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Ⅰ‐Ⅱ面倒くさくなってきた・・・

「それで、陛下。あの方々はいかがいたしますか?」


「うーむ・・・う———————む・・・・・・・マジでどうしよ?」


 正直後々の処分が面倒になってきたので、できれら今すぐ見なかったことにしたいとテーヴァは思い始めた。


 なにせ、魔族が城内に侵入したのだ。


 警備は何をしているのやら、皇帝の信頼問題やら、門番の処遇やらを考えると後の書類が面倒くさそうだ。


「・・・・・・見なかったことにしていい?」


「ダメに決まっているでしょうが」


 だよなぁとぼやきながら二人の乱闘騒ぎを見ていた。すると、テーヴァはあることに気づいた。


「なぁ、あいつ・・・ラインじゃないか?」

「え?・・・あ、ホントだ。確かに似てる」


 テーヴァは人族の少女のほうに見覚えがあった。


 昔の友人、ラインに似ていたのだ。


 10代前半のとき、ニックス含めいっしょに遊んだ仲であったため、テーヴァは少し疑問に思った。


 彼女は確か、故郷を守るために冒険者になると聞いていたが・・・


 依頼でここまで来ているのかもしれないが、だとしてもなぜここまでという思いが強かった。


 彼女は帝国よりもはるか南、ラーク王国にいるはずだ


 そんなことを話しているとはつゆ知らず、冒険者と魔族の攻防戦は続いていた。


「頼む・・・いい加減私の話を聞いてくれ・・・・・」


「だーかーら!!、魔族の話なんて信じられると思う?それでどれだけの人が死んだと思ってるの?それで平和的に解決するんだったら、冒険者なんていらないじゃない!」


 魔族の必死な説得も虚しく、ひたすら攻撃を続けるラインと思わしき女性。


 ちょっと魔族がかわいそうに思えてきた。


「・・・ひとまず、捕縛をお願いできるか?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「・・・わかったよ。・・・いや、御意」


 どこか不服そうな顔をしたニックスだったが、どこからともなく杖を取り出して構えた。


「貴様ら!何者だ?!ここが皇帝の居城と知っての狼藉か?!大人しく投降しろ!!」


 その声を聞いて、戦闘をしていた二人の動きはぴたりと止まり、ようやく自分たちがどこにいるのか気が付いたようだ。


「こ、これは違うのです!!い、今すぐこの場を離れますので!!どうかお許しを!!」


「わ、私は悪い魔族ではありません!!そ、その・・・・・・刑罰でもなんでも受けますので、で、できれば私の話を聞いてもらえないでしょうか?!」


「アンタ今それ言っている場合なの?!ここどこだかわかってる?!帝国だよ?!ヴァルハイト帝国だよ?!五大勢力圏の!この世界で1位2位を争うほどの権力を持つ帝国だよ?!素手で竜を倒すとかいう頭のおかしい人が皇帝やってる国だよ?!正気?!」


「お前も皇帝がいる目の前でここまで暴言を吐けるの正気か?不敬罪で首をはねられても知らんぞ?」


 まじで失礼な奴だな。


 テーヴァはそう思いながらも、前から変わっていなさそうな彼女の様子にホッとした。


「————大変失礼足しました~!!ほ、ほんとに何でもしますから!!どうか、どうか命だけは!!」


「・・・おまえ、俺の顔忘れちゃったの??まあいい。とりあえず、おまえらお縄に付け。最終的な判断はこれからするから・・・・・・死にたくなかったら大人しくしろよ?」


 こうしてテーヴァの古き友人ラインとの再会は、向こうが気付かなかったためまた持ち越しになるのであった。



***

「———それで、彼女らの処分はどうされますか?陛下?」

「堅苦しい口調で言わないでくれ。誰も見てないからいいだろう?誰も見てないからいいだろ?」

「———そういうわけにはいきません。そろそろ誰かが来てもおかしくないころあいですので」

 

 まあ、それもそうかとテーヴァは諦めた。最終的に二人とも大人しく捕縛され、今は一度地下牢に捕まっている。やったことがやったことなので、無罪放免にはできないのだが・・・


「まあ、()()()()()()()()()()()()()()()()()。それが一番だろう。それよりも俺はラインとあの魔族の女と話がしたい」


「———貴族どもが反対すると思われますが?」


「さすがに今回は黙らせる。何か嫌な予感がするしな・・・もしかすると、今起こっている所属不明の魔族のことについてわかるかもしれないぞ?」


 まあ、あと面白そうだし。テーヴァは心の中でそう付け加えた。


 とはいえ、


「———ニックス、お前に頼みがある。私が彼女らと話している間、あのボンクラどもの(貴族たち)の気を引いておいてもらえないか?」


「———仰せのままに」


 ———さて、では向かうとするか。


 テーヴァは立ち上がると、魔族と幼馴染ラインであろう人物に会いに向かうのであった。


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