キマイラとの激闘 ボジャックの思い出
一方クラビ達はキマイラと戦っていた。
(ボジャック達が終わってからでなく同時並行時間軸)
キマイラは体の前部がライオン、胴はヤギ、後部は蛇の頭の尻尾が付いている。
キマイラの蛇頭の尾から火炎が発射された。
かなり強力だ。
マリーディアはシールドブレスで真っ向から受け止めた。
「ぐっ!」
火の勢いが凄い上に、肺活量に限界がないのかと思う程激しく断続的に吐く。
マリーディアは押された、しかし
「これまでは押される事もあったけど、今の私は力も上がっている!」
と自信を持って受け止めた。
中々燃えないのにキマイラは戸惑ってる様だった。
もう一頭のキマイラは火は吐かず突進した。
突進も速い。
クラビは素早く切りかかった。
「キシャアアア‼」
キマイラは叫び血しぶきが飛び散る。
近くで見ていたマリーディアは怖がる。
「うっ!」
思わず口を押えてしまった。
「マリーディア、大丈夫だ!」
「はい!」
私は神殿でもパワーアップした。
これは自身で克服しなければならない!
そう決意したマリーディアは師匠の教え思い出し剣を持った右手を引き絞って力を溜めた。
「はああ!」
マリーディアは突進し突きに手首の動きで激しくひねりと回転を加えた突きを出した。
師匠から受け継いだ技である。
これがキマイラの腹と首の間にえげつなく刺さった。
当然血しぶきが出た。
しかしマリーディアは必死にこらえ更に剣を突き刺して行った。
そして貫き止めを刺した。
「やったじゃないか!」
クラビはたたえた。
さらに別のキマイラがマリーディアに火炎弾を放ったがこれをシールドブレスで撃ち返した。
この火炎弾が命中したキマイラに追い打ちでジェイニーが強化された氷魔法を放った。
「グオウウ!」
キマイラは火炎を放ったがジェイニーの氷魔法がはるかに強かった。
キマイラは凍り付いた。
「ふう、これで終わりかな」
と安心したのもつかの間、かげに隠れていた首だけのゴルゴンが眼光をジェイニーに発した。
「あっ!」
「なにこれ⁉」
みるみるうちにジェイニーの体が石化して行く。
三十秒もしない内に石の像に変えられてしまった。
「くそ!」
クラビは離れた場所からアンカーを発射して絡みつけ、空高く振り回し地面に何度も叩きつけた。
ゴルゴンは意識を失った様だったが止めは剣で刺した。
「何とか終った、じゃなくジェイニーが石にされちまった。近くの教会で治してもらわないと」
ボジャックは言った。
「マリーディア血の恐怖克服したのか。それにあの技俺達の師匠アズロ様から教えてもらった物じゃないか」
「今頃どうしてるかしらね」
「会って手ほどきを受けたい。でもここと反対の方向だからな」
「さっきアズロ様の声が心に聞こえたわ」
「そうか、じゃあ先に進もう」
ふいにクラビとボジャックは孤児院時代を思い出した。
ボジャックは言った。
「俺が強くなりたいと思った理由……」
十歳の頃マークレイはスポーツの技術もすごかった。
サッカーが得意だった。
ドリブルで敵ディフェンスを突破するマークレイ。
「そうはいくか!」
ボジャックは阻止に行った。
「しかし競り合いの末追い抜かれてしまった」
「あ、ああ」
今度はボジャックはゴールキーパーになった。
近くまで来てシュートするマークレイ。
「止めてやる!」
しかしあっけなくボールはゴールに突き刺さった。
クラビは慰めた。
「仕方ない、二人で行こう」
クラビ、ボジャックは協力しマークレイを止めにかかった。
激しく競り合う。
しかし二人共結局抜かれてしまった。
皆言った。
「凄いよマークレイは、スポーツの天才だ」
しかも柔道の授業でも二人は負けてしまった。
投げ飛ばされた。
皆マークレイを称えた。
「格闘技も最強だよ!」
その内孤児院に剣の師匠アズロが来た。
彼は皆に尊敬され剣術を始めるきっかけになった。
「ある時アズロはボジャックに声をかけた」
「何の為に強くなりたい?」
「中途半端な強さが嫌だからもっと上に行きたいからです」
「それでは動機として弱いな」
「……マークレイに負けてばかりだから勝ちたいです!」
「そうだ、その方が具体的だ」
「そして誰にも負けたくない、そして親友の夢の手助けをしたいんだ。クラビの王様になる夢。例え非現実的でも俺は最後まで付いて行く」
その頃離れた場所にいたマークレイはくしゃみをした。
「だれか噂してんのかな。でも何故か孤児院の事を思い出す」




