プロローグ
あの崩壊の日からどのくらいの月日が経っただろうか。なんせ、1年前にムーブスの赤帆隊に入隊するまで日にちを数えるくらいの生活の余裕はなかったのだから当然だ。
崩壊の日を迎えてからというもの日本の人口の四割が死に、ガスや水道などの生活システムのほとんどかま機能しなくなった。交通機関ももちろん滞り、衣食住の確保はおろか、一体この世界に何が起こっているのかすら、人々は把握できなかった。
そもそもあの日が崩壊の日と言われはじめたのはいつだったか。やっとラジオ電波が通り始めた頃か。そのラジオ放送の記念すべきといったところか、その第一声は
『我が国は正体不明のヒト型生物の大規模攻撃によって壊滅状態にある』
ということだった。
ラジオを前にした人たちは耳を疑っただろう。どこかのテロ組織の大規模テロでもなければ、どこかのヤクザやらマフィアの抗争の飛び火でもない。正体不明のヒト型生物。後に、コルトと呼ばれ、恐れられるのだが。
案の定、そんなオカルトまがいのことなど信じないと言う者もいれば、宇宙人だの地底人だのの噂を流す者もいた。極めつけには、なにやら魔法陣の類の巨大な地上絵を描き、祈りを捧げるような人まで現れるようになった。
あの幸せだったような日々をコルトによって掻き消され、途方に暮れ、自殺するような人間も現れ、挙句の果てには、ショックと混乱で発狂し、人を殺してしまうような人間も現れてしまう有様である。
それでもなお、コルトによる日本の侵略は続き、犠牲者は増える一方だった。一体、正体不明のヒト型生物 コルト は何者なのか、そして、なにを目的に日本に攻撃を続けるのか。それに私達が気付くのはもう少し後の話だ。
無差別・理不尽・不条理極まりない荒廃した世界になってしまった日本に朝日が差し込むかのように、ある旗が掲げられた。
黒地にホワイトのライン。二対の剣を交差させ、そこに三文字のアルファベット。言うならば、荒廃した世界に立ち上がった、対コルト戦闘組織"GAN"であった。
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