ゾゾとシヴァの決意
クラビはすぐ病院に運ばれた。
命に別状はなかった。
ただ少し血が多く流れた。
そして半日が経った。
「短期入院となりますが二日もすれば完治するでしょう。普通の人間では考えられません。凄まじいまでの回復力です」
ボジャックは言った。
「先を急ぐ必要もあるけどここはゆっくり休んでもらおう」
クラビは良く寝た。
そして退院の日が来た。
ボジャックは言う。
「退院祝いに美味い物食べて少し高級な所に泊まろう」
そして宿の予約を取り少し時間が空いた。
「自由時間にしよう」
皆バラバラに街の各地へ散った。
シヴァは公園に来ていた。
サッカーボールを持っていた。
よく子供がボール遊びを一人でする為の大きな壁のある場所に来た。
壁に視線を強く向け精神を集中しボールを蹴る準備をした。
そしてボールを蹴った。
すぐさまボールは帰ってくる。
それを足で受け止めまた蹴る。
しばらくそれに慣れたら今度は戻ってくるボールを蹴り返した。
当然足への負担は上がる。
無我夢中だった。
「クラビだってすごい努力してるんだ。俺もやらなきゃ、やれるはず。キック力をひたすら伸ばし新しいスキルを会得する」
ゾゾは少し離れた所で剣を振った。
何の為戦うのか考え自問自答しながら。
過去の思い出を掘り下げた。
何故戦おうとしたのか。
強くなろうとした真の理由はどこにあったのか。
そしてこれからはどう考えるか。
マリーディアも少し離れた所で剣を振っていた。
「クラビの成長すごいな。でも私はあまり変わらない。このままだと段々遠い存在になってしまう」
そこへアイムが来た。
「大丈夫?」
マリーディアは訳を話した。
「私、クラビみたいに特別な人間じゃないから。あまり伸びないかも」
アイムは答えた。
「そんな事ないわ、貴方はクラビに次いで勇者の素養と資格があるのよ」
「えっ!」
「だから神様が選んでくれた。だから自分を信じて努力を続けて」
ボジャックは岩を押し続け体力アップを図った。
ジェイニーは町中で魔法を使う訳に行かず悩んでいた。
夜は高い宿に泊まり美味しい物を食べた。
そしてクラビは夜中また外に出た。
そこへゾゾとシヴァが来た。
「怪我復帰いきなり何ですが、俺と手合いして下さい! もっと強くいや強くなる理由を知りたいんです」
シヴァは言った。
「俺も新しいスキルを身に付けたから」
「分かった」
クラビは承諾した。
「行くぞ」
クラビは剣を振り閃光を飛ばした。
これを何とか防ぐゾゾ。
さらに容赦なく閃光を連発するクラビ。
ペースが速くなる。
ゾゾは必死で避ける。
「兄貴、俺は強くなるよ」
「まだまだ」
クラビは攻める。
「よし今度はシヴァ」
こちらも同じく閃光を放つ。
シヴァも閃光を放った。
「おお!」
「これだけじゃない、もう一発頼む」
クラビが閃光を放つと、シヴァの脛がまばゆく光り何とサッカーボールの様に足で防いだ。
「ええ!」
これにはクラビも驚いた。
「もっと来てくれ」
そしてクラビが閃光を放つとなんと今度は蹴り返した。
「これが俺の足の力を生かした新スキル」
そして二人はラリーした。
「俺にも!」
ゾゾは言った。
するとクラビは
「良し、俺も新しいスキルを見せる。『勇者の魂の放出』だ」
「え?」
クラビは手のひらを前面に出した。
「はあ!」
そこからクラビは無数の光の玉を放った。
「うわ!」
さすがに二人は防げず倒れた。
「これあまり連発出来ないんだ」
「もう一発お願いします!」
ゾゾに魂を再度見舞った。
ゾゾは必死に光弾を剣で切ったり防ぐ。
クラビにはゾゾの背中に登り竜が出ている様に見えた。
「ちょっと休ませて」
クラビは休んだ。
「もう少しで何か掴めそうです! 今度は直接木刀で切りあいを」
それを陰でスタグラーが見ていた。
「ふふ、大分勇者として強くなってきた様だな。そうでなくては困る。私も軍勢を大分集めた」




