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勇者の記憶と力を封印された少年、「神に造られし者」の孤児に転生し悪人と再対決する  作者: 元々島の人


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ゾゾの戦う意味 ぼろぼろマリーディア

 ゾゾは置かれた状況が呑み込めなかった。

 マリーディアもかなり怖がり、戸惑っている。


 マリーディアは雰囲気を裂こうと、やむなくへなへななパンチを放ちゾゾの頬に当たった。

 勿論全く効いていない。


 ポートサスが叫んだ。

「何だ、真面目にやっているのか」


 マリーディアは申し訳なさそうに答えた。

「で、出来ません、仲間を殴り、まして倒す等」

「なら、さっき言った通り全員で帰ってもらうぞ」


「……」

 ゾゾは拳とにらめっこを続けた。

「……」


 マリーディアと拳を交互に見ていた。

 こんなに悩んだのは久しぶりだ。


 何でこんな試練を……

「くっ!」

 そして意を決した。


「うおおお!」

 突っ込むかと思いきや、何とゾゾは自分の顔を殴った。


 場が騒然とした。

 意味不明な行動ととり、ポートサスは睨んだ。


 泣きそうな顔で、呼ばれる前からゾゾはポートサスに向けて叫んだ。

「出来る訳ないじゃないですかマリーディアさんを殴るなんて! そんなら自分が殴られた方がましです」


「……」

 また「帰れ」って言いそうだな。

 とゾゾは思った。


 しかし待っていたのは少し意外な言葉だった。

「小僧、お前は何の為に戦っている」

「え?」


「答えろ」

「え、えーと」

「……」


 ゾゾは直立不動で背筋を伸ばし少し上を向いて叫んだ。

「それは、クラビさん達尊敬する先輩達の力となって戦う為です!」


「……」

「そのためならどんな苦難も怖くないし、命も捨てる覚悟です!」

「……」


「はあ、はあ」

「それが理由か」


「はい」

「……足りないなそれでは。自分が前に出て行っていない。自分の事として捉え受け止めていない。ただ先輩の後を付いて行ってるだけだ。コバンザメみたいに」

「……!」


 ゾゾをコバンザメ……

 ボジャックは内心怒った。


 しかしゾゾは少し思い当たった。

 そうだ、俺はクラビさんの子分の意識が強すぎて後を付いて行くだけだった。

 恐竜との戦いで思ったじゃないか。


 それなのに俺は「守る物を探す」とか言いながら何も見つかってないじゃないか。

 

 ゾゾは言いかえさなかった。

「どうした続けろ」

「は、はい!」


 ゾゾは恐る恐るマリーディアを見た。

 少しマリーディアは安心させるように微笑んだ。


「いいわよ、いつでも」

 ゾゾはどきんとした。

 すごい包容力だなあ。


「じゃあ、行くわよ」

 マリーディアはゾゾにパンチを撃ちこんだ。

 見かけによらず凄まじい威力である。


 ど、どこにこんな力があんだよ。

 それにマリーディアさんの性格じゃ戦えないと思ってたのに。

 やはり「帰れ」と言われたからか。


「う、うおおお!」

 闇雲なゾゾのパンチはかわされた。


 マリーディアは余裕の表情で「さあ来い」と言う様なポーズを作る。

 遂にゾゾのパンチが入った。


 マリーディアの顔が歪む。

 しかし言った。


「ゾゾ、戦う理由に悩むんなら私との戦いで何かを掴みなさい」

「!」


 しかしポートサスはまた厳しい言葉を投げた。

「人にアドバイスをする暇があるのか。言っておくが君も戦士の道を歩むなら女としての甘えは捨てるんだな」

「……」


 そして二人は本気で殴り合った。

 ゾゾはこう思った。


 別にマリーディアさんを踏み台にするんじゃない、あいつがこれをクリアしなければ皆を返すんだろ、だったら何とかここをクリアするしかない。


「本気で殴り合ってるぜ」

「おい」

 ポートサスがボジャック達に水を向けた。 


「はい」

「お前らの立場は何だ」


「は?」

「お前らは観客か? 他人事に見ている暇はないだろう。お前達も何かしろ」

「……」


 他のメンバーは空いたスペースで組手をした。

 ゾゾもマリーディアも本気で殴り合った。

 しかし憎しみ等なかった。


 ただ目の前の課題の為だった。

 理不尽すぎるとしても。


 マリーディアもボロボロだった。

 脱水症状でも起きそうだ。


「マリーディアの綺麗な顔が変形しちまうぞ」

 ゾゾはあまり何かを掴めなかった。

 何て理不尽なんだ、女まで殴らなきゃいけないのか。でも俺は必ずこの先戦う理由を!


 マリーディアは倒れた。

「マリーディア!」


 駆け寄った皆にポートサスは言う。

「これからはお前らをふるいにかけ生き残った者だけを鍛える。全員が教えられると思うなそんな余裕はない。量より質だ」


「ふるいにかける?」 

「ああ、特にジェイニーお前は駄目だ、ついてこれない」  



 


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