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4.神託
闇に侵される。
身の内から泉のように暗黒が湧き上がり、じわじわと染め上げていく。
あるいは、足元に突如開いた暗黒にゆっくりと沈んでいく。
あるいは、背後から迫る暗黒に、徐々に飲み込まれていく。
逃れたくて、必死で光に向かって手を伸ばすけれど、どうしても届かない。
もう少しで届くのに。
もう少しなのに。
早くしないと、あの光に手が届かないと、完全に飲まれてしまう。
自分が、完全な暗黒に染め上げられてしまう。
完全に染まってしまったら、いったいどうなるのか。
もう少し、もう少しだから、もう少しだけ手を伸ばせば。
不意に何かに手を引かれる。
力強く、暖かい、何かに。
けれど、助かったと、そう思った瞬間、足を捕らえられる。
冷たく、おぞましい、何かに。
飛び起きて、ジリオンはそれが夢であったと気づき、大きく息を吐いた。