表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『退魔鬼譚』 ~鬼族の美少女と異世界帰りの勇者は怪異退治が任務である~  作者: 星衛門
第四章 鬼団子と海鬼

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/67

65夏休みとカラオケ




 キーンコーンカーンコーン。

 学校のチャイムが鳴る。


 今日の授業の終わりを告げる音だ。


 いや、今日に限って言えば、学校における一大イベントを終わらせる音だろうか。


 「はぁ…終わったニャ」


 五月が大きく息を吐く。

 大きく腕を回し、肩を解す。


 「ほんっと、テスト疲れたニャ!」

 「お疲れ様」


 愚痴を言う五月に、楓が労いの言葉を掛ける。


 そう、今日はテスト…それも、一学期の全ての学力を図る期末テストの日だった。

 勉強嫌いな五月には、苦痛であっただろう。


 とは言え、それも終わり。


 先程、全ての教科のテストが終了した。


 「ふぅ…」


 斗真は息を吐く。

 さっきのテストを振り返る。


 テストなんて、久しぶりだ。

 異世界にいたのが、3年なので、かなり間がある。


 異世界にいる間に随分忘れてしまった部分も多かったが、そこは放課後や週末の「たぬき喫茶店」での勉強会で、どうにかなった。


 テストの点数も赤点には、ならないだろう。


 ミーンミンミンミン!!

 ミーンミンミンミン!!


 教室の窓の外からは、蝉の音楽が聞こえる。

 気温も高く、額から汗が出る。


 今は7月の上旬。

 梅雨を過ぎ、夏の始まりが来る時期である。


 これからもっと蒸し暑くなる事だろう。


 けれど、多くの生徒にとって、この時期は心が湧くだろう。

 何故なら、


 「もうすぐ夏休みニャ!」


 五月が、はしゃぐように、もう少しで夏休みが訪れる。


 7月下旬から8月いっぱいの一か月間の大型連休である。

 高校にとって、夏休みは友達とゲームしたり、夏祭りに行ったり、部活動がある人は大きな大会をやったり、時には終わらない夏休みの課題に四苦八苦したり。


 兎に角、イベント盛り沢山の夏休み。


 五月だけでなく、他の生徒も夏休みを楽しみにしている雰囲気を出している。


 テストが回収され、クラスメイト達が帰りの準備をする。


 「ねぇ!ねぇ!かえちん、これから打ち上げしようよ!」

 「打ち上げ?」

 「そ!テストも終わったし、何処かで遊ぼうよ!」

 「まぁ…テスト終わりなら良いかな。五月は頑張ってたし」


 テスト勉強の際は、斗真だけでなく、五月の勉強を見ていた楓。


 と言うか、殆ど五月と楓のマンツーマンだった。

 楓はどうにか、勉強を嫌がる五月を励ましながら、根気強く教えていた。


 「そうだ!しずっち!しずっちも、どう?」

 「え?私ですか?」


 突然、話を振られた家内…静子が驚く。

 静子からしたら、クラスで本ばかり読んでいる自分に、打ち上げの誘いが来るのは、驚きなのだろう。


 五月は静子の手を引く。


 「何言ってるの?!しずっちも勉強手伝ってくれたでしょ!それに、私達…友達なんだから!」

 「と、友達」


 友達と言われ、照れ顔をする静子。

 未だに静子からしたら、友達と言われるのが恥ずかしいようだ。


 「で、では…ご一緒させても」

 「やったーニャ!」


 どうやら、五月と楓と静子で打ち上げが決まったようだ。

 五月はポンッと手を叩く。


 「うん、打ち上げはカラオケにしよう!」

 「カラオケ…行ったことが無い」

 「私もです」


 どうやら、打ち上げ場所はカラオケ。

 でも、楓と静子の2人は行ったことが無いようだ。


 「大丈夫、慣れれば楽しいから!」


 そう言って、五月は楓と静子の手を引っ張り、カラオケに行こうとする。


 斗真も帰りの準備をする。

 だが、そこで五月たちが斗真の元に来る。


 「斗真も、ついでに誘ってあげるニャ!」

 「俺は、ついでなのかよ」


 呆れる斗真だが、カラオケは確かに楽しそうだ。


 こうして、4人はカラオケに向かった。









 駅前から少し歩いた先に、カラオケがあるのだ。


 早速、一部屋借りる。


 「じゃあ、トップバッターは…斗真ニャ!」

 「俺?」


 五月にトップバッターを任命される。


 斗真はタブレットのメニュー画面を開き、そこから歌詞を選ぶ。

 選んだのは、最近アニメで流れているメジャーな歌詞。


 テレビ画面に、タイトルが表示され、曲が流れる。


 斗真はマイクを手に取り、歌いだす。

 音程を偶に外しはするが、だいたい大きくズレることなく、歌いきる。


 気になるスコアは、


 「75点か。まあまあだな」


 テレビには、75点のスコアが掲載されていた。

 良くも悪くもない点数である。


 「中々悪くない歌だったニャ。じゃあ、次は私!」


 斗真からマイクを受け取った五月が二番手で歌いだす。


 そして、軽快な歌声で五月が歌い終わる。 

 その点数は、


 「91点ニャ!」


 なかなかの高得点である。


 後で聞いたが、五月は普段から、よくカラオケに行って、歌っているそうだ。


 本人曰く、歌っていると、夢の中に入り込むような感覚になるので、歌うのが好きなのだそうだ。


 「今度は、かえちん!」

 「うん、頑張ってみる」

 「かえちんなら、きっと私より高得点だよニャ!」


 五月からマイクを渡された楓は、決心を胸に秘めたような顔で、立ち上がる。


 楓はカラオケに行ったことが無いが、ずっと行きたいと思っていたのだ。

 前からやりたいと思っていたことを、やってみる。


 それ故に、ドキドキしているのだ。


 楓と静子に関しては、カラオケ初心者である。

 なので、まずは楓と静子にカラオケを慣れさせるために、簡単な歌をやってみようと言う事になった。


 楓が肺から息を吐き出し、歌い始める。


 その結果は、


 「「「あはは……」」」

 「………」


 斗真、五月、静子の3人が苦笑いする中、拍手を繰り返す。

 楓は無表情無言だった。


 その理由は、テレビの画面に表示されたスコアにある。


 スコアは何と………53点であった。

 うん、音痴である。


 カラオケのスコアは甘えに設定されてある。

 普通の人でも、70点ぐらいは出せる。


 だけど、楓がマイクを持って歌い始めてから、すぐに気付いたけど、楓は歌詞に合わせて歌うのが、とても不得意のようだ。


 いや…声は綺麗なのだ、声は。


 ただ、音程がズレまくっているのだ。

 故に、あの点数。


 学業だけでなく、運動においても、万能の楓にも、こんな面があったとは。


 楓も、自身の歌の下手さに、無表情で落ち込んでいた。


 「う、うん!かえちん、凄い上手だったニャ!」

 「ありがとう、五月。お世辞でも嬉しい」


 五月の言葉が慰めであるのは、誰の目からも明らかなので、楓は五月に感謝しながら、マイクをテーブルに置き、椅子に座り込む。


 椅子の上で体育座りして。

 表情からも落ち込んでいるのが見て取れる。


 「私…下手」

 「げ、元気出せって!」


 落ち込む楓に、斗真が声を掛ける。


 慌てて、五月はマイクを静子に渡す。


 「き、気を取り直して…次は、しずっちニャ!」

 「は、はい!」


 静子は緊張した面持ちで立ち上がる。


 静子もカラオケが初めて。

 何度も深呼吸をする。


 そして、歌い始める。


 すると、


 「「「す、すご!」」」


 斗真、五月、楓が異口同音で感銘の声を出す。


 テレビに表示されたスコアは、何と96点。

 歌い慣れている五月の、さらに上である。


 これがカラオケ初心者なので、恐るべし。


 歌っている時の静子は、テレビで聞く女優の歌唱力に迫る…と言っても、過言ではない程、上手い物だった。


 普段、本しか読んでいない静子に、こんな才能があったとは。


 プルルルル。

 その時、電話が鳴る。


 「はい」


 それは楓の持つスマホからだった。


 楓は電話に出る。

 何か、重要な電話なのか、楓は何度も相槌を打ち、電話越しの相手の話を聞く。


 電話は少しの時間で終わる。


 終わった後、楓は真剣な顔で、斗真を見る。

 この顔、”そう言う事”か。


 斗真は楓への電話が、どういった要件かを瞬時に悟る。


 「斗真!ここから、かなり離れた所に、妖獣が出たらしい。私と一緒に、退治に協力して!」

 「分かった」


 打ち上げは、カラオケで4人は一人一曲歌い終わると言う、短いものになってしまった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ