疑問の残るパワーアップ
クラビは両手をじっと見つめた。
自分の力が上がったか確認するように。
無の境地の様な雰囲気が感じられる。
しかし彼はどこか喜んだ様子や自信を付けた様子がない。
「うーん」
「クラビの力どれ位上がったんだ」
皆楽しみにしている。
「はっ!」
クラビは何かに気づいた。
「どうした?」
クラビは右前方に声も発さず閃光を発した。
すると入り込もうとしていた兵が倒れた。
「あいつら!」
ベルスは真っ先に前に出た。
「俺が行く! 俺は騎士として護衛任務を仰せつかってるんだ」
マークレイは驚いた。
あの一番自分の事しか考えなかったベルスが……
何があったんだ。
しかしクラビはベルスを止めた。
「いやいい、俺が行くよ」
兵は下っ端らしき兵が五人、兵長格らしき大男が一人だった。
クラビは一人前に出た。
大男は挑発した。
「何だ? お前一人か? 仲間の力を借りた方が良いんじゃないのか?」
しかしクラビは表情を変えない。
兵達は間合いを計った。
そしてクラビは右手を挙げ斜め二方向にこれまでと比較にならない高速な閃光を放った。
「ああう」
兵二人はほとんど無声で倒れた。
皆呆然とした。
「は、速い……」
「くそ!」
襲い掛かろうとする左側三人の兵の方を向こうともせずクラビは僅かな動きで手から三方向に閃光を出し瞬く間に三人に当てた。
三人は言葉もなく力尽きた。
「な、何だ? ふざけやがって! このマビラー様が!」
と言いマビラーは斧を投げつけた。
しかしクラビは指を出し言った。
「射出型光剣」
「ぐああ!」
その射出型光剣はこれまでより速く重いのが傍目にも分かった。
「あ、ああ」
マビラーは倒れた。
皆ぽかんとしたがクラビに駆け寄った。
「すごい、圧倒的に強くなっているじゃないか!」
「うーん」
しかしクラビは浮かない顔だった。
「確かに強くなったけど、このままじゃアンドレイ達には勝てない」
「そうだな」
神官は言った。
「では第二の試練をするかね」
広い場所の両脇にアイムとフリオンは立った。
「何?」
「クラビ、中心に来て」
「これは洗礼のシャワーと呼ばれる儀式」
「洗礼の儀式」
「ちょっときついけど我慢して」
と言うと二人は両手からクラビ目掛けて光線を出した。
「ぐっ!」
クラビは苦しんだ。
「これは力を更に引き出す儀式」
これが五分近く続き終わった。
「うっ!」
クラビは膝を着いた。
「うーん、どうかな?」
「これでも駄目そうかな」
「俺も今のやってくれ!」
「俺も」
「私も!」
「俺も」
マークレイ、ベルス、マリーディア、ミッシェルの4人が名乗りを挙げた。
そして四人も試練を受けた。
苦しみながら儀式は終わった。
「すごい! 力が大幅に!」
「俺もだ」
「俺も」
「俺も」
四人は力を実感していた。
マークレイステータス レベル三十九
力百六十 素早さ百四十 体力百六十二 頑丈さ百五十六 魔法力百五十 魔法防御百四十三
新規スキル: 超怪力レベル十 武器作成レベル十 光閃付与レベル五 底力+三十
ベルスステータス レベル三十七
力百五十四 素早さ百五十三 体力百五十四 頑丈さ百四十五 魔法力百五十四 魔法防御百五十三
新規スキル; 光線付与レベル三 光の槍 味方庇うレベル四
マリーディアステータス レベル三十八
力百五十一 素早さ百五十三 体力百四十四 頑丈さ百四十 魔法力百五十八 魔法防御百五十八
新規スキル; 光線付与レベル三 クリティカル+三十五% 味方庇うレベル四 底力+三十
ミッシェルステータス レベル三十八
力百五十八 素早さ百八十三 体力百五十八 頑丈さ百四十五 魔法力百五十四 魔法防御百五十三
新規スキル; 高速移動レベル十五 大型手裏剣 光線付与レベル六 気配察知レベル十
皆納得が行った言った様だ。
しかしクラビはつぶやいた。
「これでも駄目だ、多分」
神官は言った
「であるならば、サブラアイムにある『神の闘技場』へ行くしかないかも知れん」




