ミッシェル破竹の勢い
シヴァは少したどたどしく言った。
「昔の様にサッカーがしたいよ。俺は元々サッカーしたかった。でもマークレイに恐怖を植え付けられ病気になり自分を見失って行った。だからこれからは病院に行ったりして少しずつ治す。勿論アンドレイ打倒に全力を尽くすつもりだ」
「早く、よくなってね」
マリーディアは優しく言った。
シヴァは言った。
「誰の為に強くなるのか……」
するとゾゾは言った。
「それは俺も同じですよ。これから守る物を探しましょう」
「じゃあ、先に進もう、ジェイニーの石化を治すまで戦いは避けた方が良い」
場所は変わり、ミッシェル達は敵と遭遇した。
こちらは魔物ではなくサブラアイム兵団であった。
「ここで死んでもらうよ」
ボス格が一人と手下が二十人程だった。
マークレイは言った。
「やってみろ。パワーアップした俺達に二十人いても敵ではない」
「ほざけ!」
兵の一人が切りかかったがマークレイは軽くいなして見せた。
「よーし、俺がやるか」
と挑戦的な目でミッシェルは前に出た。
その時、矢が飛んできて刀とミッシェルの手の甲に当たった。
手の甲はずらした為致命的ではなかったが、刀を飛ばされてしまった。
「今だやっちまえ!」
一斉に兵達はミッシェル目掛けて襲い掛かった。
しかしミッシェルは刀を拾いに行こうとしなかった。
「うはああ!」
一人が真上から振り下ろし切りつけたが難なくかわして見せた。
続く二人目の兵の攻撃を今度はしゃがんで防ぎ、低い体勢から突き上げる様に腹にパンチをめり込ませた。
「があ……」
兵は倒れた。
もう一人の兵が切りかかったがさっとかわし肘打ちで顔を殴りあっさり気を失わせた。
ぽかんとするマークレイとベルス。
「素手でもここまで強いのか!」
「おっと俺達も戦わないと!」
マークレイ達は助けに行った。
ミッシェルに向かって行った兵は言った。
「き、貴様何者だ。素手でこれ程の強さを。忍者の技か」
「それもあるけど独学もあるよ、十四歳位の頃は喧嘩もしたし」
「舐められて溜まるか! まずあいつを潰せ!」
二、三人がミッシェルにかかった。
剣で切りかかる兵士の攻撃を余裕を持ってかわす。
「三人かかりだ!」
三人は一斉にミッシェルを切ろうとするがおよそ常人の速度でない動きでかわされた。
そしてパンチが兵士の一人の顔を思い切り捕らえた。
「が、があっ‼」
すさまじい破壊力だった。
ベルスは言った。
「で、出た。最強のパンチ」
もう一人の兵士は素早くしゃがみ足払いで蹴り倒した。
そして
「蜘蛛の糸」
スパイダーネットで一人の兵をがんじがらめにし振り回して叩きつけた。
足払いで起き上がった兵にはエネルギーの手裏剣を放ち倒した。
「さて刀を拾いに行くか」
一方マークレイは決死の表情で戦っていた。
「俺は勇者になるんだ。クラビ以上の! 別にあいつが憎い訳じゃない。でもアンドレイは俺が倒す。その為戦いでもっともっと強くなる!」
回想に入る。
ミッシェルが十二歳の頃孤児院で初めてマークレイに会った。
ミッシェルは飄々としていた。
この時のミッシェルは素顔でなく老けた顔の皮をかぶっていた。
十二歳のマークレイは馬鹿にした。
「何だお前、老けた顔」
次の瞬間凄まじいパンチがマークレイの顔を捕らえた。そして吹っ飛ばされた
「え?」
マークレイは何だか分からず見ていた人達も騒然となった。
そしてミッシェルは皮を脱ぎ童顔の美少年の顔を出した。
「悪いな。俺は童顔で舐められることが多いからこうして老け顔の皮を付けてたんだ」
この時からミッシェルがマークレイに代わってリーダーになった。




