クラビ、ボジャック、マークレイの過去回想
回想に入る。
孤児院で皆が十一歳の頃である。
授業としてサッカーをしている。
マークレイはドリブルで何人もの相手を抜いて突っ込み、一気にシュートを決める。
「凄いぜ! マークレイがいれば負けないぜ」
「本当何やらせても天才だよな」
この頃のマークレイは威張る事がない理想のリーダーの様だった。
それを相手チームのボジャックは寂しげに見ていた。
「俺も上手くなりたい」
そして次の授業の時、ボジャックは意識してマークレイにぶつかり止めに行った。
「うおおお!」
凄い気迫だったが、簡単に抜かれた。
その後二回程ぶつかったがやはり駄目だった。
そして授業は終わった。
ボジャックは悔しくため息を付いていた。
「俺だって練習してるのに、マークレイは本当に天才だ」
近くにクラビがいた。
ボジャックは声をかけた。
「お前、サッカーで勝つのに協力してくれないか」
「協力?」
「ああ、マークレイに勝ちたいから練習したり、二人がかりで止めるんだ」
「あ、ああ」
「あまり乗り気じゃないか」
「僕は剣術もそうだけど、サッカーも大した事ない」
「俺は悔しいんだ。マークレイがいつも勝つのが、彼が嫌いじゃないけどさ。でもあいつは天才だから一人じゃ厳しい。協力してくれないか」
そして二人は合同練習を始めた。
パスをしながらボジャックは聞いた。
「お前はマークレイの事どう思ってる?」
「良い奴だと思うよ。色々助けてくれるし」
「俺も嫌いじゃない。でも俺はあいつの人気と才能に嫉妬してるんだ。お前はそう思わない?」
「あまりサッカーで勝ちたいとか妬みはない」
「孤児なのに競争心低いな」
「……」
パスの連携が良くなって行った。
そして練習をした二人は次の試合で二人かかりでマークレイにタックルした。
ボジャックは抜かれたがマークレイに少し隙を生んだ。
そして隙をついてクラビが攻めるとボールは違う方に飛んで行った。
こいつら……
マークレイは思った。
ボジャックは思った。
「俺は強く、中心的な人間になりたい、中途半端な立場でいるのが嫌なんだ。だからいつか『中途半端は嫌いだ!』と豪語出来る人間になりたい。お前はどうだ」
「僕もサッカー嫌いじゃないし練習もしない。だけど対抗意識みたいな物がどうも生まれにくいんだ」
「生まれつきの性格なのかな、孤児は皆自分の取り分や居場所をめぐって戦う者さ」
「あまり闘争心がない」
「ちょっと変わってるな」
マークレイは顔を洗いながら思った。
俺は、本心では皆に尊敬されるリーダーでいたいんだ。俺は親がいないから褒めてくれる人もいない。だからアイデンティティーが必要なんだ。俺は孤児だから皆の役に立ち守る人間であろうと思った、そうしようと思ってた。でも段々それだけの気持ちじゃないって分かりだした。
そしてやがて貴族である生きていたマークレイの親が来てから彼は変わった。
「ふざけるな! 俺を捨てといて今現れるなんてどう言う言い分だ!」
そしてベルスが入ってきて本格的に窃盗団が出来た。
そしてベルスはやだと言う少年にもやらせようとした。
突如クラビは立ち上がり怒鳴った。
「止めろ‼ 嫌がってるじゃないか!」
「何だお前、いつも黙ってるくせに。やるってのか?」
クラビは構えた。
マークレイは言った。
「止めろ! 喧嘩はよせ、ボクシングで決めろ」
そして二、人は試合する事になった。
しかしクラビはボクシングを碌にしてなかった。
勝負は明白でクラビは押されまくった。
ベルスは言った。
「そろそろ決めてやるよ」
すると突如クラビの右目と拳が光り、凄まじい威力のパンチを繰り出した。
ベルスはカウント八で立ち上がった。
こいつ一体……
結局試合は続行されクラビは判定負けした。
しかしベルスは勝った気がしなかった。
ボジャックが疲労困憊のクラビを迎えた。
「お前、凄いんだな、謎の力も凄かったけど、それより他人をかばって戦うのが凄かった。凄いよ、お前の夢是非俺に助けさせてくれ、実現するまでな!」
回想は続く。




