クラビ空を飛ぶ
「逃げよう!」
クラビは消耗した体も省みずミッシェルを担ぎ上げた。そして走り出した。
一方、ボジャック達三人はアンドレイと戦っていた。
スタグラーが先陣を切り攻めて行った。
中々良い勝負だ。
アンドレイは本気か分からないが。
その状況でマークレイは言った。
「ボジャック、俺はこの戦いで……」
「え?」
ボジャックは上手く聞き取れなかった。
しかしマークレイは何やら決死の覚悟でアンドレイを見つめていた。
拳に汗をかきアンドレイよりむしろ自分の内心を見ている様だった。
そしてふいにアンドレイに向け駆け出した。
ボジャックは訳が分からず叫んだ。
「何する気だ!」
しかし彼の耳には届かなかった。
「うおおお!」
しかしそこへ突如クラビが割って入った。
「クラビ!」
クラビは言う。
「皆‼ 逃げるぞ!」
「どうやってこいつらから!」
「飛ぶ!」
「飛ぶって⁉」
ポートサスは思いついた。
「クラビまさか!」
クラビは叫ぶ。
「俺の肩に皆につかまってくれ!」
「もしかして?」。
ボジャックは昔クラビが警備兵から助けてくれた時飛んだのを思い出した。
スタグラーもつかまった
しかしマークレイだけ迷っている。
「どうしたんだ?」
そして言った。
「……俺はここで死ぬ!」
「え⁉」
彼は説明する。
「アンドレイと相討ちになって死ぬ、嫌死なせてくれ! それ位しか出来る事がないんだ」
「意味が分からない! 時間がないんだ! つかまってくれ!」
「さっき言ったが俺は犯罪者だ、銃を隠し持ってたんだ。勇者の魂砲撃の長距離が出来たのも銃の仕組みを知ってたからだ。だからここで死なせてくれ! アンドレイは刺し違えてでも倒す。コプロサスは無理だが」
「何言ってるんだ! 償えば良いじゃないか!」
「それだけじゃない。俺がいたら皆に迷惑がかかる。取り調べだって受けるかも知れない」
クラビは言った。
「だったら俺も受けるよ」
ポートサスは言った。
「私も受けよう」
ボジャックも言った。
「俺もだ」
「!」
マークレイは涙をにじませそうになった。
しかし拒否した。
「しかし俺は」
「いいから!」
クラビは全員を強引に乗せいきなり鳥の様に空へ飛びあがった。
体中に勇者の魂のオーラをまとった。
「と、飛んだ! あの時みたいに」
ポートサスは言った。
「勇者の魂をもつ上位者はそれを最大解放する事で短時間空を飛べると言う、しかし」
アンドレイは悔しがった。
「くそ! まさか飛ぶとは」
コプロサスの声が聞こえる。
「もう良い、後は私がやる」
「うわ!」
飛び上がったクラビの横をいきなり稲妻が通過した。
更に二、三本威嚇の様に落ちた。
「コプロサスがやってるのか」
全地にとどろくような声が響く。
「逃げられんぞ」
「こ、これが邪神の声……!」
クラビは言う。
「今の俺達じゃコプロサスにかなわない。一旦逃げるぞ」
「しかし場所が」
ポートサスは言う。
「もう一つのアジトが近くにある! そこにゾゾ達も呼ぶんだ。そしてそこには君達の剣の師匠も呼んでおいた」
「アズロ様ですか」
クラビは上空を凄まじいスピードで飛んだ。
しかしコプロサスの手は猛スピードで追いかけ火の弾も撃って来る。
ポートサスは言った。
「クラビ、きついんだろう」
「え?」
「勇者の魂を開放して飛べば生命力と寿命を著しく失う!」
「え?」
「……」
凄まじいスピードでコプロサスの手は追いかけて来る。
ボジャックは言う。
「クラビ、俺達を落とせ」
「そんな事」
「分かってる。お前がそんな事出来ない事は、ならば低空か水の中に俺達を落とし、軽くなったら一人で逃げるんだ」
「……」
「それしか手はない!」




