クラビ墜落…?
クラビは超スピードで空を飛んでいた。
時速にすれば何キロだろうか。
ボジャックの言った通り、低空まで飛行高度を落とし、何人かを地上に落とす。
しかし問題なのは、高度は落とせてもスピードはあまり落とせない事だ。
それをすればたちまちコプロサスに追いつかれてしまう。
恐らく振り落とされるのは現代で言えば自動車から落ちる様な衝撃だろう。
皆は鍛えているとはいえ衝撃に耐えられるのか。
切羽詰まった状態でかつハイスピードでクラビは決断しなければならなかった。
そして徐々に高度を落とした。
実はもう第二アジトを通過している。
しかし、アジトで降りれば当然そこが攻撃される。
今クラビがしているのはコプロサスをけん制しながら誘い込み撒く事だった。
それが、可能な相手かどうかわからなくても。
しかし限界は分からなくてもまだずっと飛べそうなコプロサスと短時間飛んだだけで寿命を著しく縮めるクラビでは勝負になっていない。
しかし、やるしかなかった。
まず、怪我しているミッシェルをどうするかだった。
ポートサスは言った。
「無理難題だが私とミッシェルを水中に落としてくれ。怪我しているミッシェルでは受け身が取れなくて地上に落ちたら最悪死んでしまうだろう」
スタグラーも理解を示した。
「私も協力しよう。ミッシェルを運ぶため私も水中に落としてくれ」
「分かりました」
クラビは同じような所を何回もぐるぐる回り完全に追いかけっこの状態だった。
飛行で目に圧が激しくかかる。
「よし、あの湖へ」
クラビは高度を下げると三人を湖に落とした。
沈んでいく三人。
コプロサスは落ちた三人には構わずクラビを追っている。
そろそろ力が限界だ。
そして信頼の元にマークレイとボジャックをぎりぎりまでスピードと高度を落として手を放した。
本当はこんな事はしたくない。
しかしもう他に方法が思いつかなかった。
そしてコプロサスはクラビのみを追ってきた。
クラビはもうオーバーヒート状態だった。
そして遂にコプロサスに追いつかれミッシェルの様に握られてしまった。
「ぐあああ!」
冷酷無比に力を加えるコプロサス。
「死ね」
その一言しか言わなかった。
「引っかかったな」
「何?」
クラビはにやりとした。
そして体内の勇者の魂を全開放出した。
コプロサスの手は凄まじい温度に包まれた。
「ぐわ! 熱い! 貴様これを狙っていたのか」
「ぐぐ」
「逃がさん」
「うおお」
遂にクラビの体の熱はコプロサスは捕まえていられなくなり放した。
クラビは力尽きて落ちて行った。
もう飛行能力はなかった。
気も失った。
コプロサスは
「ふん」
と言い空の彼方へ消えた。
その頃ジェイニー達は皆の捜索をしていた。
「ボジャック! しっかりして!」
ジェイニーは傷ついたボジャックを見つけた。
マリーディアは完全に力を無くし倒れていたクラビを見つけた。
「クラビーーーー‼」




