「サナエちゃんは苦労人」その3
いつも通り、ユカリちゃんは人気者だったクラスメイトと一通り話終えるとそそくさに立ち上がり私に手を振る。ユウガもカイトも同じ時間に立ち上がりいつもの私達が揃って昼飯になる。相変わらずのユカリちゃんのお弁当にはユイの愛妻弁当にユウガは購買で買ってきた物、私とカイトが少しだけ贅沢なお弁当、と言ってもハンバーグが入ってるだけなんだけどね。
あの日から私の生活はがらりと変わり水道代をケチッたり光熱費や電気代をケチることが少なくなった。意外とバイトの給料が良いものでシェアハウスで割り勘して生き延びている。もっとも私がいないと家計が火の車になるから大変なんだけどね。主にあの金髪碧眼のせいなんたけどね。
私はお弁当の白米の味を噛み締めながらもお金の大切さを知った。金さえあれば白米も毎日食べられるし服だってお洒落なものを嗜める。非常に快適で幸せだけどやはりここぞとばかりはケチる癖は変わってはいないみたい。そこら辺の雑草とか虫を食うこと無いって訳ね。
そんな当たり前の日常を過ごす私達だけどその中で入り込む戦場の殺伐とした雰囲気には参ったものね。ユカリちゃんもあの日から自分もユイの為に戦いたいと頼まれて特訓したり実践していたけどまだまだへっぴり腰ね。
まぁ普通の女の子なんてそんなものよ。ちょっとずつ成長してくれればユカリちゃんだっていつかは……そんな事を考えているといつの間にか放課後、いつもならカイトと一緒に帰るつもりが用事があって先に帰ってしまったからユカリちゃんと一緒に帰ることにした。
「あらユウガは?」
「写真屋に用があるって言ってたから先に行っちゃったよ?」
成る程、ということは今日は二人きりなのね、と思ったがそんなことは無かった。
校門前にはアイツが立っている。桜色の長髪にカジュアルな服装だが肌は殆ど露出していない。瞳は深く、そして揺れる乳。何を食べたらあんなにデカくなるのかしら?
「お疲れ様♪」
天真爛漫な女性に言葉を掛ける。
「デカチチ仕事は?」
「で、でかちち?」
勝手に名付けたから物凄く不満そうな表情をする。
「巨乳だからデカチチよ?」
「それ……酷くない?」
「爆乳は?」
「お姉さんの胸弄りやめてよ~コンプレックスなのに……」
怒ったら次は凹んだある意味面白い奴。
「コンプレックスなの!?」
「うん、大きいから大変なの」
胸を寄せると更にデカくなる。デカチチに恥じない胸ね。
「そんなことより!今日は二人ともお休みでしょ?お使いを頼んでもいい?異世界の光星にいるアリアちゃんに書類を提出したいのだけど」
触れたくない話題を変えようとユイは目を輝かせた、分かりやすい女を
「それくらい自分で行きなさいよ」
「お姉さんが大人嫌いなの知ってるでしょ?だからお願い♪お小遣いあげるから♪」
差も当然のように大人嫌いらしいアピールをする。子供扱いしてくることはイラッとするけどこれが子供に好かれる理由なのよね。しかも今は金銭的にひもじいし乗っかることにした。
「よし、行きましょうユカリちゃん」
「ふぇ!?そんなんで行くの!?」
「金を貰えるなら何だってやるわ、さぁ、いくわよ!」
私は困惑しているユカリちゃんを掴みズルズルと引きずるように光星へと移動することになった。それにしてもアリアって誰かしら?ユイはお姉さんからと言っておけばいいらしいけどそんな奴いたかしら?
私は疑問を抱きつつも光星へと向かった。




