新しい司令官
クラビはアップした力で手から三本のアンカーを出した。
しかし司令官らしき男は姿を消してかわすとまた現れた。
クラビは動じずアンカーを引っ込めた。
大層な被り物を頭に付けローブを纏った五十近そうな顔にしわが多く鼻が高い男は言う。
「初めまして諸君。私は幹部の一人メッサ―・ディルゴだ」
兵士たちが後に並ぶ。
「まだ、幹部クラスはいるみたいだな」
メッサ―・ディルゴは落ち着いている。
「まだサブラアイム軍は倒れはせんよ。しかしこれまで幹部を倒してくれた君達のおかげで少なからず損害を被っている。サブラアイムには行かせん」
「ぐう」
さすがに強そうだと言う雰囲気が皆に伝わった。
クラビ達は臨戦態勢を整えた。
「やれ」
と言う指示の通り兵士十三人が突進して来た。
クラビ達は一人ずつ相手にする。
これまで相手にした兵士より手強くなっていた。
「ふふっ」
とメッサー・ディルゴは後方から挨拶代わりだとでも言わんばかりに広範囲に光の玉を放った。
ちょうど広がったクラビ達全員に当たりそうな感じだ。
かなり弾は速い。
「ぐあ!」
ボジャックとマークレイはかわせなかった。
ミッシェルは超スピードでかわした。
マリーディアはシールドブレスで吸収した。
そして二人が前に出た。
ミッシェルが指示する。
「皆は兵を相手にしろ! まず俺とマリーディアが相手をする」
まずミッシェルは金縛りを仕掛けた。
「ぬ?」
しかし押さえつける事は出来ず解除された。
ミッシェルに取ってはこれは相手の力を計る為に使う。
「ふん!」
メッサー・ディルゴはミッシェルでなくマリーディアにさっきよりも大きな光弾を放った。
直径三十センチはある。
「でかい、よけろ!」
兵の相手をしながらクラビは叫んだ。
しかしマリーディアは正面からシールドブレスで受け止めようとした。
「ぐ、ぐぐ」
パワーに押されていたマリーディアだが
「これまでは強い攻撃に跳ね飛ばされていた。でも今は!」
左腕に力を込めマリーディアは光弾をはじき返した。
「ぬ?」
これがメッサ―・ディルゴに同じ速度で帰って行った。
しかしかなりの威力の光弾だった拘らずメッサーディルゴは対して傷つかなかった。
動じていない。
撃ち返された事も計算に入れているようだ。
「はあ!」
隙を突いてマリーディアは切りかかったがこれを落ち着いて杖で受け止めて見せた。
「接近戦に持ち込めば簡単に倒せると思ったか」
受けられた事はマリーディアにとって少し意外だった。
その時別方向からマリーディアより速いスピードでミッシェルが刀で切り掛かった。
「ぬ?」
メッサ―・ディルゴの表情が少し変わった。
反応がマリーディアの時と異なる。
メッサ―・ディルゴは素早くマリーディアを弾き、返す刀でミッシェルの刀を受け止めた、さらにもう一本の左手の刀も上手く杖を返して受け止めた。
ミッシェルは目にも止まらぬ後方ジャンプとバク転で距離を取り、再度間合いを取ってから同じく速い速度で切りかかる。
「俺のスピードもかなり上がってるぜ。元々速いが」
さっきよりもっと左側から素早く迫り切りつけた。
しかしメッサ―・ディルゴは二本とも防いだ。
しかし、マリーディア達を相手にした時よりかなり顔が真剣になっている。
余裕が無くなってきている。
彼はミッシェルを見て思った。
こやつ……
確かわずかに生き残った忍者の末裔と言う奴か。
再度メッサー・ディルゴは多方向に無数の光弾を放った。
二人以外はまだ兵の相手をしている。
マリーディアは上手く光弾を受けた。
そして続いて何発か来た弾は次々撃ち返した。
しかし撃ち返されてもまたマッサーディアは余裕の顔で受け止める。
小さい光弾が何発当たってもあまり効いていない。
「俺も撃ち返してやる」
とミッシェルは手から無数の手裏剣型エネルギーを発した。
メッサーディルゴは落ち着いて無数の光弾で迎え撃った。
マリーディアを相手にする時より顔がまた真剣になった。
余裕が少し消える。
彼は思った。
この男の魔法の様な手裏剣の技、炎や氷では防げない。
それを踏んで出したのか。
この年でこんな動きと技を。
クラビとマークレイは兵を倒しアンカーを発射した。
「くらえっ!」
マークレイは一本、クラビは三本だ。
あれが神の武具、よし、破壊してやる。
と大きめの光弾をアンカー目掛け計四発放った。
光弾はアンカーに当たり爆発しマークレイの一本とクラビの二本が止まったが、クラビの一本のアンカーが首をからめとった。
「うぐぐ!」
メッサ―・ディルゴは苦しく紐を押さえたが外せない。
苦しさを見せない様に踏ん張っているようだ。
そしてボジャック、ベルス、ゾゾ、シヴァが前に出て来た。
「くっ!」
何とか腕力でアンカー紐を外した。
「皆切りかかるぞ!」




