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第十七話

 夜になった。


  僕らは予定通り日が落ち切る前に森の前に辿り着けた。


  「ふわ……す、すごいです」

  「確かにね。もしかしたらこれ、遺跡かもしれない」

  「遺跡?これ、何かの建物なの?」

  「違うよ?」

  「じゃ、じょあなんで?」

  「それはね……、あれ、なんでだっけ?」


  僕はこれだけ大きい森なんて初めて見たから遺跡じゃないか、って思ったけど、そういえば、なんで建物でもないのに遺跡って言うんだろう?


  「もう!あなたらしくないですね」

  「エレナは知ってるの?」

  「はいです!遺跡時代には科学と魔法が発達し、共存して栄えていたけれど、何かが起こってどちらも潰えてしまった、ということはすでにみなさんご存知ですよね?」


  僕とレナはうなずく。遺跡時代関係は教育を受けたことのある人なら誰でも知ってることだ。……と、思う。僕は教育なんて受けたことないけど。


  「それでですね……。これはあまり知られてませんが、科学と魔法と一緒に潰えたものがあるんですよ。なんだかわかります?」

  「……自然かな?」


  思い出した。国の外が荒野だらけになったのは、科学や魔法と同じように、遺跡時代に何かが起こって、何もかもが滅んじゃったから、今は荒野と少しの文明しか残ってない。


  だからこそ、小さいながらもいろいろな文化をもつ国がたくさんできて……、それで、僕たちみたいな人種がたくさんいるようになった。……ということだったはず。


  「そのとーりです!さすが旅人さん、博学です!」

  「これくらい、一般教養だよ」

  「そうなの?私知らなかったけど……」 

  「商売ばっかりしてるからそんなことも知らないんですよ!」

  「なんですって?」

  「まあまあ。別に知らなかったらダメというわけじゃないんだから。というより知っててもあまり役だつことじゃないし……」


  というか、もう夜だし早く寝てほしいんだけど……。


  「そう?」

  「そうだよ」


  僕がそういうと彼女は安心したように肩を落とした。


  「さ、もう夜だし、寝よっか」

  「はいです!」

 

  エレナは背中のバッグからいろいろな寝具……テントとかその他もろもろを手際良く取り出し、眠る準備をする。


  「……え?」


  レナがその様子をみて、呆然としたように小さくつぶやいた。


  「どうしたの?」

  「え、あの、どうしてテントが一つしかないのかな、って思って……」

  「あ、それはね、旅の荷物はできるだけ少ないほうがいいから。テントは二つもいらないでしょ」

  「いるに決まってるでしょ!?」


  即答された。……あれ、なにか僕間違ったこと言ったかな?もしかして、二つあったほうが何かの効率がいいとか、そういうのかな?


  「なんで、あなたは、女の子二人も連れてるのに、テントを一つしか持ってないのよ!」

  「……だ、ダメだった?」

  「ダメじゃない理由がどこにあるのよ!あなた、もしかしてエレナと二人っきりの時もこうやって……、その、えっちいことしてたんじゃないわよね!?」


  なにかものすごく誤解されてる気がする。


  「エレナと二人っきりの時は僕、ほとんど寝てないよ?」

  「え」


  またレナは呆然としたように小さくつぶやいた。エレナは顔を赤くしてテントを張っている。


  「僕も誰かと一緒に旅するなんて初めてだったからね、勝手がわからなくて。ほとんど寝ずの番をしてたんだ。……といっても、一週間ぐらいで感覚つかめたんだけどね」


  寝ずの番はさすがにしんどかったけど、交代交代で眠るようになってからは随分と楽になった。


  「なに自分が気づいたのかのように言ってるんですか!?あなた私が交代交代で見張りしましょうって言わなければず~~っと一人で寝ずの番をしてたじゃないですか!」


  あれ、そうだっけ。……うんそうだったね。


  「あはは、そうだったそうだった」

  「そ、そうだったって、なんでそんなこと……」


  レナは不思議そうに、というか僕の行動が理解できないみたいだ。


  「どうして、って?」

  「そうよ!どうして見ず知らずのような子を、寝ずの番なんか……」

    「そんなの決まってるよ」


  どうして僕とエレナの関係をレナが詳しいのか気になるけど……今どうでもいい。

 

  「もしエレナを見捨てたら寝覚めが悪い。……ただそれだけだよ」


 正直、本当の理由はもっと単純……。お腹が空いてイライラしていたところに、下卑た嫌な声が聞こえたから。そんな理由で助けるなんて、僕は人でなしかな?


  「え、それだけ、なの?」

  「……まあね。気分が乗らなかったらエレナは今頃遊郭にでもいるかもしれないね」

  「そうなんですよ~。助けてもらったあの日から、私はこの人限定で従うことにしたんです!」

  「……」


  レナは珍しく、エレナに優しげな目を向けた。……いや、これは哀れんでいる目、かな?


  「まあとにかく、三人いるんだから眠れる時間も長くなるよ。じゃ、まずレナとエレナ、二人で寝て」

  「はいです!」

  「え、あなたは?」

  「あとで寝るよ。じゃあ、おやすみ」

  「はいです~。おやすみやさい」

  「………おやすみ」


  二人は完成したテントに潜り込んだ。ゴソゴソと音がして、そしてやんだ。多分横になったんだろう。


  久々の野宿、警戒しておこう。


  それに、明日は僕も足を踏み入れたことのないところだ。エレナたちにはしっかり休んで明日に備えてほしい。


  ……と、いうことで。今日は寝ずの番だね。まあ、エレナがいないときは夜通し歩くのなんてしょっちゅうだったから、慣れてるけど、暇なのがね~。


  さて、と。


  僕はアークソードに手をかけつつ、周囲を警戒し始めた。





  

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