人との出会いは時として人との別れを思い出す云々その1
西暦20XX
日本、急速発展都市「学京」
この都市には、ある問題がある。
それは「超常犯罪」この世の科学などの理論や常識を超えた犯罪が後を絶えない。
先日もビルの鉄骨を溶かしビルにいる人間、及びビルを溶かして蒸発させた。
死体も証拠も残らない。完全犯罪。
「なぁ相棒、また例の事件だ…」
俺の名は、光 悠一(ひかり ゆういち)
光探偵事務所の所長だ。
「また…か、全くもって物騒だよ」
こいつの名はフリデリック、俺の相棒だ。
「なぁ相棒?」
「君の言おうとしてることは分かるよ」
フリデリックは立ち上がり、のびをしながら
「まだ、情報が足りない。僕の能力は使えない。情報を、情報があれば、犯人を絞ることは出来る。」
「のんびりしてる場合じゃねぇだろ。人が死んでるんだ。ノンケちゃんの所に行ってくる。」
「あぁ、あの情報屋ね、外へ出るのかい?」
そう言うとフリデリックは俺にベストを手渡した。
「気をつけなよ。僕達は、下手をすれば狙われる存在なのだから。」
フリデリックは真っ直ぐ俺の目を見つめて言った。
「んじゃ、行ってくるわ。」
その瞬間、事務所の玄関のベルが鳴った。
「は、はい今行きます。」
玄関のドアを開けると、そこには茶髪のロングヘアー身長は145㎝程でかなり小さい。顔も童顔で若々しい感じのする女性だった。
その女性は光を見上げ言った。
「あのーここ、退去してもらって構わないすか」
「は?」
「いやーあなた管理人誰だと思ってるの?私よ私!はい、ともかく退去よ、退去。」
「はー、中学生のイタズラにしても頭の悪い冗談だな。お前は何だ。アホか。」
「アホとは何よ!アホとは!よくもまぁ初対面の人に言えるわね!しかも22だから。」
ぷいとして腰に手を当てる女性。
「22だ…と。いやいや嘘言え。つか、管理人って証拠は。証拠を見せろよ、証拠を。」
「ほら。これ。」
女性の差し出した紙を見てみると、管理人八神 葉子(やがみ ようこ)と書いてあった。
八神…まさか
「八神ってお前まさか…八神 庵(やがみ あん)の…。」
「娘だけど…そういえばお母さんいないね。どこ行ったの?」
なるほど…そういうことか。
光は一度深呼吸をして
「あぁ、お前のお母さん、な…しばらく帰っては来ないんだ。」
「えーなにそれ聞いてない。」
葉子はちえっと浮かない表情をしていたが、次に言った言葉は
「ねぇ、ここって探偵事務所だよね?」
「あ、あぁそうだけど」
「退去の件のことなんだけどさぁ…私に一ついいアイディアがあるのだけど」
嫌な笑いだ。少し懐かしい、この感じ。
「何だよ。」
「ふふん、私を所長にしなさい。そうすれば、別にいいわよ。」
「お前はいい加減にしろよ。散々退去退去言っといて、残してやるから所長にしろだと!俺は一応この仕事に誇りを持ってる。そして誰よりも学京を愛してる。そう簡単にはうなづけないね。つーかまたなんで残すんだよ。」
「まぁお母さんの帰りを待ちたいし、まぁ私就活失敗したし仕事欲しいし…はははー」
「はぁ…そっちか」
「あーあと私愛知からきてるからよくこの街のこと分かんないだよねー。さっきから警察官がうろついてるし、何かあったの?」
「実は…」
葉子に例の事件のことを話した。
「え⁉︎信じられない!そんなことがあるの」
まぁあるんだよ。
「でも、面白そうね。」
え?
「解決しようよ、この事件。そしたら客も増えるでしょ。」
葉子は分かっていない。俺の使命を…庵ちゃんの言葉を思い出す。
「フリデリック…そして葉子を宜しく頼むわ、そしてあなたは…」
「ねぇ聞いてるの?」
「え?何か言ったか?」
「さぁいざ、じけーんかいけーつ」
葉子は俺の手を引っ張ってドアを開けた。
庵ちゃん…なかなかすげえの残してるじゃないの。