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『ハッサン・サラーの反逆』

 原題は「治外法権の事件」というような意味。ハッサン・サラーというのは固有名詞だと思うのだけれど、邦題では役職名のように聞こえる。それに、ハッサン・サラーは反逆したのだろうか? 単なる金目当ての犯行としか思えないのだけれど。コロンボも動機には疑問があったようで、直接犯人に尋ねている。そのときの答えは「国では勢力争いがあってね」といっているけれど、それにしても警備主任を殺す理由はよく分からない。よくとってクーデターを起こす資金源として金を必要としたというところか。金庫には現金は入っていなかったはずで、むしろ使い込んだお金を誤魔化すための犯行といえるのだろう。要するに王の血を引いていながら王になることができずただの「総領事代理」に過ぎない身を嘆いて、アメリカにいるのをいいことに、豪遊した付けを払うために二人もの領事館職員を殺す羽目になったのだ。ハッサン・サラーを演じているのはヘクター・エリゾントで、彼は別に中東の出身と言うわけでもなさそうだ。西洋人とアラブ人の違いは髭を生やしているかどうかだけか。無論髭は生やしたり剃ったり自由にできる。

 この回の見所は殆どない。原題のとおり「治外法権」をどうやってコロンボが乗り越えるのかという一点にのみ興味がある。第一の殺人で金庫の中身を燃やした上の爆発の漆喰の粉が落ちてるなど、余りにもずさんな犯行だ。それでも第二の犯行で、コンタクトレンズの上から眼鏡をかけた不自然さは面白い。もちろん犯人は馬鹿で、無理な工作などする必要はなかったのだ。必要な眼鏡をかけないで車を運転する可能性はゼロではないのに対して、コンタクトと眼鏡の両方をかけて運転する可能性は全くないからだ。ここで知り合いの犯行ということははっきりする。暗号室から電話をかけられないということも、総領事代理ともあろうものが知らないはずはない。犯人役としてコロンボものとしては無能すぎるのではないだろうか。しかしそれでも治外法権という壁は残る。

 これを逆手にとって犯人をトリックにかけたコロンボは素晴らしい。たとえ状況証拠だけであっても国に帰れば否応なく首を刎ねられる。ロサンジェルスなら無期懲役ですむのだから自白した方がマシだ。でもそれって最初から分ってたことでしょ? というのが観終えての感想だ。これは駄作だろうと思うが、でもだからと言って、全然面白くないわけではないのがコロンボものの不思議なところ。何か魔法がかかっているようだ。これが「新コロンボ」になると瞬く間に魅力をなくしてしまうのでもあるし。

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