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悪商人と孤児院の危機 強力モンスター連戦

「じゃあ、次の目的地に出発」

 と言おうとした。ところが職員が困りながら応対する偉そうな人物が門に来ている。

「な、何だ」


 職員はあくどそうな男に釈明した。

「お金は何とか返しますから! 買収はしないで下さい」

「いつまでに返せるんだね? こんなぼろい孤児院に当てがあるのかね」


 マリーディアは怒った。

「失礼じゃないんですか?」

「マリーディア、良いんだ!」


「ほう、女性職員さん、やはり今日もお綺麗だ。先日の件は考えてくれたかな」

「……」

 マリーディアは不快そうだ。


 クラビは聞いた。

「何の話ですか?」


 職員は恐る恐る答えた。

「マリーディアをこの人の息子の嫁にすれば借金を半額にしてやると言っているんだ」

「何だと!」

 

 ボジャック達は剣を向けた。

 しかし商人は動じない。


「おっと、これは金の契約の問題だ。暴力はおかしいと思うが」

「ぐっ!」

 

 ゴルブと呼ばれるかなり力のある商人は孤児院を狙っていた。

 クラビはめずらしくむきになって反撃した。


「わかりました返せばいいんでしょ」

「いくらかわかっているのかな」


「いくらなんですか?」

 クラビが聞くと職員は


「い、一千万です」

「な⁉️」


「一千万だよ分かっているのかな」

 ゴルブは完全に馬鹿にしている。


 クラビは睨んだ。

「わかりました、わかりましたよ。一千万を三か月で返します」

「出来なければ建物と土地とマリーディア君はもらうよ」


「クラビ!」

 ボジャックは怒った。


「後先考えず啖呵きってどうすんだよ。どういう当てや計画があるんだ」

「ない」


「ほらみろ!」

「じゃああのまま買収されて黙ってろって言うのか?」

「感情的になると普段言わない事言うよな。それも勇者の記憶なのか」


「とにかくモンスターを倒しまくる!」

「はあ……」


 まさに急転直下である。

 急に短期間で大金を集めなければならなくなった。


 しかし手っ取り早い方法などこの世にない。

 で計画より動く事にした。


「大胆にこつこつと」

「お前が啖呵切ったんだから責任持ってこれからの事決めろよ」


 とにもかくにも五人は少し強いモンスターが出てくる危険地帯に行き戦いを続けることにした。

 モンスターを倒して奪うか仕事を請け負うか。

 それしかない。後にも先にも。

 

 急にとんでもない事になってしまった。

 アンドレイ打倒の大義があるのに。


 のんびり屋だったクラビに激しい焦りが生まれそれに突き動かされた。

 クラビはいつの間にか考えもぺースも変わっていた。


 そして意図して探した為強い怪物と会った。

 かなりのスピードと鋭い嘴を持つ八十センチある大鷲ハクトウワシ。

 

 そして火炎を吐く全長三メートルのリトルドラゴン。ピスヘントだ。

 

 ドラゴンがいきなり火炎を吹いた為、ジェイニーは氷魔法で咄嗟に迎えうつ。

 ぶつかり合うがドラゴンの方が少し広範囲だ。


 そして狂暴な首狩り族。

 斧を振り回し、動きが速くクリティカルヒットもある危険な相手だ。


 しかも連戦が続く為、アンカーはずっと使えない。

 こういう時こそ能力配分やエネルギーのセーブや戦略が必要なのだ。

 ジェイニーの氷魔法だけでは埒が空かなかった。


 例えばリトルドラゴンの火炎を危険を承知でマリーディアのガードシールドで受け、ゾゾにエネルギーを渡して反撃が強烈そうな首狩り族を一撃で倒す等。

 

 しかし運命が代わり敵も強くなったので皆焦り戸惑っている。

 ゾゾはクリティカルで首狩り族の首を落とした。

 

 マリーディアはドラゴンに手を噛まれたが火炎は上手くかわして見せた。 

 剣で背中を切ろうとするが後ろが硬い。

 

 羽根から切ろうとした。

 噛みつきや火炎の死角の背中に乗り何発も叩いて硬い皮膚を切ろうとする。


 ジェイニーは魔法でハクトウワシを狙う。

 しかしかなり速い。

 

 ハクトウワシは火炎弾を避けてジェイニーめがけ急降下した。

 非常に速い。


「きゃあ!」

 と言いながらジェイニーは伏せて何とかかわした。


 ジェイニーは気をつける様に言った。

「速いわよすごく」

「アンドレイに強化されているのかも」


 何とさらに大鷲は火を食ってもフェニックスの様にまとって来た。

 ボジャックは驚いた。

「明らかにアンドレイに強化されてるだろ!」

 

 ジェイニーは氷魔法を撃った。

 これで急激な温度差で倒そうとする。


 クラビのアンカーはリトルドラゴンの火炎を上手く氷で防ぐときに使い、一網打尽の使い方はしなかった。


 ジェイニーはリードした。

「皆、焦りは禁物よ」

 

 ボジャックは思った。

 あいつ、孤児院が買収されるのも嫌なんだろうけど一番はマリーディアを嫁に取られる事なんだろ。

 それであんな必死で感情的に。


 次の敵大雪男は突如姿を現した。

 怪力で襲い掛かって来る。


 ホッキョクグマと巨大マントヒヒも現れた。

「寒い所にいる怪物ばかりね」 

「ここは雪山じゃない、伝説の生き物じゃないのかあいつ!」 

 ゴリラがすごく毛深く白くなった感じで身長は約二メートル。


 白いオランウータンのようでシロテテナガザルにも似ている。三メートルはある。

 雪男は息を吸い込み吹雪を吐いたがジェイニーは即座に反射して火炎で迎え打った。

「吹雪を吐けるの?」


 さらにホッキョクグマも吹雪を吐いた。

「なんで熊が吐けるんだ! しかも寒冷地帯じゃないだろどうなってるんだこいつらアンドレイの手下か」

 

 さらに熊はボジャックに襲いかかる。

 ボジャックは苦しみながら格闘した。

 

 しかも隙を付き噛もうとしたかと思えばかわせない至近距離で吹雪を吐く。

「ぐわ! 凍る!」

 ボジャックは隙を付かれ爪で切られた。


 普通は七十センチ位なのに三メートルはある巨大マントヒヒは動きは遅いがあくびと共に牙を出し重い攻撃をする。


 ここでもマリーディアが活躍した。

 重い攻撃をガードシールドで受けてエネルギーをボジャックにわたして攻撃する。


 ジェイニーは後方支援、ゾゾは高速移動で攪乱する。

 ジェイニーと雪男の撃ち合いは続く。

 

 しかし雪男は魔力が切れない。

 雪男は格闘を仕掛けずひたすら吹雪を吐く。

「どう言う肺活量してるのこいつ」

 

 ボジャックもホッキョクグマの狂暴さに手こずった。

 噛みつき、怪力、爪。

 

 ダウン状態で噛まれないよう口を押さえつけた。

 マントヒヒを相手にスピードで対抗するゾゾ。


 激闘の末ボジャックは熊の肩や腹や胸を数ヵ所切り刺し倒した。

 ゾゾもマントヒヒを倒した。


 今のレベルに相応しくない強敵だったが、何とか能力の組み合わせで倒すことが出来た。

 経験値も稼いだ。しかし疲労懇唄だ。

 

 回りは寒冷地帯の様になり、ボジャックは血を流した。ジェイニーも雪だらけだ。


「はあ、はあこのペースはマジきついぜ。確かにこのペースじゃないとお金たまらないだろうな」

「でも私達のパーティにはヒーラーがいない。疲れとダメージが蓄積していく」


 しかしクラビは全く納得してない。

「だめだ、これ位じゃ」

「いやそうはいってもさ」


「駄目」

「お前あんまり強敵と戦ってなかっただろ! 客観的に言うな!」


 ボジャックは言った。

「それにしてもこんな場所にこんな魔物が出るなんておかしい、どうなってるんだこの国は」


 ジェイニーとゾゾは言った。

「雪男初めて見た。まさか吹雪吐くとは。それだけじゃなく、雪山にいたのを捕まえて下ろして来たんじゃ。大分手がこんでるわ」


「デュプスをどんどん危険な国にしようとしてるのかも知れませんね」

 レベルは上がっていた。


【クラビステータス】

レベル八  力十七 体力十七 頑丈さ十五 素早さ十八 魔法十九 魔法耐性二十七

(アンカーを付けた効果で魔法防御は高い)


【ボジャックステータス】

レベル十二  力二十六 体力二十八 頑丈さ二十八 素早さ二十六 魔法十一 魔法耐性十三


【マリーディアステータス】

レベル十二  力二十五 体力二十六 頑丈さ二十五 素早さ三十二 魔法二十五 魔法耐性二十八


 現在金貨四十枚に銀貨が九十枚ほどだった。

 ボジャックは焦るクラビを諭した。

「やはり、無茶しすぎはまずいぜ、マラソンを全力疾走するような物だ。落ち着けよ」


 ジェイニーも言った。

「そうね、例えばギルドで報酬の多い仕事を探すとか」


 ボジャックは続ける。

「後は真面目に宝を発掘でもしないかぎり無理だ。北の海で海底に宝が眠っているなんて言うけどそんなのはただの伝説だ」


 クラビは言った。

「金塊を金山に掘りに行こう」

「ええ?」


「業者が採掘権持ってるんじゃない?」

「駄目で元々、行こう」


 しかしクラビは気づいていなかった。

 レベルアップスピードが上がっている事を。

 

 人格が変わり始めたのは記憶の戻りと能力覚醒が進んでいる事を。

 彼はこれからの成長がどうなるかまだ知らなかった。


 ところでボジャックはジェイニーと話すのが苦手だった。

 彼は幼少時女の子を泣かせ職員に怒られ謝る様に言われ謝ったのだが、何と優しく接しようと思ったのが上手く行かずまた泣かした。


 その為一度泣かせた女の子に苦手意識を持つようになったのだ。

 一方、狩りをするマークレイの元にサブラアイムの兵が二人現れた。

「誰だ」

「貴様はクラビと言う小僧の仲間ではないか」


「知らないな」

「口を割らせてやる!」

 と証拠もないのに襲いかかってきた兵の剣を軽くかわした。


「俺が何かしたか?」

「ぐっ、貴様ただ者ではない、クラビの仲間だな」


「仲間だったらどうするんだ」

「殺すのではなく人質になってもらう」

「ふん」


 マークレイは兵の動きの遅さに笑みが出た。

 軽くあしらい倒す。

 その強さはボジャックを優に越えている。


 過去、マークレイは孤児院に来た時は親の置き手紙と共に捨てられた。


 そこには「すまない、父さんと母さんはとても貧しくて子供を育てられない、どうか施設で幸せになってくれ」と書いてあった。


 その手紙の気持ちを痛い程理解した幼少時のマークレイは決して両親を恨まず明るく活発な子として育った。


 しかし十三歳の時実は親は貴族で、「生まれつき体力はあるが勉強に向いてないため捨てた」と言う真実が明らかになり、厚顔無知にも迎えに来た父親をなぐった。


 それから、彼は自制心の限界が来て荒れはじめた。

 そして卒業した今は必死で真面目に生きようとしている。

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