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第十五話

……これまでのあらすじ。


  餓死しかけてた僕らを助けてくれたレナと一緒に、新しい国に入った僕とエレナは、楽しむ間もなくいろんなことに巻き込まて行く。恩返しのつもりの店番が全てを狂わせて行く……


なんて言えば少しは僕らの人生は物語じみてくるんだろうけど……正直、こんな物語があったとして、僕は読みたいとは思えない。



  ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ………………………!!


  こんな後ろから追いかけられるのが日常の物語なんて読みたくもないし、体験したくもない!


  「あ、あのあのあのあのあの!」

  「なんだいエレナ!」


  全力で走ってるんだから話しかけないでよ!


  「あ、あとどれぐらいで出れますか!?」

  「さあね!レナに訊いてよ!」

  「わた、しに、き、きかな、いで、よ……」


  レナが今にも死にそうな表情で返事した。ああ、そういえばこの人は基本的に馬で移動していたから体力ないんだ。


  「レナ、今からでもやめときます?多分この先こんなのばっかですよ?」

  「け、けい、ご、や、やめてって、い、言ってる、でしょ」

  「あ、ごめん忘れてた。で、どうする?今からでも、裏切る?」

  「わ、わた、私が!私が、あ、あなたを、裏切るはず、な、ないじゃない、ですか……」


  へとへとになりながらも、レナはそう力強く言った。なんで言い切れるのか不思議だけど、裏切らない、って言ってるうちはまだ安心だね。


  「で、どうするんですか?まさかこのまま走り続けるというわけにもいかないでしょう?」

  「……」


  たしかに、このまま走ってたらレナの体が危ないな。限界以上の力はあまり出さないほうがいいんだけど、今のレナはどうみても限界を超えている。


  「片付けようか、後ろの連中」

  「………そ、それしか、ないんでしょうか……」


  怯えながら、エレナは言った。やっぱり忘れられないんだろうか。あの時のこと。


  「ないわけじゃないけど、いい加減鬱陶しくなってきたからね」


  僕がそういうと、エレナは暗い顔をして走るのに集中し始めた。


  「た、た、たおせ、るんですか?」

  「倒せないよ?」

  「え?」

  「殺すことならできるけど」


  まあ、それは僕が殺人鬼だったり人殺ししなきゃ守れないとか思ってたりとか、そういう理由ではなく、僕の意思ではどうにもならない理由なので変えようがない。


  「や、やめてください」

  「へえ?」


  珍しいな、エレナがこんな場面でやめろだなんて。


  「そ、その。これはただたんに私のワガママなんで、聞かなくてもいいんですけど、その、できたらこの人たちは、殺さないでくれると嬉しいな……って」

  「そう。わかったよ」


  僕は選択肢から彼等の殺害を除外した。やっぱり仲間の忠告というか、お願いは聞いてあげなきゃね。


  でも、それじゃあ……


  「走り続けることになるよ?」

  「少しくらいならかまいません!」

  「…………」


  レナはどうして走りながら会話できるんだろう、っていう顔で僕たちを見ていた。


  「でも、あまり走る必要はないみたいだよ」

  「え、どうしてです?」


  後ろのガチャガチャがだんだん焦りはじめているのと、彼等の会話だね。


  「い、いそげ!このままだと門に辿り着くぞ!絶対に国外に出すな!」


  ほら、こんな親切に教えてくれる。急がないとね。


  「あ!門が見えてきました!」

  「よし!エレナ、それからレナ!走って!」

  「……え、ど、どうして」

  「いいから走れ!」


  大きくて頑丈そうな門が、視界いっぱいに広がる。エレナは僕を信じて走り続けている。レナもヘトヘトになりながらも、門に向かって走っている。


  「さあ、出国だ!」


  キィン!


  「うわ!やっぱりすごいですね~!不思議です」

  「はやく走れ!」

  「はいです!」


  エレナ、レナが穴のあいた門から、国外に出る。そして、僕も続く。


  「ち、この……!」


  騎士の1人が、国の外に出た僕をつかもうと、手を伸ばしてくる。僕は、腰のアークソードに手をかける。


  さあ、あとちょっとで、僕はつかまる。さあ、捕まえてみろ!


  「まて、やめろ!」

  「ぐぅ!」


  あと一歩、というところで隊長っぽい騎士が僕を捕まえようとしていた彼を止めた。……ちっ。


  「な、なにするんですか!あとちょっとで」

  「あとちょっとでお前は殺されていたんだぞ!」


  僕はもう追っ手はこないな、と判断して遠くまで逃げたエレナたちのところまで歩く。


  「どういう意味ですか!?」

  「いいか、国を一歩外に出たら無法地帯なんだ!あの旅人だって国内じゃ法律があるからこちらにうかつに手を出してこないが、国外じゃ別だ。遠慮なしにかかってくる」


  へえ、よくわかってるじゃないか。


 「こちらには誰一人の欠員を出すなどいうご命令に背きかねない状況になるわけにはいかん。……ここは、諦めるしかない」

  「……っ!」


  クスクス、悔しそうだね。


  「あ、あの!急いでください!な、なんだか視線が怖いです……」


  エレナたちのところに辿り着いて、僕らは一緒に歩き出す。


  「あはは、ごめんごめん。まあでも大丈夫。国外までは追ってこないよ」

  「ほんとに?」

  「うん、ホントだよレナ。心配しなくても大丈夫」


  もうさっきの国から随分離れた。振り返っても、追いかけてくる様子はない。


  「さて、レナ」

  「なに?」


  無事に、誰一人殺すことなく国を出れたのはいろいろと幸運が重なったからだ。まあ、僕は旅人であって武芸者じゃないからこれで強くならなきゃ、とかは思わない。


  「旅人の仲間入り、おめでとう」


  そして、追われる者の仲間入り、御愁傷様。


  「 うん、よろしく」


  レナは微笑み、僕は笑う。

  新しい旅仲間がエレナの他にできて、僕はうれしかった。

  食料も、衣服もあるし、きっと楽しい旅路になる。


  「さあ、次はどこに行こう?」


  さあ、旅立とう!

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