神様への手紙
少年は思った。
僕の人生を決めている人は誰なんだろう。
教会の神父様に聞くと、「それは神様で、人の心の中にあるものだよ」と。
某年、都会の路地裏の隅で蹲る小さな影があった。
赤黒い痣が目立ち、痩せ細っている少年だった。既に息絶えていた。
血の滲んだ手にはぐしゃぐしゃになった紙を握りしめていた。
拝啓 神様
神様 貴方はどんな姿をしていますか
神様 貴方は今までどんな命を産みましたか
神様 この世に生きている人間を憶えていますか
神様 僕のことを憶えていますか
産まれた時の写真は暖かい光と穏やかな両親に包まれていました。
神様 僕のことが見えていますか
神様 今路地裏の隅にいます。赤黒い僕が見えますか
お母さんは、引き出しからお金をとって帰ってきません。
お父さんも、神様と同じように僕が見えないのかも知れません。
神様 人がみんな同じというのなら僕はなんで家がないのですか
神様は身勝手なのでしょうか。
神様 お願いです。
暖かいスープといい匂いの毛布をください。
優しいお父さんとお母さんを、良ければ可愛い弟もください。
綺麗な服と、おもちゃをください。
全部全部大切にします。
神様 聞こえていますか
カミサマ、貴方が僕にくれたものを
ひとつ残らず処分してください。
カミサマ、最後に一つだけお願いです。
僕をなくしてください。
敬具
神様は時には残酷です。
貴方なら神様にどんな手紙を出しますか。




