共に戦う仲間
職業とは……何だろう……。
「職業…だよ?刀を持ってるってことは……武士?」
「…忍びです……」
「「「「忍び?!」」」」
冒険者達は声を揃えて驚きながら言った。ホマレは適当に自分が忍びだと言うことを言っただけなのに…。
「忍びかぁ……聞いたことないなぁ…」
剣を持った女性は言った。この世界には職業というのがあって、忍びと言う職業はないのだろう。
……杖を持ってる少女は手をポンと叩き、三人の冒険者の耳元で何か話している。
話し終わってから、冒険者達は顔を合わせて頷く。
「……?」
そして、剣を持った青年はホマレに向かって言った。
「僕達の“パーティ”に入ってくれないか…?」
「ぱぁてい…?」
聞いたことのない……“パーティ”とは……?
「“パーティ”だよ。聞いたことないのかな……?僕達と一緒に冒険者しない…?
君は珍しい職業らしいし……丁度あと一人、パーティに欲しかったんだよ。」
一緒に冒険するとは……そもそも、冒険者達はなぜ冒険しているのだろう…。
ホマレは暗闇で聞いた言葉を思い出した。ー魔王を倒すー……倒したらもとの世界へ戻れると。
この冒険者達は魔王のことを知っているのだろうか。
もし、魔王を倒すために冒険しているのならば…。
「……冒険者さんは、なぜ冒険しているのですか…?」
「まぁ…いろいろ理由はあるけど……一番の理由はこの世界を支配しようとしている“魔王”を倒す…ことかな」
「魔王…。」
暗闇で聞こえた声は……確かに魔王を倒せと言っていた…。
冒険者達が言っている魔王は…暗闇で聞こえた声が言っていた“魔王”なのだろうか。
違っても…この世界の魔王を一人で倒せるとは思えない。
ホマレは手を強く握りしめた。
「冒険……ボクを、パーティに入れてください……!」
真剣な眼差しで言った。危険な冒険…命がけで守ってくれるかも知れない…。ホマレがみんなの足を引っ張るかも知れない。それでもパーティに入れてくれるのか…。
「共に冒険してくれるんだね…ありがとう…!」
“ありがとう”…。ホマレはこの言葉を聞いてホッとした。
「ボクこそ……ありがとうございます!」
「パーティメンバーが増えたことですし…自己紹介ですね!」
杖を持った少女が可愛らしい笑顔で言った。
「私の名前は“リディー”と言います!職業は“ヒーラー”と言う回復役です!宜しくお願いします♪」
このパーティの癒やしなのだろう…笑顔がとても可愛らしく、見ているだけで笑顔になる。
ピンク色のふわっとした髪。低めのツインテールがとても似合っている。緑色の瞳でキラキラしている。
水色や黄色、薄いピンク色など…パステルカラーのワンピースの上に白い白衣を着ている。
木でできている杖には、蔦がついていて、小さなお花がちょこんと生えている。
「次はあたしね~!あたしの名前は“ルーシェ”。職業は“ウォーリア”。宜しく~!」
剣を持ってる女性はルーシェと言うらしい。濃い青色の瞳。赤色の髪をポニーテールにしていて、明るく元気な性格にとても似合っている。
服は、赤色のワンピースに、白色のシンプルなアーマーを着ていて、ワンピースの上からベルトをつけている。
剣は綺麗な竜が彫られていて、とても強そうだ。
「オレは…“アレン”。“アーチャー”だ。」
弓を持ってる少年はアレン。茶色の髪で赤茶色の目。深緑のローブを着ていて、フードをかぶっている。ローブの中には銀色の胸当てを装備している。ぶっきらぼうな性格だ。
蛇のような柄がついた弓を持っていて、背中に弓矢の籠をつけている。
「最後は僕だな。僕の名前は“ベルク”。職業は“ナイト”で、このパーティのリーダー。分からないことがあったら、何でも聞いてね!」
剣を持ってる青年…ホマレを盾で守ってくれたのは、このパーティのリーダー、ベルクだった。薄い黄色の髪に水色の瞳。服は青と銀色の鎧を装備していて、少し重たそう…。青色のマントは風でヒラヒラしている。
盾は鎧と同じで、青色と銀色。真ん中に大きな竜の模様がついている。
剣は青く輝いていて、羽の飾りがついている。
ホマレも自己紹介をする。
「ボクの名前は“ホマレ”です…。“伊賀”出身の忍びです…皆さんの足を引っ張るかもしれませんが…宜しくお願いします……!!」
ホマレはお辞儀をした。ホマレが顔をあげると、四人はキョトンとしていた。
「いが…とは……?どこにあるのかい…?」
ベルクが聞いた。ホマレは「しまった…!」と思った。別の世界なので、分からないのは当たり前だ。
「伊賀とは…ええっとー…忍びがたくさんいる国です…!忍びは影のような存在。どこにあるかは言えません……」
言ってることは……嘘…ではない…?
別の世界から来たことは今度、ゆっくり話そうと思った。