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勇者の記憶と力を封印された少年、「神に造られし者」の孤児に転生し悪人と再対決する  作者: 元々島の人


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果てない闘志とボール

「うおお」

 ミッシェルは猛々しく吠え殴りかかった。

 ポートサスは殴られ顔が歪んだ。


「あっ!」

 こんなポートサスの顔は皆見た事がなかった。

 体勢を崩しながら何とか踏みとどまった。


「へへ、もう一発」 

 変わらぬ勢いでミッシェルは再度殴りかかった。


 今度は何とかポートサスはブロックした。

 腕が衝撃で震えている。

「くっ!」


 そして返しのポートサスの手刀をミッシェルはバックしてかわした。

 

 こいつ……

 侮れない、と言う顔をポートサスはした。


 ベルスは驚いた。

「あのポートサスさん相手に全くひるんでない」


 ボジャックは思った。

 ポートサスさんがどんなもんか分からないからわざと最初の相手を買って出てくれたんだろう。


「はあっ!」

「はっ!」


 努めて落ちついた顔をしようとするポートサス。

 気迫全開だが憎しみは出さないミッシェル。


 ミッシェルは憎しみでなくただ気迫だけを見せた。

 しかもどこか余裕を見せながら。


 それは相手に呑まれまいとするためと、ポートサスの様子を伺うためだった。


 いつものいかにも忍者的な細かい動きを封印した。

 落ちついた手刀と激しい拳のぶつかり合い。


「くっ」

 ポートサスは少し口を拭った。

  

 隙はポートサスの方が小さい。

 ミッシェルは弾力のある全身の筋肉と逆に硬質的な拳を併せ持つ。

 

 その後も食らったりガードしたりの攻防を2人は続けた。勿論当たった。

 がミッシェルの勢いはいささかも衰えない。


 常に全力パンチだ。

 忍術等小細工は使わない。


 じっと目をこらして様子を伺うポートサス。

 ベルス達は話した。

「さっきから忍術使ってないな」

「ほんと、ただの喧嘩みたい。だけどそれでも戦えちゃうのがミッシェルさんの強みかも」


 ポートサスは口を開いた。

「随分硬軟併せ持っているな。動きにも攻めにもそれが感じられるよ。しかも速い」


 皆感心した。

「ポートサスさんが褒めてる」


 ポートサスは聞いた。

「忍術とやらは使わないのか」

「さっきも言ったが俺は忍者の端くれの少し喧嘩が強いだけの奴さ」


「大分素質があるよ」

「あんたが褒めてくれるとは思わなかった」


 その後もボクシングの様な激しいラリーは続いた。

 しかしポートサスは段々とミッシェルの動きを読み優勢になり動きに無駄が無くなった。

 

 ミッシェルは汗を流し息もきつくなった。

 しかし弱音は吐かない。


 戦闘中にポートサスは口を挟んだ。

「君はアンドレイ達を倒すのに忍者としての力を使う為パーティに入ったのか」


「それは当初の目的です。でも今は仲間と一緒に旅して力になれるのが一番の喜びですよ。勿論サブラアイムに平和を取り戻したいしね。それはクラビに是非やってもらいたい」


 この信頼本物か……

 何故あの少年にはそこまで言わせる何かがあるのか。


 話は止め二人は再開した。

 やはりポートサスの方が有利で息も切れていない。


「そろそろ降参したらどうだ」

「大丈夫ですよ」


 その後何発もポートサスの攻撃がミッシェルに当たった。

 しかし倒れずこらえて見せる。


「まだまだあ」

 目が全く死んでいない。

 しかしそろそろ終わらせないと。


 ポートサスは連続攻撃をヒットさせた。

 しかしまだミッシェルは一向に闘志を失わない。


「ば、化け物かよあの人……」

 まだ殴り合いは続く。


 体力を直ぐ回復するミッシェル。

 いや痛みはあっても精神力でこらえてるのかも知れない。

 ポートサスは少しだけ戦慄した。


「どんな人生を送って修行をしたら、こんな不死身のゾンビの様になるんだ。しかもゾンビの様でなく目が光ったままだ」

「はあはあ」


「うおおお!」

 しかしミッシェルはこれをかわされポートサスの一撃を食う。

「ま、まだだ!」


 ポートサスの渾身の鉄拳がヒットした。

「ああ!」


 しかしこれでもミッシェルは踏ん張り即座に反撃のパンチを返した。

「何!」


 ポートサスは初めて予想を超えられた。

「ふう」

「降参したまえ」

「やです」


「仕方ない」

 やむなくポートサスは首の急所をついて気絶させた。

「はあはあ」


「ポートサスさんが息を切らしてる」

 シンバスは聞いた。

「ポートサス大丈夫か? 代わろうか」

「いや、大丈夫だ」


 そして次はシヴァの番になった。

 何とか復帰したマークレイは座って見ていた。

「あいつ大丈夫なのか」


 ポートサスは思った。

 彼か、精神疾患になった少年と言うのは。


 シヴァはぺこりとあいさつし、にらみ合いの末戦いが始まった。

 シヴァはパンチを繰り出した。

 しかしこれは難なく防がれた。


 しかし何発かのパンチの後突如火の吹くようなキックを放った。


 回想に入る。

 シヴァは気弱と言うより朴訥な少年だった。

 運動神経抜群でサッカーが大得意。


 暇さえあればボールを蹴っていた。

「シヴァってサッカーの時には凄く熱くなるよな」

「うおおお!」


 試合で渾身のシュートを放った。

 俺は将来選手になる。

 別に金持ちとかじゃなく、好きな事がしたい。


 そして姉さんとロッシも見つかるかも。

 シヴァは壁に向けてひたすらボールを蹴り戻って来るのを受けまた蹴る。


 職員は言った。

「彼はボール蹴りを人との対話の様に思っているんだ、壁にぶつければ返って来るだろ」

「お姉さんと妹さんの事を思い出しているんじゃ」


 しかし彼はマークレイとの喧嘩で精神疾患になった。

 そしてマークレイの兵隊として戦う為強くなった。


 回想を終わる。


 マークレイは思った。

 あいつが病気になったのは俺のせいだ。何としても元に戻してやらなきゃ駄目なんだ。

 


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