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ユートピアまであと一歩  作者: W教授
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第一章・狼の「食欲」(五)

 「いいよ。我の料理のセンスを見せてあげる!」


 「私も大丈夫だ。朝ご飯に食べたそばも涼しい食べ物だから、熱い食べ物を食べればきっと違う感じがする。」


 「じゃ、三人は先ず私のラーメンを食べてね。牛肉を少し食べただけだから。」


 黒姫は箸で一枚の牛肉を三つに分けて、箸でラーメンと一緒に挟んで三人の皿に置いた。ラーメンはまだ少し湯気が出ているから、スープの温度は恐らく高いのだろう。


 「うーん、美味しいです!甘い香りの牛肉に塩気のあるラーメン、この味は丁度良くて、食べにくい塩辛さはありません。」


 若男は牛肉ラーメンを激賛した。しかし、夜雲はそう思わなかったようで頭を左右に振った。


 「牛肉は美味しいけど、まだちょっと臭さが残っててスープの香りを壊している。」


 「好き嫌いが激しいわ。牛肉は元々そんな匂いだよ。早雪はどう?」


 早雪はラーメンを口に入れた後、五秒ぐらい目を閉じてゆっくり味わった。


 「牛肉もラーメンも美味しい…でも、こういう食べ物が涼しくなったら、本来の味はもっと感じられるかなと思う。」


 「どんなものでも涼しい食べ物にしないでね、いい?」と夜雲は早雪の肩を叩いた。


 「みんな、次に握りずしを食べよう!いっぱい取ったから、自分が好きなものを選んでね!」


 「じゃ、ロブスターずしを食べますね!ありがとうございます。」と若男はバター焼きのボストンロブスターすしを選んだ。


 「わたくしはあさりずしを食べたいです。ありがとう。」と黒姫は箸で白いワインで蒸したあさりすしを掴んだ。


 「…イクラ寿司は美味しいけど、キャビアもいいですね。じゃ、キャビアのほうにしよう。」と夜雲はロシアのキャビアだらけのすしを選んだ。


 「これらのすしの食材は高級だから、醤油とワサビを付けないまま食材の本来の味を味わてね!」


 早雪は微笑んだまま、三人がすしを食べた後の感想を待っている。


「ロブスターずしは本当に美味しいです。できれば、一人でボストンロブスターを一尾丸ごと食べたいですね!」


 「あさりは歯ごたえがある!前回あさりを食べたのは半年前の事だけど。」


 「キャビアを口に含み、塩味が口の中に広がるのを味わって、まるで海を枕に寝てるような気分になる!」

三人はすしに良い評価を与えたから、早雪は笑わずにはいられなかった。


 「ちょっと大げさだね。」


 「私たちは滅多にすしを食べないのですから。偶に食べれば、案外結構美味しいと感じるものですよ!」


 「私もよく食べるのじゃないわ。一週一回といったところかな?」


 「日本人だとしてもすしが好きすぎるんじゃない?」


 「いいえ、私よりすしが好きな外国人もいるわよ!四十年前、日本のある寿司屋は、台湾支店で無料キャンペーンを行った。『鮭魚グエイウ』という名前を持ってる来客は無料で食べ放題で、しかも、五人まで友達の同伴が可能だった。結局、数十人の台湾人は市役所へ行って名前を『鮭魚』と変えて、すしを堪能したよ!」


 早雪はここまで言って堪え切れずまた笑い出した。だが、黒姫は眉をしかめた。


 「私もその昔の報道を見たことがある。無料のすしを食べに行った台湾人の中で、刺身だけ食べてご飯を残したり、多くの飲み物でカクテルを作ったりした人もいた。なんて勿体ないことをするのだ!」


 「今後は稲を育てるのも難しくなっていきます。もし今食べ物をこんなに無駄にした人がいれば、みんなに殴られるでしょう。」


 若男は話しながら、台所のほうへ視線を向けている。


 「昔の人間は、何気なく資源を浪費していました。今は自業自得なのです。」


 夜雲は頭を縦に振って、若男の意見に賛成した。


 「前世代的の人間のみたいに生活したくないから、時々自分が美味しい物を食べ過ぎたと感じたね。勿論、自分が太りたくないからこんな風に言ってるのじゃない。」


 「そうだね。わたくしたちは充分に人間の生存に貢献しない限り、こんな贅沢な生活を送る資格を持ってない。」


 黒姫は箸でスープの牛肉を挟んで、牛肉をジッと見ている。


 「目の前の美味しい食べ物を見る度に、自分の責任を思い出すべきだ。」


 「そうですね。私たちは選ばれたエリートですから…みんなは次に私のスパゲッティを食べてみますか?」


 「いいわ。でも、早く食べないと。午後はまだ体育の授業があるわ!」


 四人は楽しく話しながら食事を続けた。だが、彼らは自分が食事する姿は遠方の科学者に監視されていることを知らない。科学者たちは詳しく彼らの体温と脈拍を記録して、次の食事でいくら精力を強化する調味料を入れるか計算している……………


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