこりとした。
アズロ様って剣の師匠って言うより優しい学校の先生みたい。
マリーディアは尋ねた。
「何故ここへ?」
「ああ、ポートサス君ら神官達に呼ばれ君達を指導するようにと、何でもサブラアイム軍と戦える様にしてほしいと」
「呼ばれてたんですか」
「何か大変な戦いをしているようだね。私のいない間にこんな事になって、旅に出たのは正しかったのか」
「どちらへ?」
「修行の旅をしていたんだ。素手で熊を狩ったり、究極の目標は素手でドラゴンを狩る事だが」
ゾゾは言った。
「化け物じみてる」
ベルスは言った。
「剣術十段、空拳九段だからな」
アズロはクラビ達に気が付いた。
「おっと、クラビとボジャックは大けがして気を失っているが何かあったのか?」
「そうそう、まだ見つかってない人達を探さないと!」
そして一旦談話は打ち切り捜索を続け、ポートサス、ミッシェル、マークレイ、スタグラーの週人を見つけた。
「これで全員か」
「追っ手は来るのか」
ポートサスは言った。
「第二アジトへ行こう」
ミルダとシンバスも同行した。
そして離れた森の中に入った。
「森の入り口からちょうど五百メートル地点」
地表に隠されたスイッチを押すと表面がスライドして鉄製の階段が出て来た。
「ここから地下室に行く」
全員は地下へ降りた。
そこは少し殺風景だが木造の地下室で今でいう空手や柔道道場内部の様だった。
無駄な物があまりない静かで精神統一に良さそうだった。
「おっと、怪我した人達は早くヒーラーの力で回復させないと」
スタグラーは言った。
「私は大丈夫だ」
ポートサスは言った。
「すまない、少し傷の回復に時間がかかる。指導はミルダとシンバス、そしてアズロ様、スタグラー君に頼む」
スタグラーは言った。
「私に任せて下さい」
ヒーラーが言う。
「クラビとボジャック、マークレイは全治2日はかかります。ミッシェルは更にもう1日かかるかも知れません」
シンバスは言った。
「よし、これから最後の訓練を行う、時間はあと九日だがクラビ達の復活に二日かかるので実質七日だ。七日でアンドレイ軍やその上にいるコプロサスを倒せるかだが」
ミルダは言った。
「普通に考えてどんなに才能があってどんな良い師匠がいても時間がないわ。でも望みは二つある。一つは『勇者の魂』のコントロールともう一つはクラビ君が『神の被造物』である点。そこを大きくするしかないわ」
スタグラーは友好的に言った。
「私もクラビ君の神の力しかないと思っています。私も訓練に力を貸します。
ゾゾは思った。
こいつ信じて大丈夫なのか?
シンバスは勧める。
「では私達とアズロ様の予定を立てた訓練を始める。この前振り落としをしたが」
しかし、ジェイニーは立った。
「私にもやらせて下さい! ついて行きます!」
べルス達も立った。
「俺達もやります!」
「皆、そう言うんじゃないかと思ってたわ。ポートサスも言ってたわ」
「ポートサスさんも?」
そして訓練が始まった。
まず朝五時に起きて山頂までランニング。
ジェイニーは早くも息を切らしていた。
そしてそれが終わるとみっちり筋力トレーニング。
「マリーディアもへばりそうだぞ……」
「はい準備運動終わり!」
「準備運動!」
「まず手合い、そして超能力を使った戦いだ」




