第一章・狼の「食欲」(六)
未来知見学院の校舎の前身は、有名な高級ホテルの「杜若山荘」だったので、充実した施設がある。色々な大きさの会議室、宴会場は、教室と食堂として使える。勿論、フィットネスルームとプールもあり、学生たちは施設を利用して運動できる。
午後二時から体育の授業になる。学校は「希望の種」が成績が優秀であるだけでなく、健康も保ってほしいから、週四回全八時間の体育授業を彼らに受けさせている。
若男は昔からずっと運動の習慣があるが、毎週体育授業を受けさせられるのが大変だと感じる。この大学で、学校は何もかも管理している。毎週三回体育授業がある上に、毎月体重と体脂肪を測定したり、三ヶ月に一回健康診断を受けたりする必要もある。これは政府にとって、十二人の「希望の種」が珍しい資産であるせいかもしれない。
「こんにちは。私は唐沢、学院の講師です。しかし、今日は運動を教えるのじゃなく、研究を行うためにここに来ました。私の傍らの二人のフィットネスコーチは、貴方たちをウォーミングアップからフィットネス器具の使用まで教えてくれます。」
唐沢さんは話が終わった後、側の箱からイヤホンのような物を十二個取り出した。
「みなさんが運動し始める前に、自分の名前が書いてある機械を首に付けてください。これはあなたの汗で体のホルモンの濃度を測定できます。運動を始めた後、三十分毎に私に報告してください。」
「この機械は一体何を測定するのか…?」
若男は機械を首に付けた後、これの本当の用途を考え始めた。飲食と生活の管理を受ける上に、運動する時も監視装置みたいなものを付ける必要がある。それでちょっとおかしいな…と彼は考えている。
「オッケー、今はウォーミングアップをしましょう。時間は二十分です。ちゃんと全身の筋肉と関節を伸ばして柔らかくしてくださいね!」
だが、ウォーミングアップが始まった後、手と背中の筋を伸ばすのに筋肉痛を感じた後、彼はすぐ何も考えられなくなった。
「先ずはどの運動をすればいい?」
若男は様々なフィットネス器具を見て、どこから始めるかいいか分からない。彼は毎週三回から五回運動しているが、器材を使っている先輩たちの板についた様子を見て、突然ミスがでるかどうか心配してしまった。
「どうしたの?若男君、どれを使えばいいか分からないの?」
クランチを練習していたクリシアは、フィットネスルームで歩き回っている若男を見て、彼の問題に気付いたから、彼のほうへ行って手伝いした。
「はい、はい!みんなは凄そうですね。」
「そうか。運動する時、他人と比較する必要はないわよ。じゃ、クランチマシンをやりましょう。それを使ったことある?」
「いいえ…家でクランチをやったことがありますけど。」
「クランチマシンを使う感じは、自分で練習するのと全然違うよ。じゃ、クランチベンチの使い方を見せるね。」
クリシアはマシンに寝て、足でペダルを踏んでハンドルを掴んでいる。
「腹の力でハンドルを前に押して、上体を起こして。起こした時に息を吐き、戻った時に息を吸う。一……二……三……」
若男はクリシアの腹筋が力を入れる時に形がはっきり浮かぶのを見て、彼女への敬意が増して来た。彼女の太ももとお尻はかくも豊かだが、強いて腹筋を綺麗に割り、女性らしい滑らかな曲線も保っている。このようなスタイルは女神のようにセクシーで魅力満々だ。
なぜスラヴ人の女性は神様に愛されて、背が高い上に、長い四肢も持っているのか?日本の女性の中で背が高い人もいるが、四肢がスラヴ人の女性のように長い人は滅多にいない。なぜ彼女たちはこんなに美しい生物に進化したのか?
「オッケー。わたくしはもう三セットで、三十回やった。次は貴方のターンだわ。」
若男は心の中で目の前の美人のスタイルに讃嘆する時、彼女はもうやり遂げていた。
「今度は私のターンです…」
若男は深呼吸をした。そして、息を吐いて力を込めて腹を上げた…
「おかしい。どうしてハンドルが動かない…?もう一度…またダメなのか?」
「心配しないで、それは貴方がまだマシンに慣れてないから。まだダメなら、少し力強く手でハンドルを前に、腹を上げた後、もっと力を入れて。」
「…はい、もう大丈夫です。」
だが、若男は十回だけやった後、腹がもう痛くて上がらなくなった。彼はどうしようもなく、クリシアの方に向いた。優しい先輩は微笑みで彼に応えた。
「初心者は慣れてないから、腹がちゃんと力を入れられない。若男君はもう頑張ったから、リラックスしてゆっくり三十回までやってね。もし疲れちゃったら、五回で一セットにしてもいいわ。」
「はい、頑張ります。」
「クリシア先輩、この子が腹筋を鍛えることに手伝ってるか?」
若男は歯を食いしばって練習する時、マルレナは丁度近くを通った。