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『秒読みの殺人』

 原題は「私にだって完全殺人くらいできる」というような意味か。トリッシュ・ヴァン・ディヴァーが演じる犯人の心情にも通じる。彼女は、地方テレビ局のアシスタント・プロデューサで、自分が有能であることを認めてもらいたかった。

 被害者の支局長は本当に嫌な奴だ。男根主義者であり、女性の能力を認めず、金品で解決できると思っている。車の排気量がその基準になっているような男だ。さらには「完全殺人で殺せ」などと侮ったことを言う。これに対する返事が原題というわけだ。これは殺されても仕方ない。殺人のトリックは「忘れられたスター」とよく似ているけれど、あの時よりも緻密に組み立てられていて、そのあたりが邦題に通じる。コロンボが相手でなければうまくいったかもしれない。

 コロンボが最初から登場するが、必然性がない。単に車の事故を起こしてムチウチになるだけだ。しかもそのあと長いこと出てこない。取ってつけたようだと思っていたら、実際に後から付け足したもののようだ。被害者と同じポーズで現れるところから登場させたほうが面白かった。首のコルセットもアレと思わせたに違いない。それなら実際に事故があったかどうかもわからない。

 コロンボはどのタイミングで目星をつけたのだろうか。恐らく脅迫の投書を見せたところだろう。しかしそのときからコロンボは犯人のことを有能だと褒め続けている。

 コロンボが犯人に仕掛けるトリックは、シンプルそのものだがそれだけに効果的だ。凶器を目につくところに置いておいて、それを犯人に取りにこさせるというものだ。犯人が引っかかったのは、無能だからではない。コロンボが有能すぎるのだ。

 それにしても対決シーンがあまり面白くないのは、犯人があまり犯人らしくないからだろう。やはりもっと大物が犯人であってほしい。廃屋のシーンもそのほうが効果的だったろう。それでもこの犯人像を提示したのは、男尊女卑に対する批判精神からだろうか。あるいはその逆かも知れない。「テレビ業界で一番始末に負えないのは、全部わかっている女性なんですよ」と言うエンジニアのセリフがそれを暗示している。

 ラストシーンが洒落ている。コロンボがモニターのスウィッチを切ると、右上にキューのパンチが出るのだ。

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