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第二十話 受けるか否か

「ほら、依頼取っておいでよ。僕は外にいるね。君なら見つけられると思うから」

「ああ」


 そういうと立ち会がり、その場で消えた。

 まるで風と同化するように。


「あ、あれ? さっきまでそこにいたのに」

「今さっき外に出た。アレシア、少し大変になるかと思うがブロンズの依頼受けてもいいか? その分少しだけ多めに渡す」

「私に気にせず、依頼受けてください」

「なるべく援護しよう」

「はい。任せました」


 微笑みながら、力強く頷いた。


 さて、そろそろ掲示板に向かって、ブロンズの依頼を探すとしよう。


 しかし、近づいたはいいものの残っているのはごくわずかだ。

 私たち以外にもブロンズやカッパークラスの冒険者は多くいる。

 そのせいか依頼の取り合いになってしまって、数が少ないのだ。


 唯一残っているのはセイレーン討伐だ。


「セイレーンということは、船旅ということになるな。船酔いは大丈夫か? アレシア」

「分からないです。私、船に一度も乗ったことがなくて」

「私もだ。どちらかが船酔いしなければいいのだが……」


  少し難しいかもしれんな。


 奴らは歌声で船員を誘惑して遭難させると聞く。

 船員だけでなく、私たちもその被害に遭うだろう。

 イヤーマフをつければ一人は大丈夫だが、その他がダメになる。


 私一人だけ依頼を受けるのなら、なんとか出来るかもしれん。

 だが、アレシアがいる。


「この依頼は受けん」

「何故です? お金もたくさんもらえますよ」

「確かに多く貰えるが、危険すぎる。私一人だけならまだしも、君の命とあの精霊のこともある。それに、もし私が船酔いして君がしなかった場合、逃げずに正面切って倒せるか? 常に空を飛んでいる女性の顔をしたモンスターを」

「それは……」


 本当ならば、彼女の為に受けるべきだと思う。

 だが、戸惑っているうちは、まだ難しいだろう。


 ここに残ってもらうということはさせたくない。

 何事も経験しなければ強くはなれないし、恐怖に打ち勝つことも出来ない。


 それに、今の私はそれほど役に立たないだろう。

 スナイパー用とアサルト用の弾も切れているし、加えて無一文に等しい状態だ。

 これが今のところ一番きつい。


 どれほど威力があっても、どれだけ点検していても、弾と火薬がなければただの鉄の筒だ。

 そんなもの持っていても戦力外にしかならん。依頼を受けるからには少しでも役に立たなければ。


 今、手持ちで使えるのは、ハンドガンとサバイバルナイフのみだ。

 銀弾を使うという手もあるが、セイレーンには使わない。

 もったいないからな。


「なら、僕が倒そうか?」

「きゃあ!」

「ごめんね、驚かせて」


 そよ風が頬を撫でたと思ったら、来ていたのか。長いこと待たせてしまったからそれでか。

 突然現れたシルフに腰を抜かしたアレシアをゆっくりと立たせ、私の顔を見てくる。


「それはありがたいのだが、大丈夫なのか」

「うん、問題ないよ。あちらさんとは敵対しているから」

「そうか」


 自信たっぷりに言うから、大丈夫だとは思いたいが、惑わされる可能性も否定できない。

 一か八かだ。ここで悩んでいても仕方がない。信じてみよう。横にいるシルフを。


「アレシア。二転三転してすまないが、この依頼受けることにする。ただ、お互い気を付けておこう」

「分かりました!」


 元気よく頷き、報告するために受付のもとへと意気揚々と向かっていく。

 元気なのはいいが、依頼書がないと受けられないぞ。

 案の定、慌てた顔をしながら私を呼んだ。


 急ぐとするか。

第二十話を読んでくださりありがとうございます。

作者が喜ぶもの。

それは【評価】と【ブックマーク】……あと【感想(小声)】のみ!


もし、


面白かった!

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では次回お会い致しましょう。

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