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入学編2

静まりかえる森。

神聖ななにかを感じさせる森を、月明かりが照らす。

しかし、今日の森はなにかが違った。


「ひひひひひ」


狂気の声と、カンカンと響く不吉な音が、静まりかえった森を不気味に染める。


男は手を止めた。

釘は深々と刺さっている。

写真の人物のちょうど顔のところに刺さっている。


「……無神……無神……無神……」


忌々しげに呟く。

写真の裏から藁がぽろぽろ落ちる。

辺りには虫の死骸が無数に落ちている。

一陣の風が森にしゃあしゃあと音を与える。

その音は森をよりいっそう不気味に染めあげる。

男は今更ながらにその不気味さに気づく。


「オ前カ」


幻聴だ。


「我ヲ」


幻聴であってほしい。


地面が揺れた。

森がしゃあしゃあと悲鳴をあげる。


「我ヲ呼ビ覚マシタノハ」


その声はやけにはっきりと聞こえた。

頬にぬるいものが流れる。

眼鏡を外し、それを拭う。

どろりと手が真っ赤に染まる。

止まらない。


「折角500年ブリニ起キタノダ。ソナタノ恨ミ、我ガ晴ラソウ。チョウドイイ、其奴、我ガ器トスルカ」


風が止む。

目から流れるものの色が抜けていく。


何が起こったのか分からなかったが、尋常でない恐怖を感じた男は、金槌を放り捨て、ひいひい言いながらその場を離れた。

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