「インフェクション」
「ユカリちゃん!!」
誰かに叩き起こされ目を覚ます、頭がボーっとして働かない。私は一体何をしに来たんだっけ?ええっと……任務で水星に来て……それから……
思い出そうとするが何故か頭がクラクラして思い出せない。起こしてくれたのはゆいゆいみたいでここに倒れていたらしい。
「うっ…」
頭が痛い…それに…何だか身体の調子が悪い。身体の中に何かが蠢いているような不快感に瞳が熱い。目を擦ると赤い液体が付着していた。
「きゃあぁぁ!」
気のせいかと思ったらそうじゃない流れてるんだ現在進行形で。赤い液体が私の左目から大量に流れ出てしまっているではないか。急いで止血しても一向に止む気配がない。
「ユカリちゃん大丈夫!?待ってて!ヒーリングリップ」
ゆいゆいは私の異変にいち早く気付いて魔法を使った、ゆいゆいの唇が頬に触れると私自身頭が暑くなってしまった。こういったスキンシップの行動はよくされるけどやっぱり幸せな気持ちと恥ずかしさが交差して葛藤してしまう。ゆいゆいのお陰で無事出血は止まるも身体には違和感が残る。私は一体何に何をされたんだろうか?
「ありがとうゆいゆい♪また助け―――― っ!?」
お礼を言おうとしたその時背後から化物が唸り声を上げ、壁を破って侵入してきた。見た目はロボットかと思ったが蜥蜴の顔面はどこを見ても人間だった。なのに脚は蟷螂だが哺乳類の腕が生えている。
「サナエちゃん避けて!!」
ユイの言葉に咄嗟に避けると化物が触手を伸ばして壁を破壊する。あと一歩遅かったら串刺しになってる所だった。
「ユカリちゃん!後ろ!!」
間髪入れずその時だった、化物は一体ではないことを、私が気付けなかったこと。蟷螂のような鎌の腕で腹を突き破られた切り裂かれたこと。私は悲鳴と共に肉片が飛び散った。
「げぼ!げぼ!」
腹を見ると穴が開いてグロッキーな光景に…
「ユカリちゃん…きゃっ!」
ゆいゆいが駆けつけるも化物はみるみる増えてユイを何十体ぐらいに取り囲む。ユカリに手が出せないほどの量に圧倒される。
「い、嫌…」
こいつらは私を食べるのだろうか?五体ぐらいの化物が私を美味しそうに見つめている気がする。逃げようにも立ち眩みと腹を裂かれて逃げられない。私に向かって襲い掛かってきたその時、私の瞳はまた赤く光り、敵の背後に閃光の如く回り込み剣を突き刺した。一撃で機能停止させると次々に化物が私の四肢を裂こうと噛みついた。ワタシはアカイ世界の力をツカッテ奴等を凪ぎ払った。
「ユカリちゃん??」
食いちぎられ残った肉で走り出して化物を殺していく。剣で顔面を切り落とし、疾風怒濤に敵を凪ぎ払い突き刺して剣を赤く染める。
「ブラッドオブレイジ!!」
ワタシはヨクワカラナイまま変なマホウを使った。血の斬擊に触れた相手を溶解して私をコロソウトした敵を死滅させた。私だけが見えた赤い世界は瞳を閉じると元の色に染まり、脱力感と共に私は意識を失った。




