空色の竜とちいさなおまじない。~ウィンの見てる景色
僕はウィン 。
空色の竜だ。
僕の相棒はジェド。
ジェドには幼馴染が二人いて、リタとシルフィって言うんだ。
ジェドはシルフィが好き。
実はリタもシルフィが好き。
シルフィは二人とも大好き。
二人の好きとシルフィの好きはちょっと違うみたい。
しんあいって言うんだって。
そんな皆の関係が変わったのは、ジェドが二年程竜騎士隊の隊長として任務ってやつに行った時からだったと思う。
僕はジェドに内緒で時々シルフィとお話していたから間違いないと思う。
どうしてジェドに内緒にしてたかって?
ジェドってば僕がシルフィとお話するとしっと?ってやつをするんだもの。
竜相手に!!!
僕は人間になれないのに!
僕だってできれば人間になってシルフィとお話したいよ。
まあ叶わぬ夢の話は置いておくとして。
それはジェドが二年の月日を経てシルフィに再会したあの日にさかのぼる。
「ねえウィン。ジェドってば、私の事好きなんだって」
『ええ?シルフィそれ今更言うの?ずっとそうだったよ?』
「え?」
『ジェドはずっとシルフィが好きだって言ってたじゃん』
「あれは友人としてだと思ってて…」
『シルフィってば鈍感なんだね』
「な…!どこで覚えてくるのよウィン!」
『リタもジェドも言ってたよ。シルフィはそういうの疎いから本当にちゃんと言わないと絶対に伝わらないと思うって』
「もー!皆してそういうこと言う!」
『でも事実だったみたいで、ちょっとほっとしてる…。シルフィはシルフィなんだなあって』
「鈍感娘だって?」
『そうじゃなくて~。優しくて暖かくて春のひだまりみたいな。みんなのことが大好きなシルフィ、ってこと!』
そういうとシルフィは顔を赤くしてにっこり笑ってくれた。
そう。シルフィはまるで春のひだまり。
僕たち竜にとってシルフィの存在は温かくて優しくてトクベツな存在なのだ。
だからジェドとシルフィが結ばれて僕はとっても嬉しいし誇らしいのだ。
『シルフィ、いつもありがとう!』
「どうしたの?ウィンったら。私こそいつも話し相手になってくれて嬉しいよ。ありがとう!」
この春のひだまりを守りたい。
それはきっとジェドも同じで他の竜も同じだと思う。
いつだって見守りたいんだ。
僕の見ている景色はいつだってジェドの向いている方で、その先にはいつもシルフィがいる。
きっと見続けたいのは、その春のひだまりのような笑顔なのだろう。
『シルフィ、僕もシルフィが、だーいすきだよ!!』
end 2025-12-14
ウィンはシルフィを家族みたいな気持ちの愛情で見ています。
ジェドと結ばれてウィンも大層喜んだそうな。




