「紡がれていく物語・ノア編」
「ふぅ~ん」
中々面白い話が聴けた、まさかあのノアちゃんが自分から話すなんて。私にでさえ話してくれかったのにユカリちゃんには話すんだ。ちょっと妬けるな~♪
「ユイちゃん、盗み聞きなんて大人気ないわよ?」
隠れて二人の話を盗み聞きしてると背後から苦手な奴が口ずさむ。
「なんでいるのよ」
柔らかな声に振り向くと地球の人間っぽいラフな服装をした女性が笑っていた。
「ユイちゃんはすぐ暴走するから見張ってないとね」
「別に暴走なんかしてないよ」
「ユカリちゃんが取られるのを嫉妬するくせに?」
何で知ってるかは捨て置きこの金髪は苦手だ。
「アリアちゃんってストーカーなの?いつも私がしてることを監視してさプライバシーを覗くのが趣味なの?」
私はいつも通りの塩対応するがアリアちゃんは笑っている。
「そんなことないよ♪ただ……ユイちゃんって結構独占欲が強いな~って♪」
「は?」
何が言いたいのか分からない。いつ私が誰を独占したいと思ってるの?私は子ども達皆平等に扱っている筈なのに。
「ユカリちゃん、本当は独り占めしたいでしょ?」
「っ!?」
思わぬ言葉が飛んできて心臓が高鳴る。
「ユイちゃんさ……そんなにユカリちゃんが欲しいなら洗脳とかすればいいのに♪催眠とか調教とかしてさ」
「べ、別に……私は……」
「嘘吐かなくていいのよ♪ユイちゃんは一度惚れた人に愛を分かって欲しくて色々するのに判って貰えなければ何でもやるのにユカリちゃんにはやらないの?」
惚れた相手、それはつまりハルカ、ローグちゃん、ユカリちゃんを指す。だけど三人とも私の愛を判ってくれている。今更暴走なんかしない。
「はぁ……下らない……私は誰も独占なんかしないよ」
「ハルカちゃんの時も??」
その言葉に帰る足が止まる。おかしい、何故私がハルカに対して特別な感情を抱いてるのを知っているのか、アリアちゃんとは短い付き合い、それも一週間だけ、それなのにどうしてそこまで知っている?
「ユイちゃんは分からないと思うけど愛を欲するとユイちゃん過激になってよく暴走するのよ?普段は優しくて頼れるお姉ちゃんなのに本当は独り占めしたくて他の相手を振り払ってる所見たことあるよ?」
記憶に無い、私を試しているのか?ハルカもそんなこと言った記憶もない、虐めた覚えも無いしハルカに暴行を加えたことも一度もない。何が言いたいのだろうか?
「ユイちゃんも惚れた人も記憶が無いのは当選、だってユイちゃんが魔法をかけてるのだから互いに催眠と洗脳魔法をね♪だからハルカちゃんも知らないし覚えてない。完全犯罪の出来上がりね♪」
成る程そういうことか、でも残念な頭みたいね。
「アリアちゃん、嘘でしょ?その魔法自体私は取得出来なかった呪術の部類、しかもそれは魔法とは勝手が違って夢魔法よ?それを使えるのはごく一部の人であり私にそんな力があるならとっくにユカリちゃんを独占してるよ」
きっぱりと告げるとアリアちゃんははにかんだ、馬鹿にしてるのかわざとなのか分からない。
「良かった~ユイちゃん最近記憶の欠落が激しいって言ってたから試しに聞いたら覚えたんだ♪」
まるで私を認知症みたいに言うじゃない、ちょっと物忘れが激しいだけよ。
「確かにそうだけどそこまでじゃないよ」
「うふふ♪そうね!」
話はそれだけかと聞こうとしたらもう居なくなっていた、何がしたかったのか分からないが私を監視していることには変わりは無いみたい。
恐らくは情緒やストレスに関しての調査かな。
私にはプライバシーなんて無いのかな?
「はぁ……ユカリちゃん見失ったしつまんないから帰って特撮でも見ようかな~?」
ユカリちゃんの服に付けてたGPSもいつの間にか反応しなくなったし最近ユカリちゃんと一緒だからもう監視や尾行するのは止めようっと。
気付いてはいないみたいだけどこのままだと嫌われるかもしれないから私の責務はは打ち切りね。
私は私で次の任務でも準備しておこうかな。
「ユイちゃん今日もご苦労さま!」
嫌味か妬みか知らないけどこいつのことは放っておこう、何か理由があってこっちに来てるみたいだし一応宣伝くらいはしておこう。
「喫茶店スイカズラをよろしく」
捨て台詞みたいになってしまったがこれでいい、私とアリアちゃんは何の特別な関係は持っていないならね。光星の皇帝がなんだ、女神だからなんだ、私にして見れば一般人よ。
私は私の信じる道を進むだけ…
「さようなら、ユカリちゃん」
幻影道 改修版 第二巻 完




