ジルバシュタインついに降臨
新たな敵が次元の穴から落ちてきた。
巨漢の男は降り立った。
「あいつは!」
それはかつて顔を合わせまだ戦っていなかったジルバシュタインだった。
皆ごくりと唾を飲んだ。
「くっくっく。初めましてから久しぶりだが、ようやく戦う時が来たな」
「うう」
皆戦慄している。
怯えと言っても良いほどに。
ジルバシュタインは指を鳴らした。
「さてと、キハエルを追い払ってほっとしたのもつかの間だったが、今度は俺の相手をするになっちまったな」
皆気が付いた。
こいつ、今までの奴と違いキハエルに「様」を付けてない、と言う事は同格の力を持っているって事か。
皆勇気を出そうとするものの、怯えは正直隠せなかった。
「くっくっく」
最初に来るのは誰か? とでも言いたげである。
「あいつ、剣も何も持ってない?」
「当たり前だ。お前らごとき指で十分だ」
「な、舐めやがって」
さすがに怯えていたもののこれは皆の闘志に火をつけた。
「ほう来るか? 貴様らはこうでも挑発しないと勇気が出せん奴らだからな」
「何を!」
ボジャックとシヴァが剣を構えて突進した。
しかしジルバシュタインは何も装備しない。
「うおお」
「はあ」
何とジルバシュタインは手で払うだけで二人を吹き飛ばした。
「な⁉」
「馬鹿どもが」
「ならば!」
今度はミッシェルとマークレイが同様に突進した。
しかしジルバシュタインはにやりとしたまま微動だにしない。
防御態勢も取らない。
「はああ」
二人は気迫と共に攻撃を仕掛けた。
ところが今度は振り払うのではなく、手で二人の顔をつかんだ。
「ぐあ」
二人の動きは止まってしまいそれ以上進めない。
「はっ!」
ジルバシュタインはごみの様に二人を投げ捨てた。
ゾゾとジェイニーたちは驚いた。
「ええ」
「あの四人が一分足らずで」
そしてジルバシュタインは初めて自分から相手を呼んだ。
「さあて、次は勇者に来てもらおうか」
「……」
クラビは拳を硬く握った。
そして勇者の魂をまとい突撃した。
「うおおお!」




