第07剣『騎士の剣』
本日2話目の投稿です。よろしくです。
武装された馬車、厳つい棘を前と左右に生やした二頭引きの馬車が鎮也たちへと迫ってくる。さらに後方には馬に乗ったいかにも山賊といった風体の集団、咲耶やレオフィーナを見ていやらしい笑みを浮かべる男たちは間違いなく族の類だろう。
「お話がしたい様子でもないし、ここはとりあえず逃げようか」
「了解ですマスター」
レオフィーナは手綱を握り直してトルナードに走るように指示を出す。戦っても別にかまわないが、人間相手となると魔物を相手にするよりも面倒くさい。
「山賊に対する法律ってどうなったのかな」
「昔なら殺生与奪は認められていたけど、この時代はどうかわからないね」
「咲耶さんは難しい言葉をたまに使うよね」
「鎮也くんも一応日本人なんだから、漢字は大事にしないとダメだよ」
小学生で異世界にやってきた鎮也は四文字以上漢字が繋がった言葉は苦手であったが、咲耶はモデルとなった漫画の時代背景が大正時代であり漢字の言葉を多く使用していた。その影響だろう大和撫子の見た目通り咲耶は和を好む性格をしている。
「まあ今は勉強の話は後回しにして、現状の対処をしよう」
風切り音と伴い、何かが馬車に飛来してきた。
「できれば、最初の対話は言葉がよかったんだけど」
時間を飛び越え最初の人との接触は言葉ではなく弓矢であった。山賊から放たれた矢は放物線を描き馬車へ飛んでくるが、命中する前に馬車から発せられた電磁波で軌道を逸れていく。
「これって鎮也くんが付けた機能?」
「こんなこともあろうかと」
「それは、職人系職業についた人が一度は言ってみたいセリフベスト3に入っている言葉ですね」
お約束にはすかさず反応するレオフィーナ。
「他の二つは知らないけどな」
現在進行形で襲撃を受けていても余裕を崩さない三人、この間にも矢による攻撃は続けられていた。
「矢の先端が鉄でよかった、魔獣の骨とかだったら弾けなかったよ」
鎮也たち三人が余裕な訳は使われている矢を鎮也が鑑定し粗悪な鉄製しかないと看破し、スキル『剣術』で気配を探れる咲耶がたいした相手がいないことを初見で見抜いたからだ。
「スタンダードな鉄のヤジリじゃ車体から発する電磁力場を貫通することはできないよ」
磁石の要領で矢を反射させていたのだ。
「鎮也くん、作戦を変えるみたい」
矢が効かないと理解した山賊たちは弓を捨て直接襲ってきた。
馬車に装備されている棘で、こちらの馬車を破壊するつもりのようだ。
「迎撃する?」
「あの程度なら必要ないかな」
ヤマトを握り咲耶が抜刀の姿勢をとるが、鎮也は大丈夫と止める。
鎮也の言葉通り、追いかけてくる馬車が近づいてくると放電が起こり棘の先を砕いてみせた。
「なんだ!」
山賊の驚きの声が聞こえる。
向こうからしたら、鎮也たちの誰も魔法を使ったそぶりを見せなかったのに、いきなり雷撃が発生したのだ、驚かないはずがない。
「何かの魔道具か!?」
「魔道具って言えばそうなるか、正確には魔導馬車だ」
「襲われてる奴が余裕かますな!!」
質問に答えたら、なぜか山賊に怒られた。
「マスターどうしますか?」
倒すのは簡単だが、倒した後が面倒だ。
「とりあえずは殺さない方向で、逃げようか」
異世界にきて一番変化したのは命への価値観かもしれない。この世界は日本と違って命への危険が数多く転がっている。手心を加えた相手に殺されかけた数は片手の指よりも多かった。
だから、自身に余裕が無い時は躊躇を捨てている。
でも今は余裕は有り余っている。けっして油断しているわけではなく正確に相手との力量を測った上で生まれた余裕。
「加速で振り切ろう」
「了解しました」
レオフィーナが手綱に魔力を流すと、車軸から放電が起こり加速する。
山賊たちの馬車がみるみる離れていく、向こうは二頭引きの馬車にも関わらず必死で鞭を振るっているようだが差は開くばかり。
「鎮也くんこの馬車、馬がいなくても魔力があれば動くんじゃない?」
「ああ動くぞ、ただ方向が変えられないから馬は必要だけど」
鎮也が改良した馬車に繋ぐ馬は動力エンジンとしてではなく、ハンドルとして存在していた。
「馬がいなくても動く車を馬車って呼ぶのかな?」
「まあトルナードが本気で走ればそっちの方が早いから、一応馬車で通ると思う」
「では試してみましょう」
ついでにとばかりにレオフィーナがトルナードに指示を伝えると、一拍の間が開いて、馬車はロケットが点火したような加速をした。
とてつもない風圧が前方から襲ってきて、咲耶とレオフィーナ、二人の黒とプラチナブロンドの長い髪が勢いよく舞い上がる。
景色が高速で後ろへと流れ、開けていた草原はあっと言う間に終わり、渓谷に差しかかると谷間風と合わさり風圧はさらに強く激しくなる。
「トルナード、風の魔法を」
流石に風がうっとうしくなったレオフィーナはトルナードに風避けの魔法を使わせる。すると馬車を風のドームが包み込み、体が飛ばされそうだった風圧がそよ風程度にまでおさまった。
「プロペラ機に乗ったような風だったわね」
「風対策は考えてなかった」
「街でとる宿はお風呂付きでお願いね」
乱れた髪を手櫛で直しながら咲耶は街に着いてからの注文をつけてくる。
「了解、街が昔のままなら、この渓谷を抜ければすぐだからそれまで我慢してくれ」
「マスター、前方に不審なモノが」
レオフィーナに促されて見れば、渓谷の出口にバリケードが築かれていた。それも太い木を削り作られたスパイクのおまけ付きで。
「国境の検問か?」
「いえ、どうやら山賊のようですね」
「さっきの奴らの仲間か」
棘の作りが似ている。
「相手が山賊なら問題ないか、通り過ぎてから止ろう」
馬車が早すぎて急には止まれない。
バリケードはすぐそこ、周囲にたむろっていた山賊たちのニヤケた顔まではっきりと見て取れた。だが、馬車がスピードを緩めることなく猛スピードで突っ込んでいくと、表情がじょじょに青くなり、転がるように馬車の進路上から逃げ散っていく。
トルナードはそのまま臆することなくスパイク付きのバリケードと激突、そして通過した。まるでバリケードなど無かったかのように障害になる全てを粉砕して走り抜けたのだ。
砕かれたバリケードの破片が雨のように降るのを交わして、トルナードが引く魔導馬車は何事もなかったように速度を落としてゆっくりと停車した。
「な、なんだいったい……」
瓦礫をかき分け、筋肉質の男が頭からかぶった砂埃を払い立ち上がる。
肌は日に焼け肩には大きな傷跡を持つ山賊のお頭風な男。
「あの馬車、魔道具でも仕込んでやがったか、だがバリケードを壊す為にエネルギーは使い果たしたようだな」
「走る力も残さないなんて間抜けな奴らだぜ」
停車したことをエネルギー切れと勘違いしたようだ。
「魔道具事情は、あまり変わってないかもな」
鎮也は山賊たちの反応から魔道具類は鎮也たちの時代からさほど進歩が無いと推測した。
昔から一般に出回っている結界系の魔道具は高性能なほど効果は短いのが常識であった。その常識がまだ生きているなら山族たちの勘違いにも納得できる。
まさか聖剣すら作り出せる聖剣鍛冶師がボロ馬車を魔改造するなど想像もしないであろう。
「テメェらいつまで寝てやがる。獲物は目の前にいるんだぞ!!」
「すみませんお頭」
粉砕の衝撃に巻き込まれ転がされた手下たちがお頭の激でノロノロと立ち上がってくる。
「やっぱりあいつがボスか」
「マスター、ここは私が」
私にまかせろと馬車から一人降りたレオフィーナ。
「オジロを貸してもらえますか」
「頼んだ」
魔法のカバンから一振りの小さい剣を取り出しレオフィーナに渡す。
「――――――――――――――――――――――――――――
七星剣第五星
【名称】陽翼剣オジロ
【製作者】星尾鎮也
【使い手・メイン】星尾鎮也 【サブ】レオフィーナ
【分類】光剣 【レア度】☆☆☆☆☆☆☆(7)
【長さ】20センチ 【重さ】0.4キロ
【聖剣核】オジロの心
【スキル】
『光魔法(特大)』…使い手が光魔法を扱えるようにする(効果:特大)。
『光刃』……………刃から光の刃が伸びて剣となる。
『魔力吸収』………刃が触れた魔力を吸収できる。
『破邪』……………魔・闇属性に絶大な効果を発揮し、呪いも掃う。
『破損修復』………剣が破損しても時間経過で修復できる。
『剣獣化(鷲)』……額に剣のような角を持つ尾白鷲へと擬獣化できる。
【奥義】
『魔力補給』視界に入るすべての者に魔力を送れる。
補足
スーパーロボット系アニメに出てきたビーム剣に変形するロボット鷲を参考に、鎮也がファンタジー風に設定しなおした。剣獣のモデルは鳥図鑑の中から鎮也が一番かっこいいと感じた尾白鷲。光刃は聖なるエネルギーでできている。
―――――――――――――――――――――――――――――」
鞘から抜かれたオジロは魔物用剥ぎ取りナイフよりも短い刃であった。ちなみに剥ぎ取り用は30センチほどの長さがある。
「なんだお嬢ちゃん、そんなちんけな剣で俺たちと戦うつもりか」
バリケードが粉砕された衝撃的な出来事もレオフィーナの短い剣を見て抜け落ちたようだ。手下たちも腹を抱えて笑いだす。
「そんなおもちゃは捨てて降参しな、馬車の荷物を素直に引き渡せばお前とそっちの黒髪の嬢ちゃんはかわいがってやるぜ」
とても醜くいやらしい笑みを浮かべるお頭、人の道を踏み外したことをまったく後悔していないようだ。
「これは主より借りうけた騎士の剣、捨てるなどできない、それに馬車におられる姫も騎士の誇りにかけて渡しはしない」
まるで舞台役者のように口上を述べるレオフィーナ。
「姫だ~」
お頭が咲耶の姿を値踏みをするようにマジマジと観察してくる。
「馬車はボロだが高級そうな着物を着ているな、なるほどお忍びの旅か」
「お頭、こいつはとてつもなくラッキーですぜ」
レオフィーナが即席で考えた咲耶の姫設定を山賊たちは信じてしまった。
「私の姫設定、まだ生きてるんだ」
「レオナは幼馴染メイドじゃなくて騎士設定に戻ってるな」
あくまで余裕を崩さない鎮也と咲耶、心境は演劇を見ているかのようであった。完全に観客となった二人はレオフィーナと山賊のやり取りを観劇する。
「騎士の剣にやられたい者からかかってこい!」
バババンと効果音がとても似合う構えで短いオジロを山賊たちに突き付けた。
「おうおう何が騎士の剣だ、本物の騎士の剣ってのは、こいつみたいなモノのことを言うんだぜ!!」
お頭の腰から引き抜かれた長剣は、山賊が所持するには似つかわしくない高貴な装飾が施されていた。薄汚れた服とのミスマッチが半端じゃない。
「鎮也くん、あの剣って」
「討伐に来た騎士団とかから奪ったんじゃないか」
鎮也は鑑定眼を発動させお頭の剣を鑑定する。
「――――――――――――――――――――――――
【名称】帝国式量産魔剣シュバイツァー改
【分類】長剣 【レア度】☆☆☆(3)
【長さ】120センチ 【重さ】2.5キロ
【魔剣核】魔核C級
【スキル】
『切れ味強化』『炎付加(小)』
【補足】
帝国の工房で作られた量産型の魔剣、騎士団では中隊長クラスが好んで装備する傾向がある。
――――――――――――――――――――――――――」
「やっぱり帝国騎士の剣だ、量産型の魔剣、帝国は魔剣の量産に成功したのか、手作りだったら量産型って付くわけないし、製作者の名前も無いから機械生産なのか、レア度3って核に魔核を使っているが強度的に問題はでないのか――」
「鎮也くん今鍛冶師の顔を出すのはやめようね、一応襲われているんだから」
「あ、すみません」
知らない技法で作られた魔剣を前に、つい鎮也は頭が鍛冶師へと切り替わってしまった。そんな鎮也をたしなめる咲耶も襲われているの前に一応を付ける時点でおかしいことに気がついていない。
二人がこれだけ安心していられるもの、鉄壁の存在が山賊の前に立ちはだかっているからだ。
「確かに騎士の剣のようだが、使い手が騎士でないのは剣が悲しそうだ」
「剣が悲しがるだ~、俺はこの剣を騎士よりもうまく扱えるぜ!」
手近にあったバリケードの残骸を斬りつける。刃には炎が発生し残骸を熱した鉄板にのせたバターをナイフで切るように容易いに切り裂いた。
「使い手が俺の方が剣も喜ぶってもんだ」
「何もかものが醜いな、族」
剣の威力を見ても萎縮することないレオフィーナは、だらりと腕を下げて一歩足を踏み出す。
「なんだと!」
「剣の扱いも心構えも、存在自体も醜い」
お頭の存在を全て否定するレオフィーナ、お頭のいやらしい表情が消え怒気をはらんだ視線を叩きつけてくるがそよ風ほども感じていない。それがさらにお頭の精神をさかなでた。
「生け捕りは辞めだ、殺してやる!!」
お頭の剣が炎を纏いレオフィーナへ振り下ろされた。
手下たちはいい女なのに勿体ないと表情を浮かべるが、お頭の決定に異を唱える者はいなかった、それだけこの山賊集団の中でこの男の実力が群を抜いていた証拠。討伐へやってきた騎士団もこの男の武力があったからこそ撃退できた。
力だけは手下から絶対の信頼を寄せられた男、その男の本気の一撃がレオフィーナに叩きつけられたのだ。原型すらとどめない、山賊たちは誰もが思ったであろう。
振り下ろされた魔剣は大地を焦がし亀裂さえも生み出した。
だが。
「剣も満足に振るえない族に、私を傷つけるなどできはしない」
お頭の剣はレオフィーナを外れ地面を叩いていた。いや外れたわけではなく、振り下ろされる魔剣をレオフィーナが剥ぎ取りナイフよりも短いオジロで受け流していたのだ。
「ま、まぐれだ、まぐれに決まってる!!」
お頭は剣を構え直して、連続でレオフィーナへと叩きつけてくる。
だがレオフィーナはその場から一歩も動くことなくお頭の剛剣を片手で持ったオジロだけで受け流す。
「バ、バカな……」
肩で大きく息をするお頭が、ようやくレオフィーナの実力に気が付きはじめた。
「族に使われるなど騎士の剣として恥であっただろう、今主の元へ送ってやる」
静かに構えたオジロの刃から光が発生し刀身を伸ばすように剣の形へと集束する。
「光の剣だとッ!?」
「安らかに眠れ」
一閃。
レオフィーナが一度だけ腕を横に振る。それだけでお頭との間に光が走り騎士団から奪われた魔剣が根元から切断された。
刃が斬られると同時に魔核も割れ、騎士の魔剣は完全な死を迎える。
「剣を斬った、だとッ」
山賊のお頭は手元で起こったことが信じられないようだ、切断された断面を茫然と見つめる。
「一度だけ勧告しよう、降伏しろ」
レオフィーナは威圧するよいに光輝く剣を掲げ降伏を勧告した。
「ヒィーー!」
オジロを突き付けられたお頭は尻もちをつきながら後ずさりした。さきほどまでの余裕など一切感じられない、情けない悲鳴までもが口からこぼれ落ちる。
「お、お前ら、何してやがる、相手は一人だぞ、囲め、囲んで倒せ!!」
帝国騎士団の紋章が入った盾を装備した手下たちがレオフィーナを包囲し、ジリジリと囲みを小さくしていく、剣の切断という離れ業をみせたレオフィーナの光剣を警戒しながらだが、多勢に無勢だ、まだまだ自分たちの方が優位だと考えているようだ。
「その防具も騎士たちから奪った物だな」
「やれ、殺せ!!」
安全地帯まで逃げたお頭が命令を飛ばす。
その命令に従い、盾と盾の間から何本もの槍が突き出された。避ける隙間など無い攻撃、ありきたりな戦術ではあるが、強い個を倒す時には有効な戦法の一つである。
魔剣を持っていた騎士団の隊長も最後はこの方法で殺されていた。これこそが山賊たちの必勝パターンであった。
しかし――。
光剣を持つ少女騎士には通用しなかった。
レオフィーナはその光の刃で迫る槍を全て斬り落とし、さらに盾までも斬りつけ両断した。鉄の盾までも両断され取り囲んでいた山賊たちは唖然として声を失う。もう一度降伏勧告をすれば素直に従ったであろう。
「今だ打って!!」
だが包囲していた手下たちの戦意を削いだ瞬間を狙ってファイアボールの魔法が撃ち込まれた。レオフィーナを中心に爆発、包囲していた手下たちもまとめて吹き飛ばした。
「ハハハッ!! やったぞ、やってやった!」
お頭が顎が外れんばかりに口を開き喜びの声を上げる。包囲戦術の他に遠距離から攻撃を仕掛けさせる魔法使いを待機させていたのだ。
ズル賢く仲間を犠牲にする残忍な戦法であるが、賞金稼ぎの冒険者や騎士団の討伐からも生き残ったお頭だ、包囲戦法を破られることも考慮して備えていた。
「仲間を巻きこんでそんなに嬉しいかよ」
「山賊にしては戦術的に動くね、方法はどうかと思うけど兵士崩れかな」
爆発の煙でレオフィーナの姿が見えなくなってもまったく心配しない鎮也と咲耶の二人、信頼もしているし、魔法を無効にする聖剣を持っているのだ。彼女を火系の魔法で傷を負わすのは不可能である。
「腕が立とうが護衛を一人だけにするとは、驕りすぎたなお姫様」
「別に驕ってなんていないよ」
勝ち誇りレオフィーナが見えなくなった途端に、また強気に戻ったお頭さん。動ける手下を引き連れて魔導馬車へとやってくる。
「強がるな、護衛の騎士は黒ずみだぜ」
「誰が黒ずみだ」
もはや焼きつくしたと思われた爆心地から声が聞こえ、ギョッとして振り返る山賊たち。
煙の中に一本の光の刃が見えたかと思えば、煙に穴が開き閃光が飛び出してきた。それが何かなど確認するまでもなくレオフィーナだ。
「あの魔法を耐えたのか!?」
「いいえ、消しただけです」
陽翼剣オジロには『魔力吸収』のスキルがある。魔法攻撃によるダメージは一切なく、残った山賊たちの間合いに高速で踏み込みその光る刃で斬り倒していく。
オジロの光剣が振るわれるたびに数人の山賊たちが倒され宙を舞い、飛来する魔法を切り裂き魔法使いを大地に鎮める。ほんの数回瞬きをする間にお頭を除いた山賊はレオフィーナ一人によって倒しつくされた。
「ひ、ひっ~~~」
四つん這いになり、潰れた蛙のように逃走するお頭の前に回り込んでレオフィーナは逃げ道をふさぐ。
「まってくれ、交渉しよう、俺は財を結構ため込んだ、それを半分――」
「世界の半分になど興味はない!」
「そ、そんな権力、もってね~」
交渉を最後まで聞かず一振りのもとお頭を成敗。
「まったく負けそうになった親玉はお約束のセリフを口にする」
「うん、レオナさんお約束を完全に勘違いしてるな」
「今のは私でも違うってわかった」
親玉は親玉でも世界の半分で交渉できるのは世界征服などを企む魔王クラスの化け物だけだ。
こうして最後は勘違いの元、騎士の剣により山賊のお頭は成敗された。