25妖怪アニメ
放課後になり、教室中の生徒がはしゃぎ出す
理由は分かる。
明日から待ちに待ったゴールデンウィークだからだ。
高校一年生にとっては、遊びまくれる夢のような期間だろう。
「かえちん!近くのコンビニでアイス食べようニャア!」
五月が楓を誘う。
「アイス?う~ん…まぁ、アイスぐらいなら」
楓は少し考えてから、五月の誘いを受ける。
前に、楓がいろんな人からの遊びの誘いに乗らないのは、急に退魔士の任務が入った際に、誘って人に悪いからだと言っていたが、アイスを食べる程度の誘いなら、大丈夫みたいだ。
斗真が家に帰るために、席を立つと、
「斗真もアイスを食べるニャア」
「え、俺も?」
五月は斗真も誘ってきた。
「いつもボッチで可哀そうだからニャア」
「………ほっとけ」
そう言いつつ、友達でアイスを食べるのも、中々いいなぁ…と、斗真は思った。
そして、楓と五月と一緒に、仲良くコンビニでアイスを食べ、斗真は家に帰った。
結局、この日は役所である『退魔士協会・隗隗街支部』から連絡が来ることは無かった。
平和で良い事だ。
しかし、家に帰っても暇があったので、どうするかと思っていると、ふと…斗真は小学校の頃に見ていた妖怪アニメを思い出した。
丁度良い。
今日は深夜まで、アニメを一気見で見返すか。
そう思い立った斗真は、自身が持っているノートパソコンから契約しているサブスクで、そのアニメを探す。
「あった」
サブスクには、その妖怪アニメが視聴可能であった。
そのアニメのタイトルは、『呪呪呪の鬼次郎』。
内容は、太平洋戦争に兵士として出た主人公が妖怪と出会い、色々な騒動に巻き込まれる物語。
主人公の水樹茂雄は、十六歳の若さで戦争に駆り出され、四苦八苦しながら、左腕を失いつつも、生還。
しかし、母国の日本に生還したのも束の間、水樹は戦争での後遺症が原因なのか、妖怪が見えるようになった。
そこから、水樹は様々な妖怪と出会っていき、妖怪が引き起こす事件を解決していくのだ。
小学校の頃に斗真が嵌っていたが、整理されたストーリーに、魅力的なキャラであるたくさんの妖怪たち。
子供向けのアニメでありつつも、社会の風刺も込められており、高校生となった今見ても、かなり面白い。
そして、『呪呪呪の鬼次郎』を語る上で、忘れていけないのは、水樹の相棒ポジションである”鬼次郎”である。
タイトルにも入っている鬼次郎は、変わった出自を持っており、何と人と妖怪との間に生まれた半妖怪。
水樹と同様の青年の見た目で、普段は無口。
だが、特徴的なの鬼次郎の頭に生えている二本の角。
そうなのだ。
鬼次郎は鬼である。
楓と同じ。
彼は半分が鬼故に、いろいろな術を使う。
水樹は物語の序盤で、その鬼次郎と出会い、バディを組むことになったのだ。
これは斗真と楓の、現在の関係と同じである。
物語は序章から最終章の手前まで、水樹と鬼次郎の日本中を旅しながら、妖怪による問題を解決する話になっている。
これ自体、水樹と鬼次郎がやっていることは斗真と楓がやっている退魔士と似ている。
まぁ…偶然だと思うが。
斗真は時間を忘れて、アニメを視聴した。
始まりから、最終章手前まで。
ふと…時計を見ると、深夜の二時を回っていた。
遅い時間であると分かると同時に、眠気が襲ってきた。
「ふぁ~寝るか」
まだ『呪呪呪の鬼次郎』の最大の見どころである最終章「妖怪戦争」があったが、いい加減寝ることにした。
続きは、また今度で。
そう思い、斗真はベッドに入り、眠りに付いた。




