謎の声
今は戦国時代。
桜が散っている。ししおどしの音がが聞こえる、お城の庭の池のそばに座っている、一人の忍びの少年、ホマレがいた。
腰まである藍色の髪を一つに縛っていて、青色の瞳。
女の人と間違えられてもおかしくない顔立ちだった。
左右の腰には、綺麗な打刀を装備していた。
毎日残酷な任務を任せられるホマレは、疲れきっていた。
「おい、ホマレ、ホマレはおらんかー!」
ホマレの主の声がする。
怖い……行きたくない……どうせ人殺しの任務とかでしょ……でも……行かなきゃ殺されるかも…。
ホマレの主は、自分が納得いかないと殺したり、この国から追放したりする、自分勝手の人だった。
伊賀出身の忍びのホマレは、運悪く、この主となってしまった。
逃げ出したくても逃げられない。城の造りは完璧。兵だって、たくさんいる。
「ホマレー!!」
どんどん声が大きくなる。
早くいかないと…と、立ち上がった瞬間!
足元に不思議な虹色の穴が現れた。
「え……?」
見たことのない、この世界に存在しないような穴。
ホマレはその穴から逃げようとしたが……
一瞬で飲み込まれてしまったー……
暗闇の中……。そもそも目を開けているのだろうか……。体の感覚がない不思議なところに来てしまった。
「どこ…ここ……?」
すると、神様のような、優しい女性の声が聞こえてきた。
『あなたは……ホマレくんであってる…?』
「…………あ…はいぃ…そうです……!」
何が何だか分からず、間があいてしまったが、ホマレはビクビクしながら答えた。
『ホマレくん。あなたは人を殺しすぎました……。主の命令なのは仕方ないと思っても、罪のない人の命を奪うことは許されないのです……。』
怒ってはない。けど、真剣な話だ。
『なのでホマレくんは……罰を受けなきゃならないのです……。』
「…ひぃっ!!すみません~!!ばばば…罰とは……?!」
『これから……別の世界へ行ってもらいます。そこで、魔王を倒してください。魔王を倒したら、もとの世界へ戻してあげますよ…』
思っていたのと違う答えだった……。別の世界とは……?魔王とは……?
意味が分からない事ばかり。ホマレはどういうことか聞こうと口を開くと……突然、明るくなった。とても眩しい。
『それでは……』
「え…?!ちょと………まって…くだ…さ……ぃ………」
何が何だか分からないまま、また意識が遠くなった。