クラビ無敵の戦い サブラアイムへ
クラビの剣が唸り、サブラアイム兵をざっくり切った。
前より表情が非情になっている。
回想は終わり一泊したクラビ側パーティは、もう少しでサブラアイムとの国境だった。
その休憩所でマークレイ達と落ち合う。
しかし、又追っ手が来た。
幹部クラスはいなかったが、精鋭の戦士達が十人、魔法使いが三人、弓兵が五人、そして後ろにオオトカゲ、大熊、ガーゴイルと吸血日光コウモリの群れとオーガが一匹待機しそれを操るモンスター使いが一人だった。
そして魔法使いの金縛りの術でクラビ以外のメンバーが全員動きを封じられ、クラビだけが脱出し一人で相手をしていた。
しかし、それでも今のクラビは前と比べ物にならない程強くなっていた。
また前世の人格がかなり戻りお人好しな部分が減り顔つきが慄然としてきた。
クラビは切りかかる兵の剣を受け止めるとその反撃の一撃で切り伏せた。
次の一人は切りかかる前に倒した。
リーダー格の兵が言った。
「何をやっている! 相手は一人だぞ!」
「後ろから矢で撃ってやる」
五メートル斜め後ろから弓兵の矢が放たれた。
しかしこれもクラビは素早く反射して向き直り剣で切り払って見せた。
「なっ⁉」
魔法使いはいきり立った。
「あう、くそ! これならどうだ!」
直径三十センチはある火炎弾が斜め後ろから放たれた。
しかしクラビの右手がまばゆく青白く光りはじめる。
そしてバリアの様に手に膜が出来た。
そして飛んできた火炎弾を苦もなく最低限の動きで受け止めた。
手の光の力でたちどころに火炎と熱は消えた。
そして突如、クラビの左目が光り激しい光が発せられ魔法使いと弓兵達は目がくらんだ。
そして振り向いたクラビは今度は剣兵を一太刀の元に倒した。
一秒かかってないかも知れない。
「つ、強い」
また切るのにためらいがなくなった感じが漂う。
さらにクラビは今度は剣を一振りし、二メートルはある扇形の閃光を剣から出し、またたく間に前方の兵達を一気に駆除の如くに薙ぎ払った。
そして即座に向き直り、弓兵と魔法使いにも閃光を発しあっさり倒した。
三秒かかっていない。
残酷にも縦に真っ二つにされた。
死体が血と共に横たわる。
しかしクラビは甘さを見せず表情を変えなかった。
「おのれ! ならこのモンスター達には勝てないだろう!」
モンスター使いはいきり立った。
しかしおびえもある。
まず三メートルあるオオトカゲと大熊が前に出た。
しかしクラビは射出型光剣を出し、オオトカゲをあっさり貫き、さらに戸惑った大熊を二発目で貫いた。
この間一分もなかった。
さらに空からガーゴイルと吸血コウモリの群れが襲い掛かって来たが、先日覚えた「勇者の魂放出」を空に放った。
大量の光の玉がガーゴイルと吸血蝙蝠を狙い撃ちにし叩き落した。
墜落し絶命した。
続いてオーガがのしのし歩き襲い掛かって来た。
身長四メートルはある。
しかしクラビは手を前に出した。
激しく力を溜めた。
マークレイの技……
別の場所で移動中のマークレイは気が付いた。
「これはクラビが俺と同じ技を使おうとしている⁉」
クラビはマークレイのそれよりさらに強力な「勇者の魂の砲撃」を放った。
オーガの全身を覆う程の大きさの白色光線が襲い掛かった。
焼き付くすと言うより死体すら残さず完全に消滅させてしまった。
ちり一つない。
「なっ!」
あまりのクラビの強さにモンスター使いは慌てた。
「くそ! 殺すんなら殺せ! どうせ逃げたってアンドレイ様に処刑されるんだ!」
しかしクラビは振り返り止めを刺すのを止めた。
マリーディア達の金縛りが解けた。
マリーディアは思った。
あれがクラビ……いつの間にか全然雰囲気が変わってる。
勇者の人格が大部分戻ったからかも知れないけど、前の面影がほとんどなくなってる。
何か複雑な気分。
クラビは言った。
「じゃあ、行こう」
そして一行は国境の休憩所に着いた。
「来た!」
マークレイ達は先日の戦闘で傷つきながら何とか来た。
「遅くなったな」
「じゃあ皆でサブラアイムに行こう」
「多分サブラアイムにはアンドレイが放った強力な魔物が歩いているだろう」
そしてサブラアイムに入り神の闘技場を目指した。
途中強い魔物にも会った。
しかしパワーアップした一行は切り抜け、町で一泊し休み、いよいよ神の闘技場が近づいた。




