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第二話 依頼受注

 辞めたはいいが、今の私は無一文にちかい。まずしなくてはいけないことは、生活するための資金を集めること。そのためにギルドに行かなくては。

 そこで一人で出来る依頼を探そう。


「こんにちはアーロさん」

「カリナか、どうも。この依頼だが受けることは可能だろうか」


 ギルドに着き、掲示板を見ているとガルグイユ10頭の討伐依頼が1件あった。こちらに来て最初に戸惑ったのは、ガルグイユがガーゴイルと呼ばれていたことだ。呼び方が違うのは元の世界の国でもあったことだが、ガーゴイル呼びに慣れるまでは少し時間がかかりそうだ。

 そして、そのガルグイユの金は1頭あたり50エル。

 英国の単位はポンドだが、この世界の単位は一文字違いの日本エンと同じように考えたほうがいいだろう。ポンド換算なんてしていたら余計に分からなくなる。


「ガーゴイル討伐の依頼を受けることはできますけど、本当にするんですか?」


 掲示板から剥がした依頼を受付嬢のカリナに渡すと、それを見た彼女が心配そうに私を見上げている。彼女が心配するこの依頼。とにかくガルグイユの数が多いということだ。

 1人でもとは書かれていたが、私が元居たパーティーよりも統率がとれている同ランクの他冒険者達が苦戦するほどなのだ。


 1頭のガルグイユを倒すだけなら簡単な事。ただ、同族で連携をとっている奴らを討伐するとなると、難易度は倍近く高くなる。

 沼地にいるやつらに攻撃が当たったと思っても外していることが多かったりする。そのせいで苦戦するパーティーが後を絶たないのだ。この一か月、何度もこのギルド内で(うな)っているのを聞いている。


「数は多いほうが助かる。今、金が無くてな」


 ただ、あいつらに関しての対処法を私はすでに知っている。


「アーロさん、確かパーティーに入っていましたよね? そこで分け前とかなかったんですか?」

「辞めた。真面目すぎると文句を言われてな。それに、半月前から別のメンバーに金を上乗せされていた」

「そんな……」


 口元を手で抑え、カリナが哀れみの表情で私を見てくる。


「気にする必要はない。少なくても最低限の生活は出来る」

「それはそれで心配です……」

「心配ない。それで、この依頼は受けられるのか?」


 眉尻を下げているが、本当に心配ないのだ。元の世界では半月以上金がない生活をしてきたことだってある。それを10年間も続けていたら、意外と慣れるものだ。


「はい、可能です。ただ、無事に戻ってきてください。何日掛かってでもいいですから」


 許可印を依頼書に押し、机の引き出しから分厚い本を取り出し、誰がどの依頼を受けたかを記帳している。そうすることで事故防止になる、と受付嬢が昔話してくれた。


「では、お気をつけて」


 心配そうな声だが、それでも元気よくお辞儀をした受付嬢を目に焼き付けた私は、無事に戻ろうと心の中で誓った。

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