「頼れるお姉ちゃん?」
「はいはい、喧嘩はダメ~」
二人の間に入るゆいゆいに緑さんは睨む。
「アンタが保護者?」
「そっ!ウルトラスーパーハイテク完璧のユカリちゃんのお姉さんのユイです♪」
謎のポーズからの謎に自信満々のガッツポーズに思わず困惑する。
「ゆいゆいはいつからロボットになったの!?それとお姉ちゃんじゃないから!」
「はれ~!?違うの!?」
「私のお姉ちゃんはハルカお姉ちゃん!ゆいゆいは……家族のお姉ちゃん」
「つまりお姉さんだよね!?」
「それとこれは違うの~!!」
「んじゃあ婚姻届書いてくれる?お姉さん止めるから」
「結婚は出来ないよ!!」
二人の会話は延々と続き、いつの間にか惚気話になってる途中でユカリの尻とユイの胸を掴む。
「「ひゃ!!」」
「何私を孤立させてんのよ!女同士でイチャイチャしないの!」
二人は抱き合ってまたイチャつく。
「ひど~いお姉さん達は愛し合ってるだけなのに」
「緑さんは私達の身体にしか興味ないのかな?」
「「ね~♪」」
二人はにこにこしながら頬をスリスリし始める。
「こんのぉ~バカップルが~!!」
蚊帳の外になってしまった緑は拳を掲げて殴り掛かるも二人は鮮やかに避ける。二人は金属の柵を越えて走り出す。
「待ちなさい!!パンチら女にデカチチ!」
緑も柵を越えようとしたその時、シューズが柵に引っ掛かり体勢を崩してしまった。バランスが崩れ身が外に向かって投げ出される。
「きゃあ!?」
「緑さん!!!」
避けた私はゆいゆいから離れていつの間にか助けようとして全力疾走で元の位置に戻って緑さんの腕を掴んだ。
「お、重い!!?」
まるで男性を担いでるのかと思うぐらいに重量級で私の力ではとても持ち上げれない!!
私はゆいゆいを呼んでお腹を支えてもらい無事に引き上げることが出来た。カイト君はいつの間にか姿が見えなくなっていた。
☆★☆★
「緑さん!大丈夫ですか!」
私は敵対なんて忘れ緑さんの肩を掴むと過呼吸になる緑の背中を擦った。
「あ、ありがと………サクラユカリ」
九死に一生を得た緑さんは暴言を吐くこともイチャモンも言わなかった。
「お姉さんは、サナエちゃん?」
「えぇ……一応ありがとうユイ」
サナエという名前に違和感を抱いてゆいゆいに聞くと彼女は異世界の中でも名の知れた呪術士の末裔で風魔法と毒を操る少女。だが何かの切っ掛けで異世界から追放されて地球に住むことになったらしい。本名は【サナエ=アポカリプス】である。
「それで・・・カイト君も異世界から?」
「そ、サナエちゃんのボーイフレンドだっ―――あいた~!?」
それを言うなと言わんばかりの頭を叩いた。頬が赤くてなんだか恋する乙女っぽい。
「た、只の知り合った仲間だからね!?別に好きなんかじゃないし!」
先程まであんなに険悪な場がいつの間にか消えておりその代わり高圧的な態度は何処にも無く申し訳無さそうに俯いている。
「ゆいゆい、これがツンデレ?」
「そうね、ガッツリツンデレね♪可愛い♪」
「だぁ~!!最初出会った時から因縁付けてやろうっと思ったのに!!サクラユカリを苛めようとしたのにもう苛めることが出来ないじゃやい!」
と思ったらからかうと物凄く憤慨した。
「苛めなんてすぐに出来ちゃうような……?」
「恩を仇で返すのは人として最低よ!だから一生アンタを苛めたくないのよ!ちょっとイライラしてだけよごめんなさい!!」
うん、普通に優しい人なのかも、言葉はキツイけどそれでもちゃんと謝ってくれたから許してあげることにした。緑さん改めてサナエちゃんは床に腰を下ろし悔しそうに私に手作りお弁当の中でも出来の良い卵焼きをくれた。嬉々として食べるとそしたらなんかゆいゆいから黒い靄が掛かったきがする。
「ユカリちゃん、浮気は駄目よ?」
「浮気?そもそも誰とも付き合ってないよ?」
私の言葉にゆいゆいは顔を真っ青にして泣き叫びながらこう言った。
「ユカリちゃんにフラれた~!!!うえぇぇぇぇぇ~!!」
ゆいゆいは屋上から飛び降りると軽々しく地面に着地し、そのまま何処かへ消えて行ってしまった。確かここ三階だったような?
「ゲリラ豪雨みたいな奴ね」
「あ、あはは……はぁ」
正直言ってちょっとめんどくさくなってしまった。最近自棄にゆいゆいがくっついて来てるのは私に変な感情を抱いてるのかもしれない。そんなことを考えながらも二人を待つことにした。