「星界の観察者光星皇帝兼女神アリアンロッド」
ユイから指示された目的地へと辿り着くとそこは……光星最高層であり女神アリアンロッドの住むお城であった。近代的な世界に唯一場違いな中世のような建物はこれしかない。私達はユイの存在を審議しながらも中に入るとそこには沢山の人間が仕事をしていた。
「これはメイドさん?でもあっちには戦士がいて……それから……医師?」
ユカリちゃんは初めて見る光景に感銘を受けながらキョロキョロしているとユイから危ないよと完全に保護者と化している。
「この城、どうやら元々は医療施設にする予定だったけど他に建てたから余った敷地であるこの場所を家にしたらしいのよ」
「あっ知ってる!ゆいゆいから聞いた話だと近代化する予定だったけどこの敷地だけ取り残されたからそのままらしいよ?」
「なんか……この家ある意味可哀想よね」
「うん、私だったら改装を提案するよ」
「私もよ、こんな場違いな城さっさと変えたいわよ」
城についての疑問を抱きながらもそこら辺にいる人間にについて話す、そしたらアリアンロッドさんは一番奥の部屋で仕事をしているから勝手に入って良いらしい。私達は指示の通りに一番奥の部屋に行くとそこには金髪の女性が書類に目を通がら絶賛仕事中みたいだ、こちらの存在に気が向いたのかそそくさに立ち上がる。
「あっ、貴女達が新団員のサクラユカリちゃんにサナエ・アポカリプスちゃんね!ユイちゃんから話は聞いてるわ」
思った以上に朗らかでフランクな女性だった、金髪ボブに鼈甲色の瞳にお姫様のようなドレスに身を包んだ間違い美女だ。ゆいゆいよりは美女じゃないけどね!
アリアンロッドさんの話を聞くとどうやらゆいゆいとはお姉ちゃんと少しの間だけ共に戦った友達で (ゆいゆいはそんなこと思ってない)千年に一度の女神選挙にてその座を勝ち取った。
だがその頃当日、お姉ちゃんは亡くなってしまったことにより責任を感じてゆいゆいを全面支援している。それは償いでありアリアンロッドさんが唯一出来る事である。女神は星の最高位役職であり確か本当の職業は星界管理監察官最高位役職第九千八百番目女神アリアンロッド・フロドらしい、漢文かと思っちゃった。
つまりは一番偉い人だ、星の人達からも評判は高くアリアンロッドさんの行っている政治は世界に大きな変革をもたらしたらしい。
「私は皆が少しでも皆を平等で生きられる世の中にしたいの、でもそれはきっと難しい、だから私は皆を観察し、より良い星にしようと頑張ってるんだけど……そうはいかないのが星なのよね、現に奴隷も差別も争いも起きてるのも事実。それをどう変えていくのが今の悩みかしら?」
真面目で気品のある姿はゆいゆいとはまた違う人間だ、こんな優しい人ならきっと星界はどんどん優しい世界に包まれていくのだろうか?私もそんな世界を見てみたいな、私のような身分も何もない人間をこれ以上生まれてほしくないな。
「何の用?」
そんな女性に対してのつまらなそうに腕を組むゆいゆいは失礼だと思う、注意しても知らんぷりされた。
「えっと…ごほん!自分語りしてごめんなさい、話を戻すと今回貴女達には研究員調査をお願いしたいの」
本題に入るとその言葉にサナエちゃんは乗り気ではなさそうに首を傾げる。
「偵察ということですか?」
「ええ、あくまで殺害は私の方では申請は許可出来ないからね、ユイちゃんの復讐の為なら私だって協力する」
これは忠誠と言うよりゆいゆいの対しての待遇なのだろうか、妙に女神さんらしからぬ行動な気がする。
「女神がそんな贔屓して良いのでしょうか?もし見つかったら……」
「大丈夫、私の女神の力と【特性能力】で知らないことになるから」
「特性能力?何ですかそれ?」
初めて聞く単語でつい質問してしまった。ゆいゆいからは関係ない話が多いと聞いたけどそれもその一種なのかな?
ユカリは特性能力についてアリアンロッドから聞き出し、最後に仕事内容と場所についての話を耳を傾け、早速出発の準備をすることにした。