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勇者の記憶と力を封印された少年、「神に造られし者」の孤児に転生し悪人と再対決する  作者: 元々島の人


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新幹部グラウトマンの毒の血

 アイムは皆を励ました。

「皆、もう少しで神の闘技場よ!」


 ボジャックとマークレイは答えた。

「ああ、だがこのままサブラアイム軍が手をこまねいているとは思えない」

「もうすぐ、追っ手が来そうな頃合いだぞ」


「慎重に、慎重に」

 ミッシェルは思った。

 

 俺の感知能力にも引っかからないな。

 本当に何もないのか。


 と思った瞬間、至近距離で突如大爆発が起きた。

「ぐあ!!」


 地面に穴が開きそこらに煙が舞った。

 幸い、皆ぎりぎりで察知し、伏せたりして大ダメージを逃れた。

「誰だ」


「ふっふっふ」

 太い声が聞こえた。


 見ると爆裂魔法を放ったらしい小柄な魔法使いを従えた顔全体を鉄仮面で覆った重装兵が一人現れた。百七十二センチ程の背丈だろうか。


「誰だ!」

「メッサー・ディルゴじゃない?」


 男は自己紹介した。

「ふっふっふ。挨拶が派手になった様だね。私はメッサー・ディルゴと並ぶ幹部のグライゼン・グラウトマンだ」

「幹部?」


 ボジャックは言った。

「神の闘技場の近くで待ち伏せって事か」


「そうだ。大体我々がいる事は予測できたようだな。私自らアンドレイ様の勅命で来たのだ。遠路はるばるで大分疲弊しているようだが私に勝てるかな」


 マークレイとベルスは言った。

「うるさい、たった二人で勝てると思うなよ。お前がどれほどの者か知らんが」

「部下をもっと連れて来た方が良かったんじゃないのか?」


 クラビは突如沈黙を破り前に出た。

「ここまで来たんだ。たどり着くまで邪魔は決してさせない」


 クラビの毅然たる表情と威圧感に皆驚いた。

 クラビ……

 マリーディアはとても頼もしく思った。


「俺がまず相手をしよう」

 とクラビは一人で相手をしようとした。


「いや待て」

 とボジャックは前に出た。

「ここはまず俺が様子を見る」


 グラウトマンは何となくにやりとしているのが仮面の下から伝わって来るようだった。

 ボジャックは思った。

 普通に考えて動きが鈍くて防御が相当固そうな相手だな。


 そしてボジャックは先制攻撃とばかりに一気に切り込んだ。

  即座に間合いを詰め、本当に動きが遅いか確かめる為あえて大振りで鎧の胸を切りに行った。


 ところが次の瞬間。

 グラウトマンの鎧は実は革のように柔らかく、剣でいともあっさり切れた。

 

 そしてその下の肉をざっくりと切り大量の血が噴き出した。

 ベルスは言った。

「え? 何でこいつわざわざ柔らかい鎧着てるんだ? それに致命傷だぞ!」

 

 はたから見たら完全に勝負あった傷の大きさと血の量だった。

 しかしひるまない。


 ミッシェルとゾゾは言った。

「ど、どうなってんだこいつ」

「血があんなに出てるのに効いてないぞ」


「くっくく」

 ミッシェルは気づいた。

「あれは、血じゃない? いや液体でなく気体じゃないのか?」

「よく見破ったな」


 何と噴き出る血は気体のようにボジャックに襲い掛かった。

「ぐあ!」


 グラウトマンは言う。

「吸い込まない方がいいぞ毒ガスは」


 ベルスは言った。

「そうか! 鎧の下にガスでも仕込んでたんだな」

「馬鹿か貴様は、外れだ。そんな下等なトリックを使うか」


「何?」

「これは正真正銘私の血だよ」

「ど、どう見たって気体じゃないか」


 しかしクラビは見破った。

「いや違う、あれは気体でも液体でもあるんだ」

「ご名答、さすが勇者だな」


 シヴァは言った。

「しかし血なら何であんなに出て平気なんだ」

「私が不死身だからだよ」


「お前、もしかしてアンデットか?」

「それはどうかな? それより早く私を倒さんとその男が死ぬぞ」


 ベルスは言う。

「どうすれば良いんだこいつ、ゾンビみたいでどう攻めて良いのか分からない」


 マリーディアは射出型光剣を出し、剣の形で固めた。

「お、おい無茶するなよ」


「はあ!」

 マリーディアは「突撃型」の構えで携え突撃した。

 速いとはいえ少々迂闊に。


 それはボジャックを助ける為だったからだ。

 そしてグラウトマンは避けようともせず心臓部分を貫かれた。

「え?」


 マリーディアには確信があった。

「心臓を貫けば死なない生物何て……!」


 しかしグラウトマンは全く動じない。

 手ごたえは完全にあった。


 マリーディアは剣を刺した状態で当惑した。

 しかし次の瞬間、先程と同じく傷口から大量の血のようなガスが発生しマリーディアを襲った。

「ぐっ!」


「マリーディア!」

「早く私を倒さんと今度はその娘も毒で死ぬぞ」

「あいつ、ゾンビかなんかか? 既に不死状態になってるとか」


 ミッシェルは否定した。

「いやゾンビには血液がない」


「何だあいつ人間かゾンビか?」

「くっくっく」


 アイムは叫んだ。

「わかったわ! あなたは人間でもアンデットでもない、アンドレイと同じ世界に住む上級種族ね!」


 グラウトマンは正解とでも言いたげだった。

「そうだな。生物でも非生物でもある。生命がありなくもある。貴様らはかってドラゴンでも人間体でもある戦士と戦ったろう。それと同じだ。生命体でも不死身でもあるのさ」


 と言い、瘴気を集め始めた。

「ふふ、俺の怨念や憎しみ他の人間の悪の感情を結合する」


 禍々しい気体が「集まり覆う。そして溜まった物を周りに一斉放出した。


「ぐあ! 暗闇に包まれた」

「毒付きだ」  

  



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