【テンプレを学ぼう】オカルト作品の書き方。
人間誰しも、興味の湧かないジャンルというものがある。筆者にとっては「ホラー」が、そのひとつである。
horrorは「恐怖」を意味する言葉。
ホラーは、一般的に「超常現象」を中心に扱うジャンルであるが、時にオチ自体が存在せず、不愉快になる作品も少なくはない。
しかしながら、なろう作家なら、一度は憧れる「全ジャンル」への投稿。ゆえに、今回はオカルト作品の「テンプレ」を学んでみることにしよう。
◇
<プロローグ>
・奇妙な出来事があった、という入り。
・語り手自身の体験談、もしくは伝聞形式。
・イントロなので、匂わせ程度。
<導入>
・小さな怪異、違和感の提示。
・身の回りの変な現象、変な人物、変なメールなどが、怪異に巻き込まれる招待状となる。
<展開>
・実際に巻き込まれていく。
・「原因」の調査が始まる。
・自分以外の者が、先に犠牲となる。
<核心>
・伝承や記録などの原因らしきものに辿りつく。
・巻き込まれた当人との因果関係も判明。
・怪異が加速し、現実が崩壊へ。
<結末>
・解決、破滅、継続・拡散などのオチへ。
・後味はあまり良くないのが、作法。
<味付け>
・バラバラのバッドエンドの断章を並べ、点を線で繋ぎ、確信へと迫る形式。この場合、話数も稼げ、シリーズ化も可能となる。大ボスとなる悪霊の誕生にまで、時代を遡っていく形式。
<装置>
・オカルトコミュニティの掲示板に書き込まれたという形式をとれば、推理・考察を無限に配置可能。信用の出来ない証言者なども加え、読者を混乱させるのにも便利。
◇
―― さて、こうやって構造を分析してみると、書いてみる分には、面白そうでもある。ただ丁寧に書くと、分量的に「2000文字」には、収まりそうにない。ショートで書くなら、大胆なショートカットも必要か。
今回、その構造についてプチ研究してみた結果、面白いのが「神社」絡みの怪異が多いという点。もともと、この国では「八百万の神」というくらい、そこら中に神様が転がっている。古事記や日本書紀にも登場する、この表現。下手をすれば、当時の人口よりも多い、神々の数である。
実のところ、神社には「祟り神となった人間の霊」を供養することを目的として、建立されたものが数多く存在する。「荒ぶる神よ、お鎮まりください」といった塩梅。なので、山頂の神社に「生贄」を送り込んだり、「二次災害」が後を絶たず、その呪いが強化されてもいく。
「学問の神様」としても、有名な菅原道真にしても、大宰府への左遷による恨みから、死後に悪霊化し、厄災をまき散らしたとされる。そのため、鎮魂を目的とし「神様化」という流れとなった。「商売の神」である関羽の関帝廟にしても、同じ流れである。
問題は「祟り」の本質にある。
さる大人物が悲劇的な死を得た後、世の中に怪異(主に疫病)が発生する。「あな恐ろしや、これはあの御方のお怒りに違いない」と亡者たちが慌てだす。そこから「貴方様は神様です」と神社を建て、奉納を行う。「そういえば、あの人、生娘好きだったよね」「よし、村から女の子を毎年献上しよう」。
不衛生、不摂生からの疫病の流行であるわけだが、人々は最後まで「自分自身」に問題があるとは考えない。何なら「無知の罪」すらも、死者に擦り付け、新たな殉死者まで生み出す。怖いのは、やはり生者である人間の方という塩梅である。
―― めっちゃ脱線したけど、これ、このまま物語にしても面白いかもね。エンゲブラ的オカルト作品として。
調べついでに、菅原道真についてのオマケ。
一般的に「変」は「成功したクーデター」、「乱」は「失敗したクーデター」を指す言葉。だが、道真の左遷の原因となった「昌泰の変」が、少しややこしい。
昌泰の変では、「天皇を廃立して娘婿の斉世親王を皇位に就けようと謀った(wikipediaより)」として、道真は大宰府への左遷となる。これが実際に道真による謀であった場合、昌泰の乱とならないとおかしい。しかしながら、成功したクーデター、変として扱われている。この時点で、道真は「嵌められた側」であることが確定である。
―― それも含めての恨み、悪霊化というわけであろう。本当にもう外野の奴らの理論(=レッテル貼り)は、無茶苦茶である。