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『死者のメッセージ』

 今回の犯人は何とアガサ・クリスティである。まあ、そうは名乗ってないけれど、モデルなのは確かなところだろう。演じるのはルース・ゴードン。コロンボのいつものセリフ「あともう一つだけ」を言ったりするところが面白い。しかし見所はそれくらいで、殺人トリックは「別れのワイン」の焼き直しだし、ダイイングメッセージも大したことはない。あれくらいのものは、いつものコロンボならもっと早く見つけて、あっさり片をつけていただろう。出帆間近まで待って焦らせる作戦だったのかもしれないけれど、船上でのシーンはスリルがあるけれど、そのあとの対決シーンは冗長な気すらする。つまりは全体的にシナリオにアイデアが乏しいのだ。評論家の評価は高いようだけれど、私はそんなに評価できない。

 それでもやはりコロンボ物は面白い。今回はコロンボ自身の個性を表現するシーンが多々あった。

 まず「うちのかみさんがあなたのファンです」と言っておきながら真っ先に買うのではなく真っ先に「図書館から借り出す」のだ。庶民と金持ちの対比はこのシリーズの痛底するテーマであることを再確認する。

 無理やり壇上に上げられてさせられたスピーチでも「科学捜査なんて何も知らない」「殺人犯への好意や尊敬」「誰にでもいいところがある」などと、いつも見ていて思っていたことが明言されている。殺人自体は悪いけれど、それ以外はいい人物が多い。それでも殺人を犯してしまうのはどうしてだろう。社会的な要因も大きいとは、私が今まで繰り返してきたことでもある。

 今回の動機は、自分の姪が、ヨットの事故を装っって殺されたことにある。証拠が上がらず、迷宮入りしているが、犯人の目星は付いているので、その姪の夫を殺すのだ。この殺人をコロンボが担当していたらという、犯人の科白は確かに面白い。現に、被害者の部屋を見て夫婦仲が悪かったことをひと目で見抜くのだ。それは死んだ妻の写真が一枚もないことだ。まあ、今回二つの事件をあわせて解決したと言えなくもない。

 ダイイングメッセージを指していると思われる邦題もつまらない。原題は「捕まえてごらん」か。「ミステリ作家の憂鬱」くらいのタイトルでよかったのでは。


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